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「法と政治」「公と私」の関係を
どうとらえるか?

千葉大学 法政経学部 准教授 関谷 昇

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ルールとは何か、政治とは何か [予告編] 第3回

 関谷先生に聞く「ルールとは何か、政治とは何か [予告編] 」第3回。
 「法と政治」「公と私」のとらえ方、そして今後の企業のあり方に関するお話です。
 最後は、物事のとらえ方を考え直す「きっかけ」を与えてくれる、今後の連載についてもお聞きします。



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連載では、企業活動に目を向けた「根本的な議論」も展開

――いよいよ今年開始の連載「ルールとは何か、政治とは何か」について、執筆の構想をお聞かせください。

関谷 時事的な話題に目を向けながら、政治思想史のエッセンスを紐解いていこうと考えています。政治思想史はやや抽象的なところもありますので、基本的な論点については具体的なトピックを織り交ぜて、「ルールとは何か」というテーマを追いかけていきたいと考えています。

 まず、抽象的なところでは、法と政治の関係について、原理的にどう考えればいいのか、ということを採りあげます。たとえば、デモクラシー(注1)を例にすると、デモクラシー社会ではデモクラシーが法をつくり、同時にデモクラシーは法を守らなければならない、という両側面があります。この単純な、しかしながら永遠の課題とも言える緊張関係をどうとらえればいいのか、ということがデモクラシーの面白い特徴ですし、我々が自覚しておくべきところのものです。このようなルールをつくりながら遵守するような状況は、様々な分野の最前線においても、実は問われているところのものかと思います。

 もう一つ基本的なことを指摘しておくと、ルールとか法というものをめぐっては「正しさ」ということが問われます。この「正しさ」というのが実に厄介で、それをめぐる学問的蓄積は膨大なものがありますし、今日においても見解は様々に分かれているところです。客観的な「正しさ」があるのか、幅広い正義感覚にかなうものが「正しさ」なのか、多数決で導かれる最大多数だからこそ「正しい」のか。こういったことは、分かりやすいトピックも交えながら考えてみたいところですね。

企業は「価値創造」の時代へ

関谷 次に、もう少し具体的なことに絡めますと、「公共性」の問題ということが幅広く論じられています。このテーマは、多岐にわたって論じられ始めていると言えます。公の問題というと、例えば「国家」や「中央省庁」あるいは「お上」といった連想をする人は少なくないのではないでしょうか。日本人の感覚からすると、どうしても公は「上のもの」、あるいは「行政」など特定の公的機関が担うものというイメージが強いところかと思います。しかし、その考え方が今大きく変わってきています。

 よく言われる「公私二分論」、つまり何が公で何が私なのか、その境界線を明確に引くという考え方が流動化してきています。端的に言えば、公共性は公的部門だけが担うのではなく、政治や行政とは区別された市民社会や地域社会、市民や民間企業など様々な担い手がつくりだし、担いうるという考え方です。いわゆる「市民的公共性(注2)」と言う言葉がありますが、政治や行政に依存しない公共性というものをこれからどう膨らませていけるかという課題です。人口減少や少子高齢化が本格化している中、税金を分配するという発想としくみだけでは、この社会は持続できません。そうである以上、市民活動や経済活動からつくりだされる力には大きな期待が寄せられています。

 このように考えると、企業そのもののあり方も大きくとらえ直されていくことになります。企業と公共性というと、企業と政治の関係といったイメージが根強くあると思います。たとえば、企業による特定の政党の支持や、最近復活の動きが見られる政治献金。大企業になればなるほど、政治の力を通して利益を増大させたり、色々な分配にあずかったりする活動の余裕がある。どうしてもそういうイメージを持たれがちです。しかし、市民的公共性という点からすれば、企業は政治に働きかけるということとは別に、社会に対して何を働きかけていくのか、ということが問われてくるように思います。

 これからの時代を見通した時に、企業は何をすべきなのか、あるいはその実現のために社会をどのように変えていきたいのか。一方では経済のグローバル化にいかに対応して新たな経済成長を実現させていくのか。他方では市場の縮小を踏まえ、ローカルな視点から新たな資源循環を実現させていくのか。様々なスタンスと発想が展開されていくと思いますが、いずれにしてもこれからは、「価値創造」の時代に入ってくるのではないかと思っています。





※注
(注1)デモクラシー
民主主義。人民が権力を所有し、行使するという政治原理。権力が社会全体の構成員に合法的に与えられている政治形態。ギリシャ都市国家に発し、近代市民革命で一般化した。現代では、人間の自由や平等を尊重する立場も示す。

(注2)市民的公共性
哲学者のハーバーマスの議論が典型で、政治や行政とは異なる領域において、市民が開かれた自由な討論と創造的な活動を通して公共的なるものをつくりだすこと。




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関谷 昇

Profile

関谷 昇 [千葉大学 法政経学部 准教授]

1971年生まれ。栃木県出身。1995年獨協大学法学部卒業。1997年千葉大学大学院社会科学研究科法学専攻修了、修士(法学)。2000年同大学院社会文化科学研究科日本研究専攻修了、博士(法学)。同大学法政経学部助教授等を経て、2007年より現職。
専門分野は、政治思想史、政治学。研究テーマは、[思想研究]近代社会契約説、自治の思想、補完性原理、コミュニティ論。[社会的実践]市民自治、市民参加・協働のまちづくり。

ホームページ : http://www.noborusekiya.com/




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