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ファッション業界における
知的財産権保護の最前線

「ファッションの法的保護の現状・課題と将来の展望」セミナー 



 ● ファッション・ローの現状と日本企業への影響の可能性(金井 倫之 氏)
 ● デザインの“識別力”でブランドを保護(中川 隆太郎 氏)
 ● エルメスに見る企業の権利保護と侵害対策 (黒川 靖子 氏)


デザインの“識別力”で
ブランドを保護

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 ファッション・ローにおける知的財産権の保護で重視される要素の一つに、デザインの“識別力”がある。ファッション・ロー研究所の研究員でもある弁護士の中川隆太郎氏は、その重要性について解説した。


ファッションデザインに問われる識別力の有無

 「ブランドロゴには識別力が認められやすいこととは対照的に、商品の外観デザインは、美しさや機能性を念頭に置いたものとされ、原則として識別力はないとされています。しかし、大ヒット商品やロングセラー商品、また大量の広告出稿を行っている商品の中には、一目でブランドが分かるデザインとして、例外的に識別力を有するとされるものもあります」

 そして、実際に識別力が争われた事例として、ゲス(Guess)がグッチ(Gucci)の定番デザインに似た商品を展開したため、2009年にグッチがゲスを相手に、ニューヨーク・ミラノ・パリ・中国の4ヶ所でほぼ同時に訴訟を提起したケースを紹介。

 「複数の争点があった中で、アルファベットの『G』とドット(点)を組み合わせたグッチのデザインや緑と赤のストライプなどのデザインについて商標権侵害などが争われ、それらのデザインの識別力の有無が大きな争点となりました。結果的に、ニューヨーク連邦地裁では、『このデザイン柄は識別力を持ち、需要者が誤認混同するおそれがある』としてグッチ側の請求が認められています」

 しかし、ミラノでは、地裁・高裁ともに同種デザインの商標登録の多くは無効であると判断された。

 「ミラノ高裁は、1文字のGとドットを組み合わせたシンプルなデザインについては『グッチの商標は単純なGにドットをつけただけのデザインで、識別力を欠く』と判断し、商標は無効だとしました。また、Gを逆さにしてもうひとつのGと組み合わせ、その四隅にドットを施したデザインについては、『識別力はあるが、ゲスのデザインはそれに類似せず、誤認混同のおそれはない』とし、結論としてグッチ側による商標権侵害の主張はいずれも棄却されています」

 また、中国ではグッチが勝訴したものの、パリではゲスの主張が認められグッチが敗訴し、全体として「2勝2敗」という結果になったという。日本での訴訟は行われていないが、これらの訴訟で争われたグッチの商標のうち主なものは、日本でも特許庁によって識別力が認められ、商標登録されている。


日本国内の識別力をめぐる訴訟事例

 日本国内のケースとしては、リーバイスがエドウィンを相手に提起した裁判例を紹介した。

 「争点の一つであるジーンズのバックポケットの“ステッチ”に関して、東京高裁は『商標登録はしていないが、リーバイスの商品であることを示す識別力を獲得している』と判断。エドウィンによる類似したステッチを施したジーンズの販売が不正競争にあたるとされ、販売差止め等を認める判決が下されました。しかし、もう一つの争点だった『赤タブ』と呼ばれるラベルについては、「LEVI’S」の文字が記載されていないものは識別力がなく、記載されているものは識別力はあるがエドウィンのラベルのデザインと類似していない結果、不正競争にはあたらないと判断されています」

 そして、「このように、識別力の有無については世界中で議論されていますが、国によって判断が異なることもあるように、微妙で悩ましいケースも少なくありません」と、ファッションデザインにおける識別力の現状を伝えた。


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Profile

中川 隆太郎 氏


骨董通り法律事務所 弁護士
Fashion Law Institute Japan 研究員




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