MENU
BIZLAW BIZLAW
Powerd by LexisNexis®
BIZLAW
BIZLAW Powerd by LexisNexis®

RSS
Google+
Twitter
Facebook
HOME

作品を磨き上げるために、
会社を分ける

株式会社スマイルズ 経営企画本部本部長 兼 人事総務部部長 兼 ベンチャー推進室室長 田原 研児

smiles_image02

「好きなこと」への熱量で世の中の体温を上げていく interview by CORK 第3回


nakaraisann

クリエイターのエージェント会社コルク法務部の半井さんが興味本位で企業・人物訪問するコーナー「Interview by CORK」第7回は、株式会社スマイルズで経営企画本部本部長、人事総務部部長、そしてベンチャー推進室室長を兼任される田原研児さん。最終回は、あのスープストックを「株式会社スープストックトーキョー」にした真意を伺います。


関連記事
 「好きなこと」への熱量で世の中の体温を上げていく 第1回 すべての事業は作品…
 「好きなこと」への熱量で世の中の体温を上げていく 第2回 採用と結婚の共通点


会社を自分ごとにするための
「五感」「作品性」

コルク半井:社内に複数の事業があって、みんなが好きなことを仕事にしているのに、やっぱりスマイルズさんの事業は、スマイルズさんらしさがありますよね。店舗のパートナーさんまで含めるとかなりの数のスタッフさんがいらっしゃるはずですが、会社の価値観や文化を浸透させるためのスマイルズさんならではの方法はありますか?研修旅行などのイベントをたくさん開催されていることは、コーポレートサイトで拝見したのですが。

田原:会社の行動規範の中に、「五感」というものがありまして。


コルク半井:味覚、視覚、聴覚、といった五感ですか?

田原:いえ、「低投資高感度」「誠実」「作品性」「主体性」「賞賛」の5つを、スマイルズが大切にする「五感」としています。何か大切なことを決定する際もそうですし、みんなが日々仕事をする上で大事にしている行動指針のようなもので、折りにふれ口に出していますし、仕組みとして社内にちりばめようとしていますね。

 例えば去年実施した「全社員社長会議」(自分が社長と仮定させた会議)。全員が最初から主体性を持てているわけではないので、自分が社長だったら、と仮定する、主体性を持たざるを得ない環境を作ってみました。あとは、社内SNSを導入して、現場レベルの工夫や取り組みを投稿してみんなでいいね!をして賞賛できるようにしたり。


コルク半井:企業理念を短い言葉に落とし込んで、みんなと共有しやすくして、そこから日々の行動や判断に個々人が照らし合わせて考える、ということは、効果的でしょうね。コルクでもやってみたい。


smiles_image06

(ここでクリエイティブ本部 蓑毛さん登場)

蓑:言葉に落とし込むという点からいえば、「もっと作品性を高めるためにはどうすればいいか」という会話は、店舗スタッフも日常的に使っています。社外に送るプレスリリースって、ワードのドキュメントで作りがちだと思うのですが、スマイルズでは広報が作成した原稿をデザインチームがIllustratorでレイアウトします。
 小さなことですが、そういったところにも作品性を求めるのがスマイルズです。スマイルズのミッションである「世の中の体温を上げる」ことも常に考えていて、社内のメンバーの歓迎会でも、「どうやったら体温上がるかな」って一生懸命考えますよ。


コルク半井:会社が、自分ごとになっているんですね。例えば社長に大事なことを言われたとして、言われたときはそうだなあ、と思っても、なかなか自分の行動に落とし込むのは、できていないなあ。

田原:自分ごとにするまでにはステップを踏む必要があるでしょうね。例えば、このオフィスのエントランスのガラスは常にピカピカに磨き上げています。それは、オフィスもひとつの作品だと考えれば、その一番表に出るところが汚れていると、作品性が高い、とは言えないから。
 会社にも人格がある、と考えるといいかもしれません。自分の人格で恥ずかしいと思うことは会社の人格でもやらない、という意識も生まれるでしょう。人格を持った「スープストックさん」「スマイルズさん」はどんな人物だろう? と考えて、お店造り、ブランディングを行うという考え方は、これまでの会社ではやったことがないですね。


コルク半井:そうですね、コルクの人格について、どんなことをする存在なのかについて、みんなで話し合って決めていきたいなあ。

田原:いきなり「こういうことを決めましょう」と集めるのではなく、こんなときどうする?と聞くのでもいいかもしれません。例えば、新卒人材は勝手に育つのか、それとも育てるべきなのかはそれぞれの価値観によって大きく変わりますよね。それをひとつにまとめたいなと思ったとき、10個くらいの質問を作って経営メンバーに聞きました。
 結果、答えは見事にバラバラ。その「バラバラ」である価値観をまず共有する。すると、なぜそう考えるか、という意見を説明しやすくなって議論がスタートします。


