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知財英語ディスカッション 2

エスキューブ(株)代表取締役・エスキューブ国際特許事務所所長
知財経営コンサルタント・弁理士 田中 康子

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さあ、「知財英語」で話そう 第5回

いまや「知財」は事業戦略の柱、そして「英語」はビジネスの要。「知財英語コミュニケーション」は、知財部員や弁理士だけでなく、法務部員、研究者、エンジニア、技術営業、弁護士等々、世界を相手に仕事をするグローバル人財にとって必要なスキルなのです。ところが「知財英語」は、知財や契約に関する法律用語の他、技術に関するテクニカルワードも含むため、英会話教室ではなかなか学ぶことができません。
この連載では、「知財英語コミュニケーション」を身につけるためのエッセンスを、全6回に渡り紹介します。今回は、第5回「知財英語ディスカッション 2」をお送りします。



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実戦経験が物を言う Teleconference

 前回の知財英語ディスカッション1では、ディスカッションスキルは、「相手の言うことを聴いて自分の主張をする力」であり、英語によるディスカッションのポイントを、

 1) 相手の言う英語を聴きとるステップ(listening)
 2) 相手の言うことを理解して自分の主張を考えるステップ(analyzing)
 3) 自分の主張をするステップ(speaking)

の3つのステップに分けて説明した。

 「Teleconference」=「電話でのディスカッション」とも言えるので、上記のディスカッションスキルを身につければOKか、というと、(皆さんご承知の様に)そうもいかない。 これまで解説してきたプレゼンテーションを含め、「知財英語コミュニケーション」は、ポイントやコツを頭で理解するだけでなく、実践を通して体得することが大切である。中でもTeleconferenceは、とにかく場数を踏むことが「ポイント」と言っても良いほど実践を通して体で覚えることが何より大切である。

 でも場数を踏むチャンスが無い…。

 そんな皆様のために、筆者の経験をアレンジし、「模擬Teleconference」として紹介してみたいと思う。少しでも実践に近くなるよう、場面を想像(妄想)しながら読んで、是非声に出して練習してみて頂きたい。特に、下線を付した部分は、考えなくても反射的に出てくるようにしたいフレーズである。(1)~(6)の番号を付した、Teleconferenceならではのポイントは、模擬Teleconferenceの後に説明する。


模擬 Teleconference

エスキューブ株式会社の知財部員である高橋さん、佐藤さん、小林さんが、東京のオフィスの会議室から、彼らの米国代理人であるニューヨークのABC法律事務所のハリスさん、ビゲローさん、サマーズさんとTeleconferenceを行う場面を想定している。

人物

会話

参考訳

Takahashi

Hello, this is Hiroshi Takahashi speaking (1), can you hear me?

もしもし、高橋広です。聴こえますか?

Harris (Attorney)

This is Mike Harris speaking. Yes, I can hear you. How are you?

マイク ハリスです。はい聴こえてますよ。お元気ですか?

Takahashi

Hi, Mr. Harris. I am good, thank you. We have Sato-san, Kobayashi-san, and myself from S-Cube corporation (2). Today, we would like your legal advice on the relevant third party patent to the product we’re developing.

ハリスさん、ええ元気ですよ。エスキューブからは佐藤さん、小林さんと私が参加しています。今日は、弊社で開発中の製品に関する第三者の関連特許について法的見解を聴かせてください。

Harris

OK. We have Dr. B…and… New… offi….……

はい。こちらは、……ビ……ニュ……オフィ……

Takahashi

Hello, hello, Mr. Harris, your voice is breaking up. Please say that again? (3)

もしもし、もしもし、ハリスさん。声が途切れています。もう一度言っていただけますか?

Harris

Sure……$#%&@### (noise) ……

分かりました。……$#%&@###……

Takahashi

I think we have a bad connection. There’s a lot of static.Why don’t we try connecting again? (4)

回線が悪いようですね。ノイズがひどいです。一度繋ぎなおしましょう。

Takahashi

Hello, Mr. Harris. Are you on the line?

もしもしハリスさん。繋がりましたか?

