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「もったいない精神」で、
全部活かす

弁護士 外岡 潤

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戦略、志としての「介護弁護士」 第2回

 将来的に、どうやって顧客を開拓していくのか――。若手弁護士や弁護士を目指す学生が抱えている、一番の課題ではないでしょうか。今回は、「介護弁護士」という独自の切り口を展開して活躍している、外岡 潤先生へのインタビューをお届けします。将来のために知っておきたい、外岡先生ならではの「発想のヒント」をいただきました。弁護士や法学部の学生の方はもちろん、社会人やこれから社会に出ていく方にも、ぜひお読みいただきたいお話です。
 第2回は、「もったいない精神」で自分のバックグラウンドを活かすことの大切さについて、外岡先生の体験談とともにお聴きしました。



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「介護」は今後、
絶対キーワードになる

――外岡先生は、株式会社レガシィから『すぐに実践できる介護業界へのアプローチ方法』がリリース(注1)されています。この商品の見どころ・聞きどころを教えてください。

外岡 第1回でお話しした「自分で決めて展開していく方法」と、「ちょっと遠回りのようだけど自然とボトムアップしていく方法」。その両方を意識した実践的な内容になっています。具体的なそのテーマが、「介護」なんです。具体的な内容は実際に商品をご覧になっていただければと思いますので、まずは、大事な前提をお話しますね。

 当たり前ですが、人間誰でも歳を取ります。すると、自分の祖父母や親が要介護になったり、自分の地域で介護で困っている人がいたり、介護に関するエピソードは何かしら必ず出てくる。「介護」が絶対キーワードになってくる未来が予見できるんです。
 そういう現状を一つのきっかけとして興味を持って、介護福祉分野でやっていく。介護は結局地域密着なので、地域ごとにそういう弁護士がどんどん増えていけばよいと思います。その時に、いきなり参入するのではなくて、「業界のことを何かしら知っている」とアピールできれば、非常に有利です。

 介護業界には、相続、後見、虐待など多くの問題があります。その全部が定期的にお金になる、とは言えませんが、そうした問題に対する窓口の一つになることで、弁護士に対しても相談しやすさが出てくる。介護が得意分野かどうかではなくて、そこから行政訴訟、債権回収や相続後見制度、労務問題など、既存の分野につながっていきます。

 要は、何か一つ自分の中で、介護と関連した確たるミッションを持つこと。意気込みだけでもいいんです。因みに私のミッションは「介護の現場に平和をもたらす」です。それを持っていれば、自然とケアマネージャーが相談に来たりして、福祉職と連携できるようになる。逆に言えば、それだけ介護の現場は相談できる法律家がいない、いたとしても相談しづらい状況が本当に相変わらず続いているんです。


――なるほど。「業界の相談しづらさを払拭する」というのも、介護弁護士を目指す方のミッションとなるわけですね。

外岡 そうですね。具体的には、ケアマネージャーがいる居宅介護支援事業者、あるいはホームに入っている地域包括支援センターで、最初は無料で一般市民の方に向けて、終活、相続、契約などについて基本的な話をするとか。そういう勉強会を始めて、地道に続けていくうちに相談が来るようになる。案件が積み重なってくると、だんだん話せることも増えてきて、徐々に知られていく。振り返ってみると、それが私のやり方だったかなと思います。
 そのやり方のよいところは、一人でもできるところ。そういう意味では、即独にすごく向いていて、一番入っていきやすい業界かなと思いますね。

実務経験が武器になる
―バックグラウンドを活かして

――外岡先生の既刊書『介護職員のためのリスクマネジメント養成講座』は、介護現場の方に対して法的な知識、基礎的な知識を身に付けましょうという内容でした。
 逆に、介護分野のような特定の活躍場所を探している若手法曹に対しては、介護に絞らずともまずはどこか一つの業界の裏側を見て経験を積みましょう、ということが外岡先生の考えるキャリア作りの重要ポイントなんですね。

外岡 はい。弁護士においては、やっぱり社会での実務経験があるというのが、非常に武器になると思いますね。それは本当に人それぞれですけど。ただ非常にもったいないと思うのが、青田刈りというか、20代で最短距離で来た人しか四大に入れないとか、なんだか競争みたいになっていること。就職だけが一つの価値観で他に選択肢がない、と集団で思っているところが弁護士にはあるかなと思います。キャリアを始めるには20代前半でないと負け組みたいな、非常に極端な狭い世界に陥りがちなところがある。

 たとえば、実家は過疎地にあるけど独立してやってみようとか、そういう在野精神みたいなものがなくなってきたのかなと感じているんです。それこそ30、40代でデビューする人は、そこまでに積みあげたバックグラウンドがあるわけなので、それを活かさないともったいないし、十分活かせると思うんですよね。たとえば、歯科衛生士をやっていた方であれば、歯科医の業界に通じていたりと、人それぞれの強みがある。ある意味、そういう方が普通の町弁(注2)に就職すると、うまくその強みを活かせないのでは、とも思います。

