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連帯のパワー

パレードへようこそ!(原題:PRIDE)

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LGBTのアーキテクチャ 第4回


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描かれた世界

 東京においては、LGBT映画祭が世界的にも最大規模でおこなわれることで人気を博している「LGBTフィルム」カルチャー。単館上映から、日本全国に広まっていくというムーブメントを起こし、ストレートをふくむ多くのフォロワーを生みだした『チョコレートドーナツ』が記憶に新しい方々も多いことだろう。同性愛者であり、天才数学者アラン・チューリングの挑戦をミステリーに描き出した『イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密』も目下公開中で、LGBTフィルムが加熱中である。

 今回紹介したいのは、2015年4月4日よりロードショーとなる『パレードへようこそ!』(原題:PRIDE)だ。「同性愛で死刑になる国さえある」というのはLGBTイシューに対して物語る際の常套句とも言えるものだが、過去のイギリスもその例外ではなかった。1533年、ヘンリー8世によってBuggery法が制定されて以来、1861年までは同性の性行為に対して死刑が科されていた土地である。

 映画の中にも出てくるが、1861年以降も同性愛に対しての差別は続く。性的同意年齢が異性間:16歳と同性間:21歳で格差があった。性交渉が合法になったのでさえ、1967年(イングランド、ウェールズのみ)のことだ。

 2014年、ついに長い時を経てイングランドとウェールズで同性婚が認められることに。これを記念するかごとく、1984年のイングランドとウェールズを描いた映画がこの『パレードへようこそ!』である。

 背景は、鉄の女マーガレット・サッチャーによる政治とその反発。性的マイノリティの主人公たちは、抑圧され続ける社会のなかで、おなじように抑圧される炭坑夫たちを支援し始めるが、なかなか炭坑の街に受け入れられず…といった筋書きである。この話は、実話に基づいており、実在したLGSM(ストライキ中の炭坑労働者をサポートするゲイとレズビアンのグループ)の存命メンバーの取材を経て脚本が書かれたという。

 主人公は、20歳の少年。まさに同性間の性交渉が違法にあたる歳であり、LGSMに入り込んでいくことがイリーガルであることを背景にストーリーが進む。気弱そうに見える彼が、少しずつLGSMの運動にのめりこんでいき、カリスマ性をもった英雄の生き様にあこがれ、活動に没頭していくなかで、様々な当時の様子が浮かび上がってくる。LGBTのアーキテクチャを探るため、当事者や支援者達が歴史上でどのような戦いを繰り広げてきたのかを知ることは、一つのヒントになるだろう。物語のその後を綴るラストシーンのテロップは圧巻、感動もの映画としてもぜひおすすめしたい。

シンポジウムにて語られた、
連帯の可能性

 この映画に関しては、明治学院大学のLGBTサークル「カラフル」がシンポジウムと共に試写会を主催した。こちらのシンポジウムには石川大我さん(前豊島区議会議員)、宮地基教授(明治学院大学法学部教授)、小川チガさん(女性専用イベント&バー「GOLD FINGER」プロデューサー、レズビアン人権活動家)、山縣真矢さん(東京レインボープライド共同代表 ゲイ)、倉光ちひろさん(明治学院大学LGBTサークル「カラフル」)、杉山文野さん(東京レインボープライド共同代表 トランスジェンダー)、関谷隼人さん(特定非営利活動法人ReBit 副代表理事。FtM トランスジェンダー、パンセクシャル)が登壇。

 宮地教授は同性婚が憲法24条に反し違憲である、という一部の違憲に対して「憲法24条は、婚姻は両性の合意のみに基づいて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により維持されなければならないという条文なんですね。この婚姻が両性の合意のみに基づいて成立するっていうところを捉えて、両性、男性と女性がいないと婚姻ができないんだという主張をする人がいます。

 ただ、この条文は、本来は日本国憲法ができる前の日本で親の同意がないと結婚はできないという制度になっていたことを改めて、本人同士が合意していればほかの人がそれを邪魔することはできない、そういう趣旨を表すためにできている条文なんですね。だから、これを男性と女性がいなければ結婚できないという意味に読むのは、憲法の本来の趣旨とは違うんです。」と熱弁。これに関しては、性的少数者の法律問題に取り組んでいる「LGBT支援法律家ネットワーク」の有志が2月16日に報道各社に「憲法24条は同性婚を排除していない」との声明を出している。

 また、憲法13条の幸福追求権(すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。)で認められるべきオープン性を憲法は備えていること、日本の法制度が同性愛を禁止したことがなく、法制度は決して敵対するものではない、と説明をした。

 また、「私は少数派というのは実はマジョリティだと思っています。多くの人たちは何らかの形でマイノリティです。性的指向でマイノリティの人もいれば、体の障害でマイノリティな人もいる」「マイノリティだからといって差別されるべきではないという点で、連帯できるはずなんです。日本でも様々に、迫害を受けているマイノリティがいます。例えば新宿でヘイトスピーチを受けて苦しんでいる在日コリアンの人達を見た時に、LGBTの人達が在日コリアンの気持ちになれるかどうか。もちろん政治的な立場は様々だと思います。でも、そういった少数派の人達が苦しんでいる時にその立場を理解できるかどうか。そういう意志を共有することで今度は自分達も理解してもらえる。そういったマイノリティ同士の連帯、多くの人達の連帯が生まれた時に法制度っていうのは変わっていくと思うんです。」と指摘。当映画で描かれていた連帯の力を、うまく現代に落とし込めるはずだとの見解を示した。


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パレードへようこそ!(原題:PRIDE)

2015年 4月 シネスイッチ銀座ほか全国順次公開
© PATHE PRODUCTIONS LIMITED. BRITISH BROADCASTING CORPORATION AND THE BRITISH FILM INSTITUTE 2014. ALL RIGHTS RESERVED.
配給:セテラ・インターナショナル(http://www.cetera.co.jp/pride
第72回ゴールデン・グローブ賞ミュージカル・コメディ部門 作品賞ノミネート
2014年カンヌ国際映画祭 監督週間正式出品
監督:マシュー・ウォーチャス (トニー賞受賞)
出演:ビル・ナイ『ラブ・アクチュアリー』、イメルダ・スタウントン『ハリー・ポッターと死の秘宝』『ヴェラ・ドレイク』、ドミニク・ウェスト『ジョン・カーター』、アンドリュー・スコット「SHARLOCK/シャーロック」、ジョージ・マッケイ『サンシャイン 歌声が響く街』、ジョセフ・ギルガン『THIS IS ENGLAND』、パディ・コンシダイン『ワールド・エンド 酔っぱらいが世界を救う』、ベン・シュネッツァー
2014/原題:PRIDE/イギリス/121分/日本語字幕:齋藤敦子/後援:ブリテッシュ・カウンシル、英国政府観光庁/提供:セテラ・インターナショナル、KADOKAWA
配給・宣伝:セテラ・インターナショナル/宣伝協力:Lem



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