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キャパシティを超えた仕事が
生み出すもの

元財務官僚 山口 真由


――「どこを読んで、読まないか」という判断は、先ほど伺った、「何をやらないか」というところと通底する部分があるのでしょうね。法学部生もまた多くの基本書や解説書を読まなければなりません。そして、山口先生は「基本書は1冊で十分」という持論をこれまでの書籍の中で展開されております。このお考えは今でも変わらずお持ちなのでしょうか。

山口 そうですね。私は3冊の本を読むよりも、1冊の本を3回読めばよいと思っています。
 正直、3冊読む時間を使って、1冊を5回読めると思うんですね。読むうちに速度が上がっていきますから。
 たとえば法科大学院生の場合には、色々な教科書があると思います。私も学生時代はさまざまな教科書を指定されて読んでみたのですけれど、基本的には、書いてあるコアの部分は、どの書籍でもさほど違いはないと思うんですね。だからこそ、ひとつの物事が複数の書籍ごとに違った表現をされるよりも、1冊の書籍の中で矛盾なく覚えたほうがよい。結果的に、基本書は1冊に限るという意見に行き着きました。


――山口先生がその1冊を選ぶ際には、いわゆる研究書よりも学習用の参考書的なもののほうが、内容が網羅的でおすすめです、というご意見がこれまでの著書に書かれていました。ここもやはり、今の学生に対しては同じメッセージでしょうか。

山口 私が東大で勉強する中で触れた、先生方のご著書に著されている学説は非常に興味深く、面白いと思いました。けれども、何せ深すぎる面があります。加えて、大事なことは脚註に落ちている(笑)。実際に授業を聞けば、この脚註の意図は分かるのでしょうけれど、「大事なのに何で本文に書いてくれないの!」と感じたことも多々ありましたし、そういう意味では、学者の書く本というのは、何というか、高みから書いていて、なかなか知識の少ない生徒の立場まで降りてきてくれないと感じます。ある程度、研究者になりたいとか、アドバンスの勉強をしたいという方には面白いと思いますが。
 ちなみに、私は2冊組の書籍があれば、それを学習の軸にしようと決めていました。


――それは何か由来があるのでしょうか?

山口 まず、2冊組であるほうが、本に含まれる情報が豊富。私は新しい物事を習得しようとするとき、基本的に1タイトルだけを読むことにしているので、可能な限り網羅的なものを読まなくてはならない。
 長い本は内容が網羅的であるということと、どこでも読めることの2点が本を選ぶ基準です。私はどこでも読むんです。その本を持ち歩いて、移動中や、早く目的地に着いて余った時間を使って読みます。2冊組のタイトルは、個々の本は1冊のタイトルよりも薄いので、要件基準を満たしているんです。


――可搬性とタイムマネジメントの両立ですね。

山口 時間が空くのが苦手なんです。何でも詰め込みたくなってしまう。


――山口先生は、2015年7月からハーバード大学のロースクールにご留学されます。日々のお仕事、ご執筆、メディアでのご活躍の中で留学の準備を進めるのは非常にタイトかと思います。今の隙間時間の使い方にもありますように、そもそもオフというものを求められないのでしょうか。

山口 オフっていうのは、私はあまり得意ではないんですね。ずっと仕事をしてしまうほうなので。
 それが逆に良くないんではないかと思い、最近はちゃんと区切るようにしています。23時まで仕事します、それ終わったらビール空けます、と(笑)。
 ただし、それまではオンもオフもなく、仕事に時間を費やしていました。特に20代のときは、やっぱり前に30人、40人優秀な弁護士がいて、そうなると、割いた時間の量でどのぐらい伸びるかというのが決まってくるんじゃないかと思っていました。そうであるならば、私は1日24時間あるうち、なるべく多くの時間を仕事に割り当てようと思ったんです。
 そうなると、なかなかオンとオフの区切りは取れませんでしたね。

第2回へ続く


取材、編集/八島心平(BIZLAW)
写真/市川貴浩




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 成長を生きる弁護士



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山口 真由

Profile

山口 真由 [元財務官僚]

1983年生まれ、札幌市出身。2002年、東京大学文科Ⅰ類に入学し、在学中に司法試験、国家公務員Ⅰ種に合格し、2006年3月に法学部を首席で卒業。同年4月に財務省に入省し、主税局に配属。2008年に財務省を退官し、2009年から2015年まで大手法律事務所に勤務。2015年7月より、2016年8月までハーバード大学ロースクールに留学。主著に『天才とは努力を続けられる人のことであり、それには方法論がある』(扶桑社、2014)『エリートの仕事は「小手先の技術」でできている。』(KADOKAWA/中経出版、2014)『東大首席弁護士が教える「ブレない」思考法』(PHP研究所、2015)、『いいエリート、わるいエリート (新潮新書)』(新潮社、2015)等多数。




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