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世の中にニーズがあるのに
存在しなかった

弁護士トーク株式会社代表取締役社長 大本 康志

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弁護士なら「社長」を目指せ! 第1回

 近年、弁護士の数は増え続けているのに、訴訟件数が減ってきていることから、仕事を得られない弁護士が増えているといわれています。 こうした状況の中、弁護士資格を持つ企業人として注目を集めている大本康志氏へのインタビューを、2回に分けてお届けします。「弁護士+αで他と違うことをする」「顧客目線で見るとまだまだやれることがある」「経営者に必要なのは、実はブレーキ(法律を知っていること)なんです」など、弁護士の未知なる活躍の可能性を感じられるお話です。
 第1回は、スマホを使って弁護士に無料でチャット相談できる『弁護士トーク』アプリの開発に至った経緯と、その担う役割などについてお聴きします。



『弁護士トーク』アプリを
考案したきっかけ

――昨年10月9日(弁護士トークの日)に発表された『弁護士トーク』(注1)アプリは、無料相談で最適な弁護士を見つけられるというもので、スマホのチャットを使うというところが特徴ですね。大本先生がこのような画期的なアプリを開発しようと思ったきっかけを教えてください。

大本 弁護士が増えて過当競争に晒されている傾向は、東京などの首都圏から、いずれ地方にも波及していくことと思われます。また、構造的不景気の中、広告業界も新たな顧客先として弁護士業界に注目してきています。不誠実なSEO対策業者に弁護士がダマされることもザラにあって、僕も例外ではないのですけれども、弁護士も「広告スキル」が求められるようになってきました。

 ジュリナビに載っている「事務所ごとの弁護士数ランキング」を見ると、今はもう過払いじゃなくて交通事故を扱う事務所が軒並み伸びているようです。僕は早い段階から交通事故を専門的に扱っていて、今では弁護士18名が所属する事務所としてランキングで全国120位くらいとなってきています。
 なぜそうなれたのかを考えると、世の中のニーズ的なものに対するアクションがすこしだけ早かったからではないかと思っています。

 2005年以降、うまく宣伝しないと事務所経営も厳しくなる中で、Webを使った弁護士への相談サービスは『弁護士ドットコム』(BDC)(注2)さんくらいしかなかった。僕もその利用者の一人なのですが、『弁護士ドットコム』さんだけでは、利用者である弁護士目線から見て少し足りないところがあるのではないかと思っていたことから、「それなら自分で作ったとしたらどうだろう」と、弁護士目線のニーズから着想を得ました。

 普通は、弁護士は個別案件処理で忙しいので自分でサービス自体を作ろうとは思わないですよね(笑)。ただ、私の事務所も一人で事務所運営していた時代から何人もスタッフを抱える段階に移行してきたので、やっぱり関係者を食べさせていかないといけないという思いがあって。

 自分なら、弁護士経験から利用者ニーズも分かっていて、かつ、『弁護士ドットコム』の利用者としてもそのニーズ(注3)が分かっている。例えば24時間対応だと、対応する弁護士が終日拘束されることになり非常に大変だし、電話対応は「同時的に」拘束されるところがサービスとしてはもう旧い。また、メール相談だけだと相談者が一方的にバーッと書いてくるところがあるので、方向性が違ってくることもある。そこで、今の時代、LINEが一般化してきて、みんなが日常的にチャットで会話するようになってきていると思ったので、「スマホで弁護士にチャット相談」ができれば、弁護士がもっと身近になるんじゃないかなと思いました。世の中のニーズがあって、存在しなかったとすれば、じゃあ(私が)作ったらいいんじゃないかな、といった非常にライトなところが出発点ですね。


やって初めて分かることが多い。
そこが起業の面白さ

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――具体的にどのようなアプリにしようと思って取り組んだのですか。

大本 当然やる前から予測していたことではありますが、起業はやってみて初めて気づくことが、実は多いですね。そこが面白さだとは思いますが(笑)。

 例えば、非常に幅広い相談ごとがある中で、何が本当に弁護士を必要とする相談なのかそれ自体が全く分からない人がとても多いということを実感しました。総合病院に行って、このあたりが痛いけど何科に診療にいったらいいかが分からない場合があるのと同じ。総合窓口がないと、無駄な相談をしたり・受けたり、相談者・弁護士双方にとってメリットがない状況が生まれてしまう。『弁護士トーク』はそうした窓口としての第一歩をアテンドする役割を果たせると思っています。

 現在、30~50代ぐらいをメインユーザーとしながら、下は小学生から上はご高齢の方まで『弁護士トーク』は非常に幅広い年齢層にご利用頂いています。つまずくところは相談者一人一人違うので、まずは「弁護士に相談して回答が来た」という安心感を手軽に得られるのがいいのでしょうね。弁護士スキルは入口においては、あまり問題じゃない。また、スマホの中に弁護士アプリが入っているという気軽さがユーザーのリーチしやすさにも結び付いているのだと思います。

――『弁護士トーク』は、一般のユーザーにとってリーガルサービスを手軽に受けられるということでありながら、他方、サービスを提供する側である弁護士自身に対するサービスであるという側面もあると思います。当初から、弁護士へ仕事を配給する役割があるものだというビジョンを持っていましたか。

大本 それはありました。ただし、前提として、『弁護士トーク』を介して登録弁護士が獲得する案件は、当然、大きな受任につながるものもあれば、そうではない案件もあります。つまり、弁護士において取り立てて特別な調査をすることをしなくとも弁護士であれば簡単に回答できる内容に過ぎない相談も多数あります。そのような相談に回答する場合でも、相談者としては「弁護士に相談できた」というだけで非常に安心できたという実感を得られることになるのです。