「もったいない精神」と
「案ずるより産むが易し」でやってみる

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(介護施設で手品を披露する外岡先生)

――ストレートでキャリアを積む路線がある一方、30、40代でこれまでの背景を活かしたリーガルデビューをしている方に対して、非常にエールになったと思います。第1回で、介護分野に入ったきっかけは、最終的にはひらめきだったとおっしゃいました。このひらめきというのが非常に難しいと同時に、ユニークだと思います。
 最後に、読者の方が今後自分のキャリアを志向していくにあたって、いつかひらめきを得るためにはこういうことをやっておくとよい、というアドバイスをお願いします。

外岡 最初に『ヘルプマン!』を読んだことと、そこに加えて、趣味で手品をやっていたことが今のスタートになったと思っています。介護現場の法律問題に弁護士ニーズがあるのでは?というひらめきと、高齢者の方々に手品を披露したら喜ばれるかな、というひらめきが重なったんですよ。
 もったいない精神というか、これまで自分がやってきたことが今の事務所で活かせないかというところで、介護分野なら全部活かせるんじゃないかという。転んでもただじゃ起きないじゃないですけど(笑)。結果としてそれが活かせたのはラッキーでした。

 そういう意味では、一見すると法律の仕事とは関係ないようなことをやってみるというのがよいかもしれませんね。本を読んだり、習い事をしたり、外国語を勉強したり。逆に、そういう余裕がなくなると、目の前の就職をどうしようというところになりがちです。でも実は、始めてみればたいしたことなかったりして、案ずるより産むが易しっていうことはまだまだ言えると思いますけどね。

 超高齢社会(注3)が2035年に向けて、急速に発展していくことは間違いありません。より多くの人々が、否が応でも介護に関することは扱わざるを得なくなってくるでしょう。であれば最初から、ヘルパーの資格を取るなり、何か他の法曹とはちょっと違うことをする。介護分野にはさまざまな要素があるので、やってみたいことを自分なりに深められる懐があります。仕事はいくらでもあるし、これからも増えていくでしょう。これからのキャリアを投じる先としては多くの可能性が秘められている、まだまだ未開の分野だと思いますね。


文/冨岡由佳子
写真/木村寛明
制作/BIZLAW編集部


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介護職員のためのリスクマネジメント養成講座
The lecture of risk management for care worker

【著者】外岡 潤
定価:¥2,600+税

出版社:   レクシスネクシス・ジャパン
ISBN-13:  9784908069314
発売日:   015/8/11



※注
(注1)CD・DVD『すぐに実践できる介護業界へのアプローチ方法
「弁護士は介護業界へどのようにアプローチし、顧客を獲得していけばよいか」というテーマについて音声・動画解説。実際に外岡先生が行った社会福祉法人向けセミナーも再現。

(注2)町弁
個人で開業し、主に地域の住民からの依頼を受ける弁護士。

(注3)超高齢社会
65歳以上の人口が総人口に占める割合が高齢化率。高齢化率が7%を超えると高齢化社会、14%を超えると高齢社会、21%を超えると超高齢社会と呼ぶ。



 この連載記事を読む
  戦略、志としての「介護弁護士」/外岡 潤

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レガシィCD・DVDの紹介


レガシィでは、CD・DVDを通じて、主に弁護士の先生方に向けて実務に役立つ専門情報を販売しております。短時間で、場所を選ばず、実務ノウハウが習得できると好評いただいております。外岡先生の商品をはじめ、様々な分野の商品を取り揃えておりますので、ぜひ一度ホームページをご覧ください。

ホームページ:http://www.legacy-taxport.fpstation.co.jp/

外岡 潤

Profile

外岡 潤 [弁護士]

昭和55年札幌生まれ、東京育ち。東京大学法学部卒業後、弁護士に。企業法務系法律事務所を経て、平成21年に介護・福祉専門の「法律事務所おかげさま」を開設。同年ホームヘルパー2級、ガイドヘルパー資格を取得。
財団法人介護労働安定センター雇用管理コンサルタント。平成24年6月より、一般社団法人介護トラブル調整センター代表理事。介護トラブルの裁判外解決(ADR)活動を推進。セミナー・構演などで専門的な話を分かりやすく、楽しく説明することが得意。特に介護トラブルの回避に関するセミナーは独自の経験と論理に基づいており定評がある。
主な著書は、『おかげさま~介護弁護士流老人ホーム選びの掟』(平成23年、ぱる出版)、『介護トラブル対処法 介護弁護士外岡流3つの掟』(平成26年、メディカ出版)『介護職員のためのリスクマネジメント養成講座』(平成28年、レクシスネクシス・ジャパン)他多数。




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