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物事の本質を捉えることが
分かりやすさのキー

鳥飼総合法律事務所パートナー 弁護士、
青山学院大学法科大学院客員教授(租税法) 木山 泰嗣

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『弁護士が勝つために考えていること』 第3回

木山弁護士へのインタビュー第3回目では、いよいよ『弁護士が勝つために考えていること』の内容にふれていきます。本当に伝えたかったもの、は何か。そして、木山弁護士の考える分かりやすさとは、何か。話してもらいました。



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分かりやすさとは何か

――木山先生の著書は、分かりやすさを追求されていますね。事務所のプロフィールも分かりやすさをモットーにしているとあります。木山先生の考える分かやすさとはどういったものでしょうか?

木山 分かりやすさというのは物事の本質です。本質をいかに短い言葉で捉えることができるかです。 例えばロースクールの学生が法律の文章を書こうとすると、最も重要な理由を一つだけ挙げればいい場面でも、それができないんです。いろんな理由を勉強しているので、文章に全部書こうとするんですね。でもたくさん書いてしまうと、何が重要か見えづらくなり、かえって混乱します。読む人にも伝わりづらくなります。
 一番重要なのは何なのか、というのを見抜くことを常に考えて、物事を理解しようとつとめることが大事です。「一言でいえばこれが一番重要」というのを、テーマごとに自分で気づくことができるようになるのが第一歩です。
 あとは周辺を見れば視点も分かってきます。「原則はこれですよ」ときちんと提示すれば、「細かいことは例外ですよ」と分かる。そういう整理を、書く作業のうえでしていく。物事の本質が何であるかを常に考えて、本質を相手に伝えることができることが、分かりやすさ、ではないでしょうか。

 あと、分かりやすさと重なるところもありますけど、「面白さ」も分かりやすさにつながると思いますね。その楽しさ、面白さ、という人の感情が、本を読むモチベーションを高めることにつながります。小説や漫画を使える場合、非常に入りやすくなりますよね。今回の新書は、星海社の編集さんが、私の著書『小説で読む民事訴訟法』(法学書院、2008)を読まれたことがきっかけです。民事訴訟法は、実際の裁判も見ていないのに裁判のルールを勉強するものですから、イメージが湧きづらくとても理解しづらいものです。自分が修習生になって、そして弁護士になって法廷に携わる側から見るとようやくその意味が分かる。どういうことが問題になるのか、それをイメージできたらきっと面白くなるはずだと思っていました。

『弁護士が勝つために考えていること』
について

――星海社新書は「武器としての教養を授ける」目的がありますが、今回の著書においてその武器は何になりますか?

木山 多くの人は、普通に生活している限りなかなか訴訟自体には関わりませんよね。離婚や、相続でもめれば身近になりますし、交通事故があれば法律を思い起こしますが。でも、本来はそういうことがあるなしに関わらず、何かのトラブルが起きた時には、最後は法律で解決されるものなのです。日本は法治国家ですから。
 権利と義務は法律に書かれていますので、知らず知らずのうちに義務を負うことになったり、権利があるのに使えなかったり……ということは、知らないうちに発生していると思います。私たち弁護士から見れば必ず発生しているような法律の力、それがあるんだよということをまず認識していただきたいのです。

 また、この本は、最後の最後に訴訟の本でありながら、予防にも入っていきます。訴訟なんてしないのが一番です、と。訴訟という究極の場面を見て、では訴訟にならないためにはどうしたらいいのか。法律の観点から自分の身を守っていくためにはどうしたらいいのか。そのためには実際に訴訟になった時にどんなことが行われるのか、それを知ってもらうことが大事なのです。訴訟にならないように、予防をするという視点です。
 私が決まって言うのは、本人訴訟はやらないほうがいい、プロに任せたほうがいいということです。民事訴訟はゲームなのだから、ゲームのルールに精通している人間がプレイするほうがいいに決まっている。

――前書きに書いてあるところですね。

木山 実はそれすら分かっていない方もいます。民事訴訟の入門書なのですが、本人訴訟は推奨していない。この点が、この本のちょっと変わったところです。もし、本人が民事訴訟に挑もうとするなら、本当に面倒くさくて泥臭いことを、どれだけ多くやらなくてはならないかということを中身にまとめてあります。専門的なことは専門家に任せたほうがいいですよ、ということです。

 結局のところ、裁判そのものは説得をする行為です。法律のルールに則るとは言っても、裁判官の結論が違うことはご存じの通り普通にあることです。最後はどれだけ弁護士が裁判官に対して説得力のある資料を提出し、説得力のある主張を展開できるか。人の心をつかんで動かせるかということで、それが上手な弁護士ほど勝ちます。
 最初は民事訴訟入門として、民事訴訟法を分かりやく解説する感じで原稿を書いていきましたが「訴訟のプロである弁護士が勝つために何を考えているかという話としても読めるようにしたい」という編集者の方からのご意向も示されました。勝負事で勝つための思考、戦略としても読める本にしたいというお話があったのです。裁判に限らず、物事に勝つために何をやるのか、を考えてみてください。情報を集めたり、相手の弱い部分を見つけたりする戦術は必ず必要です。それは裁判実務とも共通しています。そこを参考にしてほしいのです。民事訴訟入門という表の顔もありますが、物事に勝つための武器としての知識という観点でみるとまた違った読み方ができるはずです。

――最後に若手リーガルパーソンに対してメッセージを

木山 粘り強くやることですね。本質が何であるかを見極めるということが、分かりやすさにつながるという話をしました。自分で本当に理解できているか、という問いを常に自分のなかで持つことが重要だと思います。そのために徹底して情報を集め、そして納得がいくところまで、とことん時間をかけることが大事です。
 私の場合はご縁でめぐりあった税務案件、目の前にやってきた案件ひとつひとつに集中した結果、今があります。社会人の方であれば目の前に来た仕事を大事にしてください。学生さんであれば、目の前にある授業とかレポートですかね。それをなあなあでこなしてしまうこともできるでしょう。でもそれでは力はつきません。自分に与えられた重要案件だというくらいの気持ちで、本気で取り組むことです。そうすれば、授業やレポートをこなすだけでも、すごい力が得られるはずです。調べられることは調べ尽くし、調べ尽くしたうえで徹底的に考える。それから、いろんな人の意見を聞くということも大事です。それをひとつひとつやっていくことだと、私は思います。



協力/星海社

文・写真・編集/稲垣正倫(BIZLAW)



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 『弁護士が勝つために考えていること』

木山 泰嗣

Profile

木山 泰嗣 [鳥飼総合法律事務所パートナー 弁護士、
青山学院大学法科大学院客員教授(租税法)]

上智大学法学部法律学科卒、2003年弁護士登録(第二東京弁護士会)。専門は税務訴訟及び税務に関する法律問題。著書『センスのよい法律文章の書き方』(中央経済社)、『小説で読む民事訴訟法』(法学書院)、『弁護士が書いた究極の文章術』(法学書院)、『反論する技術』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)など専門分野を超えた多才な文筆力を持つ。




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