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「介護」にひらめき感じ、
独自の切り口を展開

弁護士 外岡 潤

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戦略、志としての「介護弁護士」 第1回

 将来的に、どうやって顧客を開拓していくのか――。若手弁護士や弁護士を目指す学生が抱えている、一番の課題ではないでしょうか。
 今回は、「介護弁護士」という独自の切り口を展開して活躍している、外岡 潤先生へのインタビューをお届けします。将来のために知っておきたい、外岡先生ならではの「発想のヒント」をいただきました。若手弁護士や法学部の学生の方はもちろん、社会人やこれから社会に出ていく方にも、ぜひお読みいただきたい内容です。
 第1回は、「介護」の分野を志したきっかけ、実績を上げるための道筋の立て方についてお聴きしました。



広い視野と
バランス感覚が大事

――外岡先生が、そもそも介護の業界を志向したきっかけは何ですか。

外岡 私はもともと英語が好きで、英語を扱う案件に漠然とした憧れがありました。そこで、海外案件も扱う事務所に所属したのですが、案件を担当していく中で一年経った頃には、「最終的に自分はこの道でずっと行っていいのか?」という葛藤がちょっと出てきたんです。
 事務所の中で、会社法、金商法、独禁法など、法律ごとのエキスパートがだんだん育っていったり、先輩や同期が留学したりする様子を見ていくうちに、自分には何が一番向いていて、弁護士として力を発揮できるのはどの領域なのかと考えた時に、贅沢な話ですが、自分が何か特定の法律や分野でやっていくというのが、ピンと来なかった。

 そういう中で、本当にたまたま『ヘルプマン!』(注1)という、くさか里樹先生が描かれている漫画を読みました。介護の現場に密着して、認知症の高齢者の家族が混乱に陥って不安になっているところを、若い介護士が機転を利かせて明るい方向へ持っていくという話で、スーパーマン、ヘルプマンという形でうまく描かれている漫画です。
 それを読んで、介護というものの実態を初めて知りました。高齢者の方はあまり活発に動くこともないだろうから、平和で単調な世界なのかなという、それまでの漠然とした介護に対するイメージが覆されました。皆さん非常に元気でアクティブで、そういう中でトラブルも当然起きてくる。数多くの問題があるのではないかと思いました。それなら自分は弁護士として、その問題に対処できるのではないか?とひらめいたんです。

 そもそも、介護の世界で弁護士にニーズがあるのかは全く分からなかったですが、自分の力を発揮する切り口であるという直感と「介護の世界でやりたい!」と強く思ったのがきっかけでした。それで本当に後先考えず独立した、というのが最初でしたね。


――外岡先生はこれまでに何冊も著書を出して、介護弁護士のパイオニアとしてご活躍中です。「外岡先生のようになりたい」という若手の方々も出てきていると思いますが、手応えはありますか。

外岡 そうですね、ホームページに「介護福祉専門」と謳うと、他にやっている人がまだあまりいないので、検索すると上位に出てきます。司法修習生で、実際に身内を介護していた、あるいは訪問介護の事業所の事務員だったという人達が、昨年は何人か連絡をくれました。そういう人たちが、今年から介護分野での弁護士になったというケースもあります。「自分以外にも、介護福祉の業界で何か力になりたいと思っている人がいるんだな」と実感しましたね。
 ロースクールを出て弁護士になる過程で、介護業界に関わる人が、これからますます増えてくるのかなと思っています。


――介護福祉の分野で求められるリーガルサービスのポイントは、どういったものだと思いますか。

外岡 なかなか一言では言い難いところがありますが。やっぱり私が常日頃感じていることは「バランス」です。法律は色々な要点というか本質、切り口がありますが、そのバランス感が大事だと思いますね。
 アドボカシー(注2)、権利擁護という概念ももちろん大事ですが、権利ばかりになってしまうと、結局は立ち行かなくなる。保護者的なパターナリスティック(注3)な視点もあれば、一方で愚行権(注4)という言葉があるくらいで、法的な観点で議論しても仕方ない部分はやっぱり出てくるわけです。

