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知財英語ディスカッション 1

エスキューブ(株)代表取締役・エスキューブ国際特許事務所所長
知財経営コンサルタント・弁理士 田中 康子

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さあ、「知財英語」で話そう 第4回

いまや「知財」は事業戦略の柱、そして「英語」はビジネスの要。「知財英語コミュニケーション」は、知財部員や弁理士だけでなく、法務部員、研究者、エンジニア、技術営業、弁護士等々、世界を相手に仕事をするグローバル人財にとって必要なスキルなのです。ところが「知財英語」は、知財や契約に関する法律用語の他、技術に関するテクニカルワードも含むため、英会話教室ではなかなか学ぶことができません。
この連載では、「知財英語コミュニケーション」を身につけるためのエッセンスを、全6回に渡り紹介します。今回は、第5回「知財英語ディスカッション 1」をお送りします。



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聴き取り、考え、主張する

 これまで、第2回~第4回では、知財英語プレゼンテーションのスキルを「Starting presentation」(導入)、「Main Body」(本論)、「Closing presentation」(まとめ)、「Dealing with questions」(質問への対応)の各構成について例を挙げながら解説してきた。今回は、知財英語ディスカッションについて取り上げる。

 第1回の「知財英語コミュニケーションとは何か?」において、十分なコミュニケーションのために必要なスキルとして、

 ・相手の言うことを聴いて自分の主張をする力(ディスカッションスキル)
 ・相手が理解できる言葉で表現する力(プレゼンテーションスキル)
 ・場を仕切る力(ファシリテーションスキル)


の3つを挙げた。

 プレゼンテーションスキルは「相手が理解できる言葉で表現する力」であり、Q&Aを除けば、『相手に対して表現する』ことに集中して、自分が相手に対して一方的に表現する内容を、予め準備しておくことで対応できた。
 これに対してディスカッションスキルは、「相手の言うことを聴いて自分の主張をする力」である。まず相手の言うことを聴いて理解し、その上で自分の主張をするという二つのステップが含まれ、さらに英語によるディスカッションの場合は、

 1) 相手の言う英語を聴きとるステップ(listening)
 2) 相手の言うことを理解して自分の主張を考えるステップ(analyzing)
 3) 自分の主張をするステップ(speaking)

の3つのステップに分かれると、筆者は考えている。

 自分の主張をするためには、最初に相手の言う英語を正しく聴きとることが欠かせないので、listeningスキルなしにはディスカッションは成立しない。そして、『相手の言う英語』すべてを事前に予測することはできないので、その場その場で対応することになる。

 『相手の言う英語』が聴き取れたら、次はそれを理解して自分の主張を考える(analyzing)ことになる。このanalyzingステップは、通常日本語で行われ、ディスカッションのトピックに関する知識(知財の知識)が必要とされる。そしてようやく自分の主張をするステップ(speaking)にたどり着く。
 このようにディスカッションでは、listening >>> analyzing >>> speaking の3ステップをその場で瞬時に行わなければならない。これが、知財英語のディスカッションの醍醐味である。とはいえ、日本語でなら誰もが日常的に、無意識に行っていることなので、場数を踏んで慣れさえすれば何とかなるものである。
 ただ、ほとんどの皆さんにとっては、その「場数」が程よい頻度で踏めず、いつまでたっても慣れない、というのが現実ではないだろうか。
 そこで、少ない場数を最大限に活かせるよう、1)listening、2)analyzing、そして3)speakingに分けてポイントを解説していく。


<Listening>
 大前提として、知らない単語は聴き取れない。さらに、発音やイントネーションを知らない単語も聴き取れないので、まずはボキャブラリーを増やすことからスタートしよう。

ボキャブラリーを増やす
 ボキャブラリーを増やす際には、受験生の様に単語帳を使って日本語と英語を一対一対応で「眼」で覚えるのではなく、フレーズとして、発音やイントネーションと共に「耳」で覚えることが有効である。最近は、インターネット上の辞書サイトやスマホの辞書アプリで、発音まで聴けるようになっているので活用すると良いだろう。

想定される単語の下調べ
 知財の話題についてディスカッションする場合、事前におおよそのトピックはわかっていると思うので、トピックの下調べをするとともに、関連する単語をピックアップしておくことをお勧めする。
 具体的には、想定される単語を調べてメモし、できれば声を出して読んでおくとよい。筆者の経験から、自分で発音できる単語は聴き取れる。参考までにいくつのトピックについて、想定される単語の例を挙げる。


他者特許への対応(日本)

日本語

英語

third party patent

他者特許

relevant patent

関連特許

litigation

訴訟

file a law suit / go to court

訴訟を提起する

written complaint

訴状

injunction

差止

damages

損害賠償

prevail = win

勝訴

fail = lose

敗訴

settlement

和解

success rate

成功率

patent invalidation trial

特許無効審判

opposition

特許異議申立

patentability

特許性

novelty

新規性

inventive step

進歩性

written description requirements

記載要件

prior art(複数もprior art)

先行技術


米国オフィスアクション

英語

日本語

rejection

実質的拒絶理由

objection

形式的拒絶理由

restriction requirement

限定要求

election of species

選択要求

invention disclosure statement (IDS)

情報開示陳述書

terminal disclaimer

ターミナルディスクレイマー

declaration

宣誓供述書

divisional application

分割出願

continuation application

継続出願

continuation-in-part (CIP)

部分継続出願

anticipate

新規性欠如

teach away

阻害要因

hindsight

後知恵

request for continued examination

RCE(継続審査)


聴き取れない場合の対処
 相手の英語が聴き取れない場合、聴き流してはいけない。聴き取れているふりはもってのほかである。自分が聴き取れていないことを認める勇気が、listeningスキルアップへの第一歩である。聞き取れていないことを認められたら、聴き返すのは簡単になる。聴き返すときには次の様なフレーズを使ってみて欲しい。


Could you say that again?  (もう一度言っていただけますか?)

