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「現場と研究の往復」が
自分のスタイル

千葉大学 法政経学部 准教授 関谷 昇

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 関谷先生に聞く「[新連載]ルールとは何か、政治とは何か 予告編」第2回。「極力当事者に接近する眼差し」を持ち、「現場と研究を往復」する。関谷先生の研究への姿勢が伝わってくるお話です。



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「当事者に近い眼差し」を
持つことが、研究の原点

――研究の傍ら自治体の仕事もされていますが、現場を見て研究したいという思いがあるのですか。

関谷 僕の政治思想史研究は、こぼれ落ちてしまう人々への配慮をどう考えていくのか、言い換えると「当事者性」をどう考えていくのかということが原点にあります。その視点から、自治、参加、地域コミュニティのあり方を研究するとともに、その実践にもかかわっています。

 現場との対話の中で、現実が一体どうなっているのか、様々な課題が見えてきます。現実と言っても、国家、国際秩序から近隣社会まで、色々なレベルがありますが、やはり僕の関心は、極力当事者に接近していく眼差しをどう持てるか、というところから秩序間の関係をとらえていく点にあります。それが自ずと自治体や地域に眼を向けた形になっていると思います。


――実際に、どのような活動に参加していますか。

関谷 例えば、千葉県内の自治基本条例(注1)市民参加条例(注2)市民協働条例(注3)などをつくる委員会や市民会議に携わっています。他にも、市民、NPO、民間企業を横につないでいく制度や仕組みづくり、さらにはそれらの連携によって担われる各種プロジェクトなどもあります。今までのところ千葉県内を中心に、約20の自治体に本格的に携わってきました(講演や研修を入れると県内35以上の自治体)。


――実際に委員会や市民会議に参加して、ここがカバーできていない、法律の眼鏡を外して見たら、制度的に改善できる、と感じたことはありますか。

関谷 かなりあります。行政職員と一緒になる機会は多いですが、国の制度に合わせるためとか、前例踏襲、横並び的な制度設計の背景には、既存の法制度の形式的な運用や、公平性の担保といった発想が非常に強いです。決まった枠組み、固定化した枠組みからなかなか出ようとしない。

 僕はいつも職員の方々に対して、講演や会議で言っています。「要するに何が目的なのか。従来の枠組みを守ることなのか。それとも現場の課題を解決することなのか。どっちなのか」と。すると、明確に答えられる方はそう多くいません。基本的に、自分に与えられた役割を全うする、計画を遂行する、事業を促進させる、という真剣な姿勢は感じられる反面、諸々の計画や事業に対して、あくまで既存の法や制度の枠組みで見るに留まり、現実・現場にある諸問題を見ようとしない方が多くいらっしゃいます。短期的な成果主義を求めようとして、「余計なことはしない」「できないことはやらない」ということになってしまっているのが実情かとは思いますが。

 一方で、市民や企業の方々の話を聞くと、そういう既存の枠組みだけではなく、むしろ現場目線を強く持たれていて、課題に取り組む立ち位置や発想が全く違っているところがあることに気づかされます。法でカバーできていないところが鋭く炙り出されていたり、あるいはもっと柔軟で豊かな考え方が出てきている部分もある。そういう意味で、ズレがあるのを常に実感しています。だからこそ、そのズレをどう解きほぐして、つないでいけばいいのか。それが僕の現場における一つの課題です。

 僕は、政治思想史研究者としては多分、異端なんですよね。基本的に、政治思想史研究者は研究単体でするのがオーソドックスですが、現場と研究の往復が、僕なりのスタイルです。どちらか一方ではだめだろう、という思いがあるのです。





※注
(注1)自治基本条例
自治体の一定の自立を規定するために自治体によって策定される包括条例。行政や議会への市民参加の保障、情報の共有、市民、首長・行政それぞれの役割や責任を定めるのが一般的。2000年の地方分権一括法の施行以来、多くの自治体で独自のルールや方向性を明確にするため制定の動きが広がった。

(注2)市民参加条例
行政プロセスに市民が多角的に参加していくことを保障しようとする条例。近年では、市民会議、市民提案、コミュニティ参加といった項目も多く盛り込まれている。

(注3)市民協働条例
市民、市民活動団体、事業者、市が、考え方や行動が違っていても、それぞれの特性を活かし、共通の課題や目的を達成するため、さまざまな観点や形態で取り組むことを規定した条例。



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関谷 昇

Profile

関谷 昇 [千葉大学 法政経学部 准教授]

1971年生まれ。栃木県出身。1995年獨協大学法学部卒業。1997年千葉大学大学院社会科学研究科法学専攻修了、修士(法学)。2000年同大学院社会文化科学研究科日本研究専攻修了、博士(法学)。同大学法政経学部助教授等を経て、2007年より現職。
専門分野は、政治思想史、政治学。研究テーマは、[思想研究]近代社会契約説、自治の思想、補完性原理、コミュニティ論。[社会的実践]市民自治、市民参加・協働のまちづくり。

ホームページ : http://www.noborusekiya.com/




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