 たとえば認知症の方であれば、自宅に閉じ込めない生活を実現させるのであれば、それに伴うリスクを分散して、社会全体で安心して生活できる環境をチームワークで構築していくことが必要です。そこは法律で割り切って、その人の権利あるいは関係者の利害関係という視点だけでは、なかなか解決できない。
 そういう意味では、介護業界の問題には本当に多くの解決方法があります。弁護士として非常に工夫しがいがあるというか。さまざまな意味で視野を広く持たないと、最適な解決には至りません。先ほどバランスと言ったのは、その辺りの感覚ですね。

活躍への道筋
―決め打ちで独立・縁・就職

――「セルフブランディング」という言葉がありますが、外岡先生はその先駆として、「介護弁護士」というブランドを構築して実績を上げています。自分を前に出して売り込んだり、カラーを出すのが苦手な弁護士層に対して、外岡流ならではのセルフブランディング方法を教えてください。

外岡 一つは、私のように決め打ちというか、最初からコンセプトを決めて、独立してしまうという方法があります。まさに介護など、競合があまりいない分野であれば、自分で最初からパッケージ、店構えというか、ホームページを作り込むのが分かりやすいと思います。

 でも、競争が激しくてノウハウもない。そもそも自分がどの分野に向いているのか分からないのであれば、月並みですが、最初の段階では周りの「縁」を大事にすることでしょうね。
 最初に入ってくる仕事を契機として、自分の特徴、「こういうのが得意だ」というのが見えてきたら、それにだんだん集中していくのが、一番自然な流れだと思います。
 それこそ弁護士の先生方のきっかけを聞いたり、伝記や自叙伝を読んだりと、本当に自然とその分野に集中するようになったというのが基本的に多いですね。だから焦らないで、一つ一つ事件をやっていく中で、自分のやりたいことを見つけていくというのも手です。

 ただ、戦略的にブランディングを考えるのであれば、弁護士としてスタートする前にどこかに就職するとか、たとえば不動産会社や保険会社など、業界の裏側が分かるところに入っていく。それを一つのキャリア、肩書にしてしまうのが、遠回りのようで一番実績を作りやすいと思います。実際に弁護士として始めてしまうと、目の前のことに追われてしまうので。


――弁護士資格を持ちながら、まず特定の企業に所属して研鑽を積むという方法もあるのですね。

外岡 弁護士登録をせず、本当に普通の被用者として一年くらい働いてみると、業界特有の問題点とか解決されていない部分があることが分かってきます。リサーチのようなつもりで働いてみる、というのもよいかもしれません。

(第2回に続く)


文/冨岡由佳子
写真/木村寛明
制作/BIZLAW編集部


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出版社:   レクシスネクシス・ジャパン
ISBN-13:  9784908069314
発売日:   015/8/11



※注
(注1)『ヘルプマン!』
日本の老人介護を題材にした作品で、高齢社会の問題点を分かりやすく、リアルに描いている。2003年から『イブニング』(講談社発行)、2014年から『週刊朝日』(朝日新聞出版発行)にて連載。

(注2)アドボカシー
自己の権利を表明することが難しい寝たきりの高齢者や痴呆症の高齢者、障害者の代わりに、代理人が権利を表明すること

(注3)パターナリスティック
パターナリズムとは、父権主義のことで、人の意思に関わりなく、本人の利益のために本人に代わって意思決定すること。

(注4)愚行権
他人から愚かだと評価・判断される行為であっても、他人に迷惑をかけなければ邪魔されない権利。



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  戦略、志としての「介護弁護士」/外岡 潤

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外岡 潤

Profile

外岡 潤 [弁護士]

昭和55年札幌生まれ、東京育ち。東京大学法学部卒業後、弁護士に。企業法務系法律事務所を経て、平成21年に介護・福祉専門の「法律事務所おかげさま」を開設。同年ホームヘルパー2級、ガイドヘルパー資格を取得。
財団法人介護労働安定センター雇用管理コンサルタント。平成24年6月より、一般社団法人介護トラブル調整センター代表理事。介護トラブルの裁判外解決(ADR)活動を推進。セミナー・構演などで専門的な話を分かりやすく、楽しく説明することが得意。特に介護トラブルの回避に関するセミナーは独自の経験と論理に基づいており定評がある。
主な著書は、『おかげさま~介護弁護士流老人ホーム選びの掟』(平成23年、ぱる出版)、『介護トラブル対処法 介護弁護士外岡流3つの掟』(平成26年、メディカ出版)『介護職員のためのリスクマネジメント養成講座』(平成28年、レクシスネクシス・ジャパン)他多数。




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