※「もう一度言っていただけますか?」を連発するとばつが悪いが。次の様に言い換えるとスマートな印象となる。

Can you go slower please?  (もう少しゆっくり話してもらえますか?)
What does that mean?  (それはどういう意味ですか?)
You mean …. ?  (・・・・ということでしょうか?)
In other words?  (言い換えると・・(どうなりますか?))


<Analyzing>
 このステップ攻略のためには、ディスカッションのトピックについて事前に予習をすることが欠かせない。日本語で予習しながら、合わせて上述の「想定される単語の下調べ」をすれば万全である。
 英語でのディスカッションに慣れないうちは、listening >>> analyzing >>> speaking の各ステップははっきりと分かれており、英語を聴いて、日本語で考え、英作文して発言することになり時間がかかる。筆者も、外資系企業で初めて会議に参加したころは、相手の言ったことに対する自分の主張を考えているうちに発言するタイミングを逸することが多かった。でも慣れてくると、同僚のいうことを真似て、well… とか、that’s an interesting observation… 、I agree with you… などと言いながら考えて喋れるように(時間を稼げるように)なった。

<Speaking>
 英語のディスカッションで使用する一般的なフレーズに、知財英語をあてはめた例文集の様なものを準備しておくと心強い。ここで大切なことは、繰り返しになるが、準備した例文集を目で見るだけでなく、声に出して読んでおくことである。事前に音読したフレーズを本番で使う、これを繰り返すことで場馴れするスピードが格段にアップする。

一般的なフレーズ
意見を述べる(必ず理由と共に)
 I think / don’t think…because…
 I agree / disagree with you because…

意見を求める・問いかける
 What do you think…? / How do you feel…?
 Do you think this is… ?

確認する
 Does this make sense to you?
 Do you understand…?

言い換える
 In other words, … / In simple words, …
 Could you rephrase/paraphrase that ?

仮定する
 If we… / Suppose we…
 What would you think if…?

説得する
 We need to do… because…
 This is the most important thing because…

知財英語をあてはめた例文(トピックはランダム)

I think attendees of the training need to know what FTO is because some of them will be assigned to the patent search division.

(研修の参加者は、FTOとは何かを知る必要があると思います、なぜなら彼らの中には特許調査部門に配属される人もいますので。)


That might be one option, but I disagree with you because it is difficult to prepare by the due date.

(それも一つのオプションかもしれませんが、私は反対です。なぜなら、期限までに準備するのは難しいからです。)


I think our invention is novel over the references the examiner cited.

(私たちの発明は、審査官が引用した文献に対して新規性があると考えます。)


What do you think about the draft agenda of the IP education?

(知財教育のアジェンダ案についてどう思いますか?)


Do you think we should file an invalidation trial instead of an opposition?

(特許異議申立ではなく無効審判を請求すべきだと思いますか?)


Do you understand what the attorney-client privilege is?

(弁護士依頼人間秘匿特権についてご存知ですか?)


In other words, FTO is patent clearance.

(言い換えると、FTOはパテントクリアランスです。)


In simple words, patentability is conditions or requirements to obtain a patent right.

(簡単に言うと、特許性とは特許権を得るための条件や要件です。)


If we put recent developments in the JPO to the agenda, we need to study for preparing materials.

(もし最近の特許法改正をアジェンダに入れるなら、資料作成のために勉強しないといけません。)


What would you think if we have a brain storming session with R&D people prior to create an employee invention system?

(職務発明制度を作成する前に、研究開発部門とブレーンストーミングをすることについてどう考えますか?)


We need to file a patent application before February 15 because proto types covered by the invention will be put in the exhibition on February 15-17, 2017.

(2/15より前に特許出願をする必要があります、なぜならその発明でカバーされているプロトタイプを2017/2/15~17に行われる展示会に出展する予定があるからです。)


This is very important topic because we might have a litigation in the states in the near future.

(このトピックは非常に重要です、なぜなら近いうちに米国で訴訟をするかもしれませんので。)



<その他のポイント>
 その他、筆者の経験では、相づちの様な「つなぎ」言葉が出てこないことがよくある。上述のwell… 、that’s an interesting observation… 、I agree with you… の他、以下にいくつか思いつくものを挙げておくので是非試してみていただきたい。


I agree. / I think so, too. / Right.  そうですね。
Exactly. / Certainly. / Absolutely.  その通りですね。
OK.  はい。そうですね。わかりました。(日本語のオッケーと少しニュアンスが違う)
Go ahead. (同時に発言しそうになった時など)どうぞ。


 最後に、どういう場面でどういう表現をするのか、どういうタイミングで話に割って入るのか、というあたりは、ネイティブスピーカーの真似をするのが一番である。

 次回は、「知財英語ディスカッション2(Teleconference)」として、Teleconferenceの際のポイントを紹介する。




編集/八島心平(BIZLAW)



田中 康子

Profile

田中 康子エスキューブ(株)代表取締役・エスキューブ国際特許事務所所長
知財経営コンサルタント・弁理士]

1990年千葉大学理学部卒業。1990年より 帝人株式会社 知的財産部。2005年より ファイザー株式会社 知的財産部、2006年住友スリーエム株式会社 知的財産部。 2013年4月 エスキューブ株式会社を設立。2013年8月エスキューブ国際特許事務所を設立。現在日本弁理士会 知財経営コンサルティング委員会 委員長。




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