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キャパシティを超えた仕事が
生み出すもの

元財務官僚 山口 真由

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成長を生きる弁護士 第1回

東京大学在学中に司法試験をパスし、法学部を首席で卒業。2年間の財務省勤務時代には国際課税を含む租税対策を担当し、退官後に弁護士登録。現在、企業法務専門の弁護士として活動しながら、さまざまなメディアでのコメンテーター、書籍の執筆など、多岐に渡って活躍する山口真由弁護士。パーフェクトに思えるキャリアの裏には、自分自身、仕事に対するストイックな対峙の姿勢が在った。現在の国内法曹市場、そして若手人材に対して山口先生が抱く課題意識はどのようなものなのか。お話を伺った。



――山口先生は非常に御多忙の中で、これまでも数多くの著書を出版されております。こちらの書籍の中でも、山口先生ならではの時間の使い方について著されております。改めまして、弁護士を目指している法学部生や若手弁護士の読者に対して、山口先生のタイムマネジメントのコツのようなものがあれば、お聞かせいただいただけますでしょうか。

山口 タイムマネジメントのコツというものは、大きく言えば1つだけしかありません。それは「優先順位を明確にすること」に尽きます。何をやらないか、ということをきちんと決めることです。
 忙しい日々の中で、勉強も、仕事も全部やろうとすると、それだけで一日が終わってしまいますから、だからこそ個々の案件ごとの締め切りを鑑みながら、「何をやらないか」を選択することが大事だと思います。

 私たちは毎日、時間というものを選択していかなくてはいけません。たとえば朝起きて、出かける前に1時間あるとします。そこで、朝ご飯を食べるのか、シャワーを浴びるのか、それとも新聞を読むのか、という選択をします。
 物事の優先順位が分からないという人は、毎日の意識的な選択の中で、「自分が何を選んだか」ということを覚えておくことが大事です。

 毎朝、私は朝刊を読み、それから法律事務所に行ってメールをチェックし、返信をする、という選択をしています。その選択を1つずつ覚えておけば、それが「自分はこういう人間なんだ」という自分自身の軸を形作ることにつながります。
 たとえば、自分は朝の1時間を、朝ご飯を食べることよりもむしろニュースを見ることに使う人間だということが明らかになっていきます。

 いずれの選択が良い、悪いということではなくて、自分自身がどういう人間で、何に一番価値を置いているのかということを見えるようにしていくことが大事なんです。そうすると、決断の速度がものすごく速くなります。「何をしないか」ということが分かると、物事を選ぶ時間が短縮できます。決断を速くするための自分の軸がどこにあるのかを明確にして、軸がブレないようにしておく。それがタイムマネジメントの一番のポイントだと思います。


――今のお話に関わってくることと思うのですが、日々の弁護士業務の中では、膨大な量のドキュメントを読みこなさなければいけない状況が必ず発生します。弁護士を志している方には、「読む」スキルは、法的な知識と同等かそれ以上に必要になってくるものと思います。山口先生がこれまでの書籍で書かれているのは、「1冊の本を2時間かけて熟読するよりも、30分4回繰り返して読むほうが効果的」という内容です。この発想や学習方法は、どのように編み出されたのでしょうか。

山口 真面目に読んでいたのでは絶対にこなせない量の仕事を受け、最初に自分に負荷をかけるといった体験からですね。そうすると、人は何らかのウルトラCを生み出すと思うんです。
 弁護士の場合、この時間内に読まなければならない判例の量が、真面目に判例を読み説いていたのでは明らかに間に合わない、という状況があります。
 個々の判例は非常に長大ですよね。長いけれども、原告の主張、被告の主張があり、その後に裁判所の判断があり、重要なポイントとそれ以外の要素が混在している。期限内に間に合わせるには、原告の主張から平坦に読んでいくのではなく、メリハリをつけた読み方をしなくてはならない。その読み方を身に付けるには、最初に自分のキャパシティを超える仕事を受けるということと、あとは経験を重ねることです。

 たとえば判例というのは、読んでいるうちに読み方が分かってきますよね。判例を読み重ねるうちに、「今日は時間がないから、最初に裁判所の判断からはじめよう」という判断もできるようになる。ただ平坦に判例を読むのではなく、「ここが大事なんだな」と意識しながら読んでいけば、必ず「判例を読むスキル」は身に付いてくると思います。




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山口 真由

Profile

山口 真由 [元財務官僚]

1983年生まれ、札幌市出身。2002年、東京大学文科Ⅰ類に入学し、在学中に司法試験、国家公務員Ⅰ種に合格し、2006年3月に法学部を首席で卒業。同年4月に財務省に入省し、主税局に配属。2008年に財務省を退官し、2009年から2015年まで大手法律事務所に勤務。2015年7月より、2016年8月までハーバード大学ロースクールに留学。主著に『天才とは努力を続けられる人のことであり、それには方法論がある』(扶桑社、2014)『エリートの仕事は「小手先の技術」でできている。』(KADOKAWA/中経出版、2014)『東大首席弁護士が教える「ブレない」思考法』(PHP研究所、2015)、『いいエリート、わるいエリート (新潮新書)』(新潮社、2015)等多数。




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