コルク半井:話し合いをする前に、問題を細分化して仕込みをするんですね。

田原:先ほどの「全社員社長会議」も、いきなり実現できたわけではないんですよ。経営メンバーの中でも、どんな会社にしたいか、という思いはバラバラだろうから、そんな状況でいきなり「さあ、全員社長になって考えてみよう」と言ってもうまくいかないだろうなと思いました。だから、事前に経営メンバーに、みなさんにはファシリテーターになって、みんなをわくわくする未来に導いてほしい、と伝え、そのために事前に議論しておきましょう、とお願いしてみっちり話をしました。するとね、社員全員が会議の当日には社長の立場から熱く語ってくれたんですよ。自分がそんなことを考えなければならないこと、考えるんだったらどう考えるかに気付く場を作った一例ですね。


コルク半井:ああ、なんかコルクでもやってみたくなりました! 日常的にやらなければならない仕事内容が変わらなくても、ちょっと視点が変わったり、みんなが同じ方向を向いていることが分かったり、誰かが見てくれていることが分かるだけで、全然仕事に対する意識って変わりますものね。
 でも、やはりそこで気になったのが、株式会社スープストックトーキョーさんの分社化です。同じ方向を向いて、共感でつながっている仲間が、どうして別の会社になったのか。今日お話しをお聞きするまで、「好きなことをやる」会社であることと、分社化することは、まったくつながっていなくて、今も、つながりそうでまだつながっていないのですが。

田原:いえ、そこは同じですね。むしろ好きなことをやるために分社化したと言えるかもしれません。スープストックトーキョーさんが、よりスープストックトーキョーさんらしくなるために。


コルク半井:スマイルズの中の事業としてのスープストックトーキョーでは、できないことがある、ということでしょうか?

田原:自分ごととしてやるために、自分より上の人がいたりすると、これは誰のためにやる仕事だっけ? とついなってしまうんですね。つまり、自分事にし易い組織の単位にしたということなんです。加えて、会社という組織になると、人事制度や採用によっても、複数の事業にまたがったルールになりますが、スープストックの人事制度や採用方針で進めたほうがやりやすいこともある。スープストックのメンバーがスープのことだけを考えられるように、組織のあり方を変えたという判断です。


コルク半井:ああ、やりたいことをやるための分社化、なのですね。腑に落ちました。

田原:今、スープストックトーキョーで取締役を務めている江澤身和は、元々スープストックトーキョーのパートナー(アルバイト)。みんなから信頼されていて、誰よりもスープストックトーキョーを愛していて、スープストックトーキョーに誰よりずっと貢献してきた彼女は、株式会社スープストックトーキョーでは役員にふさわしい、と判断できた。

 こういうことって、もっと増やせると思うんですよね。これだけは誰にも負けない、という人に任せてみる。それ以外の、知識やナレッジは周りの仲間や親会社がサポートする。そうすれば、やりたいことを、やりたい人が、やりたいようにやれるはず。だから事業を分社化することでそこに権限委譲し、やりたいことに集中してくださいという建付けにしたんです。自分の子供がちょっと、親元を離れて自活する、みたいなイメージかもしれないですね。


コルク半井:そんな環境を会社が用意したり、一緒に作ったりすることは、管理部門ができる会社の作り方のひとつかもしれないですね。

田原:スマイルズの事業判断基準は、お金からは始まらず、この人を応援したいという情緒的なものかもしれない。儲からなくても、お金以上の何かをもらうから、一緒にやろうということが多いですね。やっぱり個人でできないことができるのが会社でやる意義ですからね。

蓑:自分では思いつかないこと、実現できないことが、社内外の仲間を巻き込んで実現できることが楽しいんですよね。


コルク半井:いいなあ、スマイルズの事業、作品だし、つながるツールだし、わくわくするものなんですね。好きなことをやりたいようにやる、自分たちがそう活動することで、それが実現できる社会を作っているのですね。私も色々チームのためにやりたいな。今後もスマイルズさん注目していきますし、お買い物します!


smiles_image07

聞き手/半井志央(コルク)
イラスト/羽賀翔一(コルク・http://hagashoichi.cork.mu/
写真/市川貴浩



この連載記事を読む
 「好きなこと」への熱量で世の中の体温を上げていく


Interviewer

半井 志央 [株式会社コルク 法務担当]

京都大学法学部卒業、ロンドンへの留学経験あり。
国内のメーカー法務を経て、コルクに入社し、法務・編集・経理などを担当。
編集としては、紙と電子書籍の総合書店hontoのフリーマガジンhonto+に携わる。


コルクホームページFacebooktwitter(@shionakarai)

田原 研児<br>

Profile

田原 研児
株式会社スマイルズ 経営企画本部本部長 兼 人事総務部部長 兼 ベンチャー推進室室長


大学卒業後、カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社に入社。
同社、事業戦略、人事部門の責任者等を歴任。
2009年、一般社団法人APバンクにて、社会事業の立上げや店舗の立上げを経験。
その後、戦略PRコンサルティング会社であるビルコム株式会社や、グリー株式会社での人事部門の要職を経て、2014年に株式会社スマイルズへ参画。




ページトップ