 まず『弁護士トーク』に登録して頂く際には、「相談だけで満足する顧客層」と「受任を視野に入れた顧客層」の2つがあるという考えを持ってもらえたらと思います。そして、取り急ぎ前者の対応をするのみであっても、弁護士は潜在的な顧客を獲得できたと考えてご対応いただければありがたいです。


味見してもらって、
相談者と弁護士を最適につなぐ

――『弁護士トーク』への登録を検討している弁護士の方々へ、受任を約束するものではないけれど“効果がある”というところを、どうお話ししていますか。

大本 常に丁寧な回答をしていれば、「いざ!」という時に、「あっ、あの先生がいた」と思い出してもらえるという点がありますね。つまり、相談だけで済んだ案件でも、弁護士トーク上で満足して頂いたとします。すると、その相談者が別の事案で弁護士への相談を具体的に検討しなければならなくなった場合があれば、「あの先生は他の件でもすごく役に立ってくれた」という記憶が大きなフックになると思います。

 弁護士トーク上で相談案件を扱うということは、実際に“自分という弁護士”をちょっと味見してもらった上でアピールできることになるので、一方的な広告とは異なるコミュニケーションの場になると思います。つまり、相談者の信頼を得ておくという意味で、単に情報を載せるだけの広告ではなくて、自分の名前を売っておくということですね。昔でいう口コミ評判を、Webサービス上に顕在化させるといってもよいかもしれません。

 今までのWebサービスは情報の流通が非常に一方通行的で、「私はこういう案件をしていました」「私はどこの大学を出ました」という情報を出すだけ。相談者が弁護士を選ぶにも、情報が少な過ぎるところが問題でした。

 食品に一方的にラベリングされた成分表だけでは、自分の口に合うかどうか分かりませんよね。試食してみなければ、その味は分からない。相談者においても、少しでも双方向のコミュニケーションをすること、つまり弁護士の言葉の使い方や返信の速度などを見て、双方の相性や方向性を試すことができる。チャットだからタダで気軽に相談できるので、弁護士を気軽に比較できます。

 相談者が弁護士を選ぶ前に、実際のトークを通してリアルに比較した上で初めて実際の面談を開始することできれば、双方にとって大きなメリットとなる「ミスコミュニケーションの少ないマッチング」が可能になると考えています。今までは、その弁護士に依頼することを相談者がほぼ決定した上で面談へ行くということが多かったのですが、これだと時間も面談のための相談料もかかる。一番の問題は、会ってしまうと断りづらいこと。「弁護士の先生っていっても、こんなものなのかな」と思いながらその場で頼んでしまうと、双方にとって最悪の結果になることが多いです。

 ところが、これがスマホ上のやり取りだけの関係になると、断りやすいじゃないですか(笑)。時間と手間をかけずに弁護士を“吟味”することができるところがポイントですね。

 逆に言えば、弁護士にとっては競争に晒されることになるので、ショーウィンドウに並べられた中で「自分はここにいるよ」というのを、いかに際立たせるかというのが大切になってきます。弁護士側はそれはそれで大変だけど、自身を磨くきっかけになると思います。弁護士の一覧の中に埋没することになり、文字通り「弁護士バッジだけでは食べていけない」という現実を実感することになるので、自己研鑽のいいきっかけになるのではないかなとは思いますね。

第2回につづく


文/冨岡由佳子
取材/撮影 BIZLAW編集部




※注
(注1)『弁護士トーク』
国内唯一の弁護士とのチャット専用アプリ。弁護士に無料で“お試し相談”をして、最適な弁護士を見つけることができる。18種類以上の相談カテゴリに対応。LINEのようなチャットシステムを使い、匿名で、24時間相談でき、また、複数の弁護士へ一斉に問い合わせることで、簡単に弁護士の比較ができる。
■弁護士トークホームページURL:http://www.bengoshi109.com/


(注2)『弁護士ドットコム』(BDC)
日本最大級の弁護士/法律ポータルサイト。89万件の相談実績がある。無料法律相談・弁護士ランキング・弁護士検索で悩みを解決できる。
■弁護士ドットコムホームページURL:http://www.bengo4.com/


(注3)ニーズ
ユーザーがWebで名前や住所を検索した上で電話対応する、という前先進的な方法では、弁護士にとってデメリットが多い。電話での対応は、弁護士側で相談者の居住地を絞ることができず、受任の可能性の極めて乏しい相談者にも付き合わざるをえないハメになり、対応コストが発生する。
『弁護士トーク』では、スマホ上の相談者の位置情報を自動的に得て、その近隣地区の弁護士のみがアプリに表示されることとなるので、上記不具合が構造的に排除されている。



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  弁護士なら「社長」を目指せ!/大本 康志

大本 康志

Profile

大本 康志 [弁護士トーク株式会社代表取締役社長]

1971年愛知県生まれ。1994年中央大学法学部法律学科卒業。一橋大学大学院国際企業戦略研究科(知的財産)修了。2004年弁護士登録。2015年弁護士トーク株式会社設立。現在、大本総合法律事務所代表弁護士、弁護士トーク株式会社代表取締役社長兼CEO。
得意分野は、相続(事業継承)、債権回収、交通事故、会社法、著作権法。主な著書に、『食品衛生法改正 解説』、『法務調査(会社設立・会社分割)デューデリジェンス』等。メディア出演多数。




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