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船が陸に向かっていることを、
ボイラー室に伝えることの大事さ

株式会社鴎来堂代表・かもめブックス店主 栁下 恭平

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校閲と法務、そして本屋のステキな関係 interview by CORK 第2回

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「interview by CORK」鴎来堂・かもめブックス代表の柳下恭平さん第2回目。第1回は、校閲は何か、そして法務との関係性を少しずつ紐解いていきましたが、今回は人事に触れていきます。


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余裕と忍耐力が
新人を受け付ける

コルク半井:なるほど、栁下さんの人生において大切な「本」がずっと作り続けられる世界のためなのですね。でも人を育てるって、難しいですよね。

栁下:一番分かりやすいのは、23歳のときの自分って全く使えなかったな、ということだと思いますよ(笑)。

コルク半井:ああ、使えないですねー(笑)。

栁下:23歳の僕は「ものを運ぶこと、棒を拾うことくらいしか出来ない」ってくらいダメなコでした。でも、乱暴ですけど、新人さんにもそれくらいの認識で接してあげるくらいの時があっていいんじゃないかな。新人さんの一番大切な仕事は、大きな声で挨拶することだと思っています。空気をフレッシュにしてくれと。極言すればそれだけでいい(笑)。まだ新人なんです、と言える、2年目くらいまでの間に、次のステップに進んでくれればいいんですよ。きちんと期待してあげて、きちんとほっておいてあげて、きちんとプレッシャーをコントロールしてあげる。

コルク半井:会社としてそれくらいの余裕を持つのは大事ですね。余裕と、忍耐力。

栁下:宮仕えと職人の違いは説明した方がいいですね。「言われたことをして決まったペイメントが欲しい」だけの人には、そこまでしか教えられない。もちろん、そういう人材も企業には必要なんです。一方、職人になれる人は、教えたことに対して「じゃあどうなんだろう」と考える。最初はその仕事が苦手な人でも、教えられたことを守ろう、知ろうとする人は、人に対して教えられる人になります。もちろん、チームですから、プレーヤーだけでなく維持管理に適正がある人も必要ですね。プレーヤーになるのか、維持管理する方になりたいのか、明確に示してあげることが大事だと思っています。やる気を喚起させる仕組みもね。

コルク半井:仕事や作業内容によって、向き不向きがありますものね。

栁下:教えよう、頑張ろう、の前に、適材適所が大事ですね。余裕やゆとりは適材適所の選択肢が多い会社が持てるものだと思います。

コルク半井:会社の提供したい価値、理念は一つで、同じ方向を向いている中であっても、組織の構成員の役割はそれぞれ違って当然ですね。ただ、人やポジションが増えると、色々な課題が出てくる。


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性善説と性悪説でひもとく
会社の存続

栁下:そうですね。その辺は、性善説と性悪説をまじえて考えています。中学生や高校生の頃、成長痛ってありましたよね。身体の成長と筋肉の成長が合わずに起こるものですが、会社にも同じことが起きると思うのです。

 具体的に言うと、そもそもこの会社が存在する意義や理念は、創業者である僕と初期から働いてくれている社員に一番色濃く伝わります。しかし社員の数が増えると、同じ濃度でそれを理解してもらうことは難しくなっていく。同時に、会社が出来たときの目的と、その会社を維持するためにはどうしたらいいか、という方向との間にずれが生じる。これが僕にとっての性善説と性悪説です。

 仕事をし続けていると見逃しがちになる「目的」をどう伝えるか、はルールや仕組みで解決出来ると思います。それが国の規模になると法律になるのでしょう。多様な人がいる、という前提で秩序を作らなければならない。今うちの会社はその転換期にあるような気がします。それが僕にとっての会社+法務のタイムリーな話題です。

コルク半井:ああ、なるほど。

栁下:会社にとって一番大切なことは潰れないことです。ただ、だからといって潰さないためだけに、校閲や本屋さんをやめておにぎり屋さんをしよう、というのは違う。潰れないように、でも何をやりたいかを実現する、この二つを両輪にして進んでいく会社経営というものは案外難しいですよね。

コルク半井:会社の理念をメンバーに理解してもらうために、意識している点はありますか?

栁下:僕ではなく管理職レベルの社員が、「うちの会社はこうなんだよ」と言い続けられるようになるべきだと思っています。仕事って、日々のルーチンになりますよね。どんな仕事でも、今やっていることは大事なことなのだ、と思えなくなってくる。
 でも大きなプロジェクトは、小さいけれども大事な雑務に支えられているじゃないですか、「アスクル発注しなきゃ」とか(笑)。プロジェクトを実行するチームの構成員はアスクル発注するひと、ケシゴム拾う人、ゴミを捨てる人の方が、圧倒的に多い。

コルク半井:手間がかかりますが、大事ですね、雑務は。

栁下:ええ。その人たちにその思いを響かせる為には、ハブになるポジションの人たちが伝言ゲームを出来る仕組みが大事です。会社という船のブリッジで社長が遠くを見ている一方で、その船の地下ではボイラー炊きしている人がいる。その人たちには見えないからこそ、船が陸に向かっていることを教えてあげることがチーム作りの要じゃないかと思っています。

コルク半井:それは私も苦労しているところですね。つい目の前のことに追われて、会社の理念を忘れそうになります。また、新人教育も骨が折れますね。

栁下:簡単ではないけれど、重要なのは熱量を伝えることで、そのためには言葉の中身よりもリズムや抑揚に注意すべきではないかと思っています。チーム論も、キャッチーな言葉を繰り返すよりも、熱量をいかに伝えるかの工夫や、社員が成長実感を感じられる仕組みを作るか、の方が大事です。

コルク半井:そうか、わかってもらえない!とばかり思っていないで、伝え方が適切だったかどうか、振り返らないといけないなあ。工夫や仕組み作りは会社内のことをよく理解しながら進めないといけないですね。

第3回に続く


聞き手/半井志央(コルク)
イラスト/羽賀翔一(コルク・http://hagashoichi.cork.mu/
写真/稲垣正倫(BIZLAW)



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 校閲と法務、そして本屋のステキな関係


Interviewer

半井 志央 [株式会社コルク 法務担当]

京都大学法学部卒業、ロンドンへの留学経験あり。
国内のメーカー法務を経て、コルクに入社し、法務・編集・経理などを担当。
編集としては、紙と電子書籍の総合書店hontoのフリーマガジンhonto+に携わる。


コルクホームページFacebooktwitter(@shionakarai)

栁下 恭平

Profile

栁下 恭平 [株式会社鴎来堂代表・かもめブックス店主]

書籍校閲専門の会社「鷗来堂」代表、神楽坂の新しい本屋「かもめブックス」店主。
世界を旅した後、28歳で同社を設立、かもめブックス開店は2014年。
校閲のプロフェッショナル

鴎来堂ホームページ http://www.ouraidou.net/
かもめブックスホームページ http://kamomebooks.jp/




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