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ファッション業界における
知的財産権保護の最前線

「ファッションの法的保護の現状・課題と将来の展望」セミナー 

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「ファッション・ロー」セミナーレポート

 欧米では、近年、ファッション業界の知的財産権などを保護するための「ファッション・ロー」が注目を集めている。日本でも紛争事例が増加しつつあるこの最先端の法分野について、2015年10月、「Fashion Law -ファッションの法的保護の現状・課題と将来の展望-」と題されたセミナーが開催された(K.I.T. 虎ノ門大学院主催)。
 アメリカのファッション・ローの最新動向、デザインをめぐる国内外の紛争事例、ブランド保護のための取り組みなどを、日本国内でファッションブランドやデザインの法的保護制度の進展に取り組む弁護士や、ファッション関連企業の知的財産権担当者ら計3名が紹介。ファッション関係者や企業の知財関係者を中心に、約100名が参加した。



 ● ファッション・ローの現状と日本企業への影響の可能性(金井 倫之 氏)
 ● デザインの“識別力”でブランドを保護(中川 隆太郎 氏)
 ● エルメスに見る企業の権利保護と侵害対策 (黒川 靖子 氏)


ファッション・ローの現状と
日本企業への影響の可能性

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 2015年4月に新設されたファッション・ローに関する研究所、Fashion Law Institute Japanの事務局長を務める弁理士・ニューヨーク州弁護士の金井倫之氏(K.I.T.虎ノ門大学院 客員教授)は、ファッション・ローの概要について解説した。


ファッション業界に影響を与えた3つの大きな流れ

 「ファッション・ローとは、ファッション業界に携わる人々のために、アメリカで生まれた学問です。2005年頃にニューヨーク・マンハッタンにあるフォーダム大学ロースクールでファッション・ローの授業が始まり、現在ではニューヨーク大学などのロースクールのみならず、パーソンズやFITなどのファッションスクールでもファッション・ローのプログラムが実施されています」

 ファッションビジネスの市場規模は、日本で約18兆円、アメリカでは約53兆円といわれている。金井氏は、ファッション・ローの誕生にも深く関連する、この10年間でファッションビジネスに影響を与えた業界の大きな流れをいくつか指摘した。

 「まず、ITを中心とする技術の進展。次に、流行を取り入れながら安価な商品を高回転で大量販売する『ファストファションの出現』。そして最後に、中国やアセアンなど『新興市場の台頭』です」


なぜ、デザインやブランドの保護・強化が進んだのか

 このような業界の動向の中で、ファッション・ローの強化が求められてきた原因を、金井氏は次のように説明する。

 「まず、2000年前後に起きたIT革命による情報技術の進化で、模倣品が簡単かつ短時間で作れるようになりました。たとえば、アメリカのファッションショーで発表されたデザインをスマートフォンで撮影し、その画像をアジアの工場へ送って、パターンから起こして製造・販売してしまうというケースも発生したと聞きます」

 さらに、これらの動きが特にアメリカを中心に生じた背景には、前述のファストファッションの台頭に加え、アメリカにおけるファッション保護制度の不備も大きく影響しているという。

 「過去、アメリカでは、『実用品である衣服について、特定の誰かがそのデザインに関する権利を独占するべきではない』という考え方が主流だったようです。1940年頃には既に、『実用品である衣服のデザインは著作権法では保護しない』といった判例が出ています」

 そのような歴史的背景も孕んだ保護制度の不備によって、ファッション関連企業の投資回収機会の損失が改めて問題化。また、アメリカ発のブランドの世界的成長もフォローウィンドとなり、ファッション業界において、デザインやブランドの保護・強化を求める動きが拡大してきた。

 「ファッションデザインやブランドの保護については、これまで知的財産法による権利保護と体系的に結び付けて検討されることが少なかったのですが、近年、関係者の関心はかなり高まりつつあります。しかし、年2回のシーズンごとの商品展開に意匠権などの権利取得が追いつかないという業界事情や、オリジナリティの判断基準など、解決すべき法制度上の課題は山積しています」


日本“初”の刑事摘発事例も

 また、日本でのファッション・ローに関する顕著な事例として、2015年6月に摘発された衣服デザインの形態模倣事件が挙げられた。

 「これは、ファッションデザインの模倣に関して不正競争防止法2条1項3号のみに基づいて刑事摘発された日本初の事例となりました。今後、同様の事案が増加する可能性もあります。知的財産権とファッション・ローの関係をどのように考えていくべきかがさらに重要になってくるでしょう」


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Profile

金井 倫之 氏


Fashion Law Institute Japan 事務局長(知的財産教育協会)
弁理士、ニューヨーク州弁護士
K.I.T.(金沢工業大学)虎ノ門大学院 客員教授




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