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自国の問題を
グローバルな文脈に置き換える

Unilever CLO Ritva Sotamaa

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「自分の頭で考える勇気を」 第1回

有数のグローバル企業として、高い知名度を持つユニリーバ社。2013年に同社へ入社し、法務部門のトップとして、同社で初めてボードメンバーとなったのがRitva Sotamaa氏だ。シーメンスAGやGEヘルスケア社など、名だたるグローバル企業の法務部門トップを歴任してきた彼女が語る、「グローバルで通用する法務担当者」になるために求められるスキルとは?



自国で起きている問題を
グローバルな文脈に置き換える

――ユニリーバの法務部門が、グローバルなグループ全体で担う役割について教えてください。

Ritva ご存知のとおり、ユニリーバは消費財を中心に、グローバルにビジネスを展開しており、製品を供給している国は190か国にのぼります。その中で法務部門は50か国の拠点で活動しており、全体では約500人が所属しています。

 法務部門としては2つの役割があります。ひとつはビジネス自体が成功するために後押しする役割です。もうひとつは、ビジネスが失敗しないよう、企業の信頼を守り、ブランド価値を維持するためのリスク回避の役割です。我々は常に、この両輪で動いています。

――日本では、法務部門は契約書を細かく審査したり、作成する業務がまだまだ仕事の中心といえます。そして他部門からは、どちらかというと、ビジネスの動きに待ったをかける立場とも見られてしまいがちな面があります。この点、どのように思われますか?

Ritva ユニリーバ法務部門のマネージャー層は、部下に対して「相談者のビジネスパートナーであれ」と常に強調しています。受け身の体勢ではなく、他部門と同様に、積極的にビジネスに関与していくことが我々法務部門にも求められていると考えています。

――それは、Ritvaさんがこれまで在籍しておられた他のグローバル企業においても一般的な姿勢だったのでしょうか。法務がビジネスに積極的に関与するカルチャーは、グローバルスタンダードだといえるのでしょうか?

Ritva そうですね。それはおそらくグローバルなトレンドとも言えるでしょう。どの企業にも、自社のビジネスに関連するさまざまな規制が存在し、それらに適切に対応しながらビジネスの舵取りをしていくためには、そのパートナーとして、法律分野の専門家である法務部門の役割が不可欠です。ただ、法務部門の位置付けは企業によって異なりますから、今は日本も含め多くの法務担当者が、理想的なビジネスパートナーになるための旅路の途中にあるのだと思います。各法務担当者は、自社が行うビジネス活動全体に興味や問題意識を持ってアクセスしなければなりません。

 ユニリーバの法務部門担当者は、普段から、多くの国のリーガルリスクに目を凝らしています。どんな規制があり、それに関してどんなリスクが生じ、どう問題解決すべきかのアプローチに日々腐心しています。そしてそれは常に、ユニリーバが現在行っているビジネスとの深い関わりの中で考えるべきことです。

――現在、日本企業の法務部門で働いている方の中では、大学の法学部を卒業し、弁護士資格を取らずに就職して、法務部門に配属されたという人たちがまだ大半を占めています。日本のロースクール(法科大学院)を卒業して司法試験に合格し、弁護士資格を持って企業に入るインハウスローヤーも急激に増えてはいますが、まだ少数派といえます。その状況の中で、「企業のビジネスパートナーとして、法律の専門知識を持ったスタッフとして働く」ことを求められる法務担当者には、どのようなスキルや姿勢が必要でしょうか?

Ritva ユニリーバの法務部門にも、多くのバックグラウンドを持つスタッフが集まっています。例えば私は、フィンランドの大学で法律を学び、グローバル企業の法務部門を目指しました。実際のところ、グローバルなビジネスでは、国際的な法令やルールを理解したうえで、問題解決する能力が必要とされます。

 そして法務部門が、グローバル企業の各国でのレピュテーション維持を支えるために、ビジネスパートナーとして重視しなければならないポイントは2つあります。ひとつは、現地の規制について正しい知識を持っていることです。そしてもうひとつは、他の国で何が起きているかを認識し、グローバルにつなげる能力です。例えば、日本のジェネラルカウンセルである北島さん(※)は、世界中の法務スタッフから各国で何が起きているかの情報を得て、日本において必要な情報を翻訳し、北東アジアのブランチ相互に橋渡ししています。またその逆の場合もあります。

 もし、グローバル企業の法務部門で働きたいと思うのならば、自国で起きている問題をグローバルな文脈に置き換えた場合にどのような意味を持つのかを自分の頭で考えることができ、それを内外に発信する能力を磨くことですね。それは非常に重要なスキルです。

 ※北島敬之氏(ユニリーバ・ジャパン・ホールディングス株式会社 代表取締役 ジェネラルカウンセル)

――ちなみにユニリーバでは、若手法務担当者にはどのようなトレーニングやカリキュラムが用意されていますか?

Ritva 3種類のプログラムがあります。ひとつめは、新人法務担当者向けの導入研修です。ここでは数か月をかけて、ユニリーバのビジネスをサポートするための方法を身につけてもらいます。これは純粋な法律家とビジネスマンとの橋渡しとしてのステップです。

 ユニリーバのカルチャーに触れ、組織の中で誰を知っておくべきか、ユニリーバのビジネスを支えるためにどのような法分野に詳しくなっておくべきか、そうしたことを最初のステージで学んでもらいます。
 2つめは、実際に働きながらさまざまな法律に関して自己学習するステージです。その際、常にグローバルな視点で知識を確認し、磨くために、プライバシー問題やクロスボーダーのM&Aなど、さまざまな案件・課題に広く触れてもらいます。
 3つめはビジネスを円滑に進めるためのスキルに関するトレーニングです。特に、文化的背景の異なる他国のスタッフとのコミュニケーションの取り方やITスキル、また、複雑な法的問題を単純化し、実際のビジネスの場面に落とし込んで翻訳できるようになるための能力を磨いてもらいます。

第2回に続く


取材/漆崎貴之(BIZLAW)
通訳/加藤 彰
編集/八島心平(BIZLAW)
写真/稲垣正倫(BIZLAW)



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 自分の頭で考える勇気を

Ritva Sotamaa

Profile

Ritva Sotamaa [Unilever CLO]

Unilever Chief Legal Officer(CLO)。フィンランド生まれ。シーメンスAG、GEヘルスケア社などのグローバル企業で法務部門のトップを勤める。2013年、ユニリーバで初めて法務部門トップ(CLO)としてボードメンバーに名を連ねた。




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