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出版のシステムにメスを入れる

株式会社鴎来堂代表・かもめブックス店主 栁下 恭平

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校閲と法務、そして本屋のステキな関係 interview by CORK 第4回

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「interview by CORK」鴎来堂・かもめブックス代表の栁下恭平さん最終回。鴎来堂に集中していた話が、かもめブックスに。いよいよ栁下さんのビジョンが少しずつ明らかになります。


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かもめブックスは、
この先出版業界がどうなっていくかを
ちゃんと知るための場所

コルク半井:かもめブックスをオープンさせた経緯を教えていただけますか?

栁下:僕は、本来校閲だけをやっていたら幸せなので、20年早く生まれて出版業界に入っていたら、鴎来堂もかもめブックスも作らず、ずっと校閲だけやっていたと思います。でも自分よりも世の中の方が先に変わっていくものですよね、往々にして。そのまま自分が変わらないでいることと、世の中と一緒に変わっていくことと、両方とも大事なことですが。


コルク半井:栁下さんの場合は変わっていくことを選ばれた、と。

栁下:ここはもともと本屋さんで、僕は毎日ここの前を通って通勤していました。しかしある日、突然閉店。とてもショックでした。僕は、閉店する本屋さんが増えていることを情報として知っていましたが、鈍感だったのですね。でもここにあったお店がなくなったことで、初めて本屋さんが減っていることが「我が事」になったのです。

 この先出版業界は縮小していく、ということを受け入れなければならないとき、取ることが出来る道は二つありますね。一つは、今から15年後、どう生き残るかを考えること。もう一つは「出版って面白いぜ」と、行動を起こすこと。具体的には、出版業界の売上が下がっている理由を考えたり、読者層を分析して本屋さんを作ったり、色々な方法があります。

 オンラインの書店、大型書店、街の本屋、本を買う事の出来るこの3つのチャネルは、それぞれ機能が違います。街の本屋には、本に触れる機会としての役割があり、身の回りのものの一つとして本がある環境を作ることで、将来的な出版業界の底支えをすると考えています。既存の出版業界のビジネスモデルが壊れて行く今、どうやってこの業界を支えて行くのか、行動を起こさなければ、将来的に校閲に限らず、本を作る仕事はできなくなってしまう。

 出版業界の未来を考えずに、鴎来堂が将来どういう会社になるのかを考えることは不可能です。売上が縮小していくことを見据えた事業計画を立てる必要がある。単純に、神楽坂という街の本屋さんがなくなったことが悲しくて、自分で作ったという理由もありますが、かもめブックスは、この先出版業界がどうなっていくかをちゃんと知るための場所でもあります。


コルク半井:確かに、小さい頃は、お小遣いやお年玉をもらったら、近所の本屋さんに行って、本を買うことが楽しみでした。日常に本がある、ということは、生活範囲内に本屋さんがある、ということだったのですね。

栁下:本との接点は大切ですよね。本屋をはじめるときに、勇気がありますね、とかよく新しい事業をやりますね、と言われることが多いのですが、僕は全然そう思っていないんですよ。ビジネスとして成立するか否かも含めて、市場を知っておく必要があるだけです。


コルク半井:非常にロジカルですね。

栁下:会社が潰れるのであれば、自分が把握した原因で潰したいですね。でも、繰り返しになりますが、会社は潰れないことが一番大事です。鴎来堂を潰さないこと、かもめブックスを存続させていくこと、次に企画していることは、実は全て本を読みたい、という僕の動機から始まっています。本がなくなったら困る、というシンプルな理由ですね。

 僕の仕事は、鴎来堂という会社がどこに向かっているかを示すこと、そのためにどのようなチームを作るかを考えること、だと思っています。どこに行くか決めるために出来るだけの情報は知っておきたい。それがないと判断出来ない。校閲をやりたい、本を読みたい、そのためにどうすればいいか、を考えた結果です。


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取次レボリューション

コルク半井:次に企画されていることがあるのですか? お聞かせいただける範囲で、ぜひ教えてください。

栁下:取次を作りたいです。……なんて言うと大げさですね、つまり「誰でも本屋を作れる仕組み」を作りたいってことかな。本が売れないと、市場は縮小する。だから、本との接点を増やす仕組みを作りたいのです。

 本屋やろうかな、って思った人が、すぐに出来る仕組みを作りたい。その仕組みがないと街の本屋さんが増えないですよね。他のビジネスをしている人が本屋を開く入口を作りたいし、個人が本屋を始められる仕組みを作りたい。

 企業が本屋を経営するメリットって沢山あるんですよ。まず、企業の哲学を表現しやすい。企業のエントランスに本棚を作れば、広告になり、同時にそこにある本を売れば、利益を出すことも出来る、といった道筋を作るのもありですよね。

 独立系の本屋は、ただ棚を作れば終わりというものではなく、その街に馴染んで、棚が変化していくことが大切だと思いますので、そのメンテナンスの方法まで含めて、「誰でも本屋が作れる仕組み」です。企業や個人が本屋を作れる仕組みって、今あるインフラで作れちゃいますから。


コルク半井:やりたいこといっぱいありますね。

栁下:僕は引退したあとは、鴎来堂の校閲部に入り、校閲をやりたいと思っています(笑)。その時に僕が働く場所を残すために、本を売らなければ。本が売れないわけはないと思うんですよね、だってこんなに面白いものなんだから。


聞き手/半井志央(コルク)
イラスト/羽賀翔一(コルク・http://hagashoichi.cork.mu/
写真/稲垣正倫(BIZLAW)



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  校閲と法務、そして本屋のステキな関係


Interviewer

半井 志央 [株式会社コルク 法務担当]

京都大学法学部卒業、ロンドンへの留学経験あり。
国内のメーカー法務を経て、コルクに入社し、法務・編集・経理などを担当。
編集としては、紙と電子書籍の総合書店hontoのフリーマガジンhonto+に携わる。


コルクホームページFacebooktwitter(@shionakarai)

栁下 恭平

Profile

栁下 恭平 [株式会社鴎来堂代表・かもめブックス店主]

書籍校閲専門の会社「鷗来堂」代表、神楽坂の新しい本屋「かもめブックス」店主。
世界を旅した後、28歳で同社を設立、かもめブックス開店は2014年。
校閲のプロフェッショナル

鴎来堂ホームページ http://www.ouraidou.net/
かもめブックスホームページ http://kamomebooks.jp/




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