Harris

Yes, I am. Do you still hear any static?

はい、まだノイズがありますか?

Takahashi

No, it’s fine. Let’s get started. Who were you saying is on the call?

いいえ、今度は大丈夫です。では始めましょう。どなたが参加されてますか?

Harris

We have Dr. Bigelow and me from ABC law firm New York office and ……(beep)……

ABC法律事務所のニューヨークオフィスからは、ビゲローさんと私が参加しています。
……(ポーン)……

Takahashi

Did someone else just join?

今参加したのはどなたですか。

Summers (Attorney)

Hello, this is Karen Summers from ABC. I am joining from my home.

こんにちは、ABC事務所のカレン サマーズです。自宅から参加しています。

Takahashi

Hello, Ms. Summers. OK, we are all on line. I’d like to start with sharing our observation on the relevant patent, US 7654321. Sato-san, please go ahead.

こんにちは、サマーズさん。これで全員そろいました。まず関連特許US7654321に対する私たちの考え方をお知らせします。佐藤さんお願いします。

Sato

OK, we just found the US patent from our FTO search using the US patent full text database. After carefully comparing the claimed invention and the product we’re developing, we think our product may be included in the ‘321 patent. So, we need to make sure if we could go forward with the project as planned. What do you think, Mr. Harris?

はい。米国全文特許DBを使って調査し、ちょうどこの米国特許を見つけたところです。クレームと弊社で開発中の製品を注意深く比較したところ、弊社開発品がこの特許のクレームに含まれるのではないかと考えています。計画通りこのプロジェクトを進めて良いのかどうか確認したいと思っています。ハリスさんどうでしょうか?

Harris

Well……, I think your product is embraced by the claimed invention and we recommend not to launch it as it is.

そうですね、御社の製品はクレーム発明に含まれていると考えます。このままの仕様で上市するのはお勧めできません。

Sato

Mr. Harris, can you repeat what you just said? (5)

ハリスさん、今言ったことをもう一度言っていただけますか?(embracedが理解できなかった)

Harris

OK, your product is embraced by the claimed invention. That means the patent includes your product. So, if you launch the product in the US, you will infringe the 321 patent. Takahashi-san, does that make sense to you?

はい。御社の製品はクレーム発明に含まれる、つまりこの特許の権利範囲に御社の製品が入ります。したがって、米国でこの製品を上市すると321特許の侵害になります。高橋さん、お分かりになりましたか?

Sato

Yes, I understand, Mr. Harris. Dr. Bigelow, what are your thoughts?

はい、分かりました、ハリスさん。ビゲローさんはどう考えますか?

Bigelow

I agree with Mr. Harris. Sato-san, is there any possibility to design around?

私もハリスさんと同じです。佐藤さん、設計変更の可能性はありますか?

Sato

I have no idea right now, but I will check with our engineers.

今のところ何とも言えないですが、エンジニアに聞いてみます。

Kobayashi

This is Atsuko Kobayashi. Design around could be one option, but the owner of the 321 patent looks like an individual, so there may be an opportunity to get a license. Any suggestions on licensing?

小林温子です。設計変更も手ですが、321特許の特許権者は個人のようですね、とするとライセンスしてもらえるのではないでしょうか?ライセンスに関して何かコメント(提案)はありますか?

Summers

This is Karen. …Kobayashi-san is right. I don’t think the patent owner has a business, ……(she spoke so fast and Kobayashi-san could not follow her.).

カレンです。小林さんのおっしゃる通りです。特許権者が事業をやっているとは思えません(と、とても早口で話し、小林さんはついていけない)

Kobayashi

I’m sorry I couldn’t catch what you said. Could you speak more slowly, please? (6)

すみません聞き取れませんでした。もう少しゆっくり言っていただけますか?

Summers

Sure. I don’t think the patent owner has a business, so it is probably worth trying to contact him for a license.

はい。特許権者が事業を行っているとは思えませんので、ライセンスについてコンタクトしてみる価値があると思います。

Kobayashi

That’s good to hear.

