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自信があるならひとりで、
ないならみんなでやればいい

株式会社ロフトワーク代表取締役 林 千晶

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これからの会社の作り方、キーは「オープン」 interview by CORK 第3回

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林千晶さんは、クリエイティブ・コモンズの普及につとめている文化人でもあります。最終回の第3回は、ロフトワークというよりはこのクリエイティブ・コモンズに注目してみました。「集合知」を信じること、つまりはロフトワークの根本にもつながる考え方が、クリエイティブ・コモンズにはあります。


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コルク半井:林さんは、ロフトワークの代表としてだけでなく、NPO法人クリエイティブ・コモンズジャパンのアドバイザリーボードだったり、以前は米国クリエイティブ・コモンズの文化担当もつとめていらっしゃいましたね。出版業界で働く者として、クリエイティブ・コモンズは気になっています。そもそも林さんがクリエイティブ・コモンズに興味を持たれたきっかけを教えていただけますか?

:そうですね、少し話が遡るのですが、クリエイターサービスの「ロフトワークドットコム」を作った2000年頃、「クリエイター評価の仕組みを導入するべき」とよく言われました。インターネットが普及してきたタイミングだったので、ネット上の情報に懐疑的な人も多く、「誰かが品質を保証すべき、評価するべき」という流れがあったのです。ロフトワークも、サイトを運営する立場として「クリエイターの質を担保するべき」と言われたのですが、私はそんなのバカみたいと思って。

コルク半井:あはは、いいですね。確かに、その方たちは、何を保証してもらいたがっていたのでしょうね。


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:アーティストもデザイナーも、これが「良い」なんて、誰が判断できるの? と思いました。ある人がそれをほしいと思ったらそこに価値が発生して、みんながほしいといったら人気のあるコンテンツになるだけでしょう? 誰かと誰かが結びついた瞬間に価値は生まれるものであって、第三者が偉そうに決めるものではないし、第三者に判断を委ねるものでもない。それが、ロフトワークを作った時から変わらない考え方です。

コルク半井:インターネットを使って、人が不便だなと思っていたところを解消する仕組みを作ったり、インターネットがなかったら出会わなかったニーズとニーズ、才能と人を結びつけたりする、という点は、ロフトワークさんという企業の原点ですよね。その瞬間に価値が生まれる、というのはおっしゃる通りですね。

:ロフトワークは、「これが作品です」と登録してくるクリエイターは、全員受け入れています。それは、オープンでなければ、人の可能性や才能が新しいものと出会う可能性が閉じられてしまうからです。

 ただ、プラットフォームとして、クリエイターの権利を守るための対処を何もしないのは無責任だと感じていました。サイトに公開された作品を「All rights reserved」として閉じてしまうことは、勝手に使用されないという点ではメリットがありますが、一方でファンを生みづらいし、人がどの作品に興味があるかなどのフィードバックが減ってしまいます。クリエイターは、他人が自分の作品を使って勝手にビジネスすることは許せない。でも個人的な用途で作品を使ってもらうことは喜ぶ人も多いんです。

 例えば、ロフトワークで開催する年賀状デザインコンテストには、毎年数百人のクリエイターが参加してくれます。自分の作品を「これ格好いい!」と使ってもらえるのはシンプルに嬉しいようです。そういう循環をプラットフォームとして、オープンかつ安全な形で作れないのか、と考えた時にクリエイティブ・コモンズに出会いました。

コルク半井:なるほど、肌感覚として必要だと感じていたものだったのですね。ロフトワーク立ち上げのきっかけとなったインターネットに出会った時のように、ワクワクされたのではないでしょうか。PMBOKを取り入れられたお話もありましたが、外のものを取り入れるスピードや柔軟性はいったいどこから来るんでしょう…。

:たしかにPMBOKもクリエイティブ・コモンズも、すぐに取り入れましたね…。私は他者の才能にいつも感動していますし、ほかの人はこの才能をどう活かすんだろうというところにワクワクしてしまうからでしょうね。

 クリエイティブ・コモンズのベースは、オープンイノベーション、つまり集合知を信じるということ。あるコンテンツを個人が独占するためのルールではなく、また許諾された人しか使えないビジネスのためのルールでもない。人と人の化学反応に可能性を見出すためのエコシステムであるところが、ロフトワークの理念やビジネスと合っています。

コルク半井:オープンにすると、ただみんなが無償で使用して消費されて終わるのではないか、と想像しがちですが、そうではないということが大事ですよね。

:みんなが何にワクワクするかが見えたら、そこから次の作品を生み出すことは、その最初の作品を生み出したクリエイターではなければできないことです。一方でオープンにすることで、多くの人の力を得て、新たなサービスやコンテンツも作ることができます。


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コルク半井:コルクの作家さんの作品も、特に海外に展開するためには、どんな作品が求められているのかのフィードバックを得ることが大切だと考えています。そのためには、お金を払わなければ読めない状態だけで売り出すのではなく、どうやったら世界中の人の目に触れるかを考えて、無料で読んでもらう方法を模索したりしています。クリエイティブ・コモンズのマークは付けていなくても、考え方は一緒ですね。取り入れる方法を考えて見たいと思いました。

:出版業界は、電子書籍の時代が来る来る、と言われているけれど、実は紙の書籍のほうがオープンだなって感じています。電子書籍はAmazonが一人勝ちしていて、プラットフォームが閉じているから進化が驚くほど遅いけど、紙の書籍は紙質や装丁、デザインなど誰でも見て真似することができますよね。オンデマンド印刷でコストも下がってきているし、コルクさんが攻めている出版のニーズは広がっていると思います。

コルク半井:開く、ということをテーマにしたいなと思いました。私自身、自分の成長スピードの遅さにもやもやしているのですが、オープンじゃないことが原因かもしれない。

:閉じてしまうと自分の能力でしか進化できないですよね。人は常に他人から教わって、先人の知恵をベースに進化しきました。他人との結合がなければ成長しない。だから進化したいならオープンになろう! と言いたいです。


聞き手/半井志央(コルク)
イラスト/羽賀翔一(コルク・http://hagashoichi.cork.mu/
写真/稲垣正倫(BIZLAW)



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 これからの会社の作り方、キーは「オープン」


Interviewer

半井 志央 [株式会社コルク 法務担当]

京都大学法学部卒業、ロンドンへの留学経験あり。国内のメーカー法務を経て、コルクに入社し、法務・編集・経理などを担当。編集としては、紙と電子書籍の総合書店hontoのフリーマガジンhonto+に携わる。

コルクホームページFacebooktwitter(@shionakarai)

林 千晶

Profile

林 千晶 [株式会社ロフトワーク代表取締役]

1971年生、アラブ首長国育ち。早稲田大学商学部、ボストン大学大学院ジャーナリズム学科卒業。花王株式会社、共同通信ニューヨーク支局を経てロフトワークを起業。プロジェクトマネジメント(PMBOK)の知識体系を日本のクリエイティブ業界に導入し、共著にて『Webプロジェクトマネジメント標準 』(2008、技術評論社)を執筆。学びのコミュニティ「OpenCU」、デジタルものづくりカフェ「FabCafe」などの事業展開、クリエイティブ・コモンズ・ジャパンのアドバイザリー・ボード、MITメディアラボ所長補佐を勤めるなど、パワフルな実業家。




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