そういっていただけて安心しました。(良かった)

Takahashi

OK. Thank you, Mr. Harris, Dr. Bigelow and Ms. Summers for your time. We will consult with our engineers about a design around and contact the patent owner as well. Enjoy the rest of the day, everyone. Bye!

ハリスさん、ビゲローさん、サマーズさん、お時間いただきありがとうございました。設計変更について弊社のエンジニアに問い合わせると同時に特許権者にもコンタクトしてみます。 皆さんお疲れ様でした。失礼します。

Everyone

Bye!

失礼します。





Teleconferenceならではのポイント

(1) This is Hiroshi Takahashi speaking (高橋広です)
誰が発言しているのかわかるよう、名前を名乗ってから話し始める。

(2) We have Sato-san, Kobayashi-san, and myself from S-Cube corporation. (エスキューブからは佐藤さん、小林さん、そして私(高橋)が参加しています)
誰が参加しているのかを紹介する時の決まり文句である。それぞれが名前を述べてもよいだろう。

(3) your voice is breaking up. Please say that again? (声が途切れています。もう一度言っていただけますか?)
Teleconferenceならではの頻出表現である。日本人の中には、声が途切れている場合に、無言で一生懸命聴き取ろうとする人もいるが、遠慮せずにすぐ聴き返そう。

(4) Why don’t we try connecting again? (繋ぎなおしましょう)
こちらもTeleconferenceならではの頻出表現。Connect again はreconnectともいう。また時には「let’s hang up and try again(電話を切って繋ぎなおそう)」と言ったりする。筆者はこの意味が分からず、「え?」と思っていたら電話が切られてしまい、「あーっ! 切れちゃったー」とオロオロした経験がある。こういうところで動揺してしまうと、その後のディスカッションが上の空になってしまうので、場数を踏むことはやはり重要である。

(5) Can you repeat what you just said? (今言ったことをもう一度言っていただけますか?)
(6) Could you speak more slowly, please? (もう少しゆっくりお願いできますか?)
これらいずれも日本人にとって言いにくいフレーズだが、Teleconferenceで相手の言うことが聴き取れなければ仕事にならない。聴き取れない場合、理解できない場合は、必ず聴き返すこと。


知財業務でTeleconferenceが有用な場面

 知財業務においては、今回「模擬Teleconference」として取り上げたように、権利侵害に絡むような、文書に残したくないセンシティブな事柄を話す場合にTeleconferenceが有用である。もちろんライブでディスカッションするに越したことはないが、Teleconferenceが気軽にできればより迅速に時間や出張旅費をかけずに目的を達成できる。
 その他知財業務において、「米国出願のオフィスアクションへの対応について現地代理人と相談する場合」「自社の海外拠点の知財担当者と会議をする場合」等にTeleconferenceを活用できれば業務の効率が格段にアップすること間違いない。


Teleconference練習法

 機会が無いとなかなか場数を踏めないTeleconferenceだが、ちょっと工夫すれば練習できる。お勧めの練習法は、スマホのスピーカー機能を使って同僚や友人と別々の場所で喋ってみることである。日本人同士なら日本語で構わない。できれば電話回線ではなくskype等を使った方がよい。その方が「聴き取りにくい状況に慣れる」練習になる。
 さらに、これをEnglish Speakerの友人と英語でできる機会があればベストである。


 さて次回は、「現地代理人とのコミュニケーション」のポイントとして、letter and email, Interview, Dining, Office visit について実例を挙げながら説明する。




編集/八島心平(BIZLAW)



田中 康子

Profile

田中 康子エスキューブ(株)代表取締役・エスキューブ国際特許事務所所長
知財経営コンサルタント・弁理士]

1990年千葉大学理学部卒業。1990年より 帝人株式会社 知的財産部。2005年より ファイザー株式会社 知的財産部、2006年住友スリーエム株式会社 知的財産部。 2013年4月 エスキューブ株式会社を設立。2013年8月エスキューブ国際特許事務所を設立。現在日本弁理士会 知財経営コンサルティング委員会 委員長。




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