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誤解を避けるための
校閲という仕事

株式会社鴎来堂代表・かもめブックス店主 栁下 恭平

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校閲と法務、そして本屋のステキな関係 interview by CORK 第1回

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クリエイターのエージェント会社コルク法務部の半井さんが興味本位で企業・人訪問するコーナー「interview by CORK」のゲスト4人目は、書籍の校正・校閲を行う鴎来堂の代表、そして神楽坂の書店かもめブックスの店主でもある、柳下恭平さんです。




校閲とは何か

コルク半井:今日はこの「かもめブックス」店内のカフェでお話をうかがっていますが、鴎来堂さんは校正・校閲の会社ですよね?

栁下:はい、鴎来堂は書籍を中心に原稿の校正・校閲を行う会社です。我々は、伝えたい情報を持っている人が世の中に正確な情報を伝えることが出来るように、ゲラを読んで、誤読される可能性がある箇所をお伝えしています。誤解をされることが多いのですが、間違っていることだけを指摘しているわけではありません。「この表現ではこの様に読まれる可能性がありませんか?」という疑問を出す役割ですね。

コルク半井:honto+などで校正・校閲をお願いしているのですが、法務の仕事と共通する技術や考え方などを持たれているな、と感じています。例えば契約書を作成する場合、定義付けした文言が全体に使われているか、というチェックは法務として必ず必要ですし、事業部門がやりたいことや、相手方との交渉結果が正しく文章化されているか、気にしながら文書を作成しています。今日は、校閲と法務の共通点や関係を、栁下さんと深く掘り下げたいな、と。
 栁下さんはどこで校閲と出会ったのでしょうか。海外の農園で働いたり、営業マンだったとも聞いたことがあるのですが。

栁下:出版業界で仕事をすることになったのは偶然でした。最初は編集者として働いていましたが、校閲という仕事を知って、なんて面白いんだろう!と思ったのがきっかけです。校閲は情報処理、それも人間味のある情報処理である点が、面白いです。例えば、半井さんはスコップと聞いて、何を思い浮かべますか?

コルク半井:地面を掘る時に使うものですよね? 片手で持つ、柄の短いもの…、いや、柄の長いものもスコップですね。でもどちらもシャベルとも言います。

栁下:「スコップを手で持つ」という文章があったとして、書いた人が西日本と東日本どちら出身か、また読者がどこの出身かによってニュアンスが異なる可能性があります。校閲は「スコップ」の定義を決めるのではなく、誤読される可能性を拾っていく仕事です。
 その他にも差別的表現になっていないか、不快な表現になっていないか、など炎上の可能性を減らすことも校閲の仕事ですね。


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校閲専門の会社を
立ち上げたワケ

コルク半井:確かに面白いし、文章が世に出る前に必要な作業ですね。では鴎来堂という会社を作られたのはなぜですか? 校閲の仕事をする方法として、出版社の校閲部に入ることや、フリーランスという選択肢もありますよね?

栁下:仕事と人生を目の前に置いたとき、僕は仕事よりも人生の方がちょっとだけ大事なんです。そして、本が好きなんですよ。なにもしなくても毎月一定の収入があったら、僕はソファに座ってひたすら本を読んでいると思います。でも、ある時、出版業界の市場規模が縮小していくことに危機感を覚えました。僕が出版業界に入った今から12、3年前には、先輩の校閲者はほとんどが40代、50代の方々で、30代、まして20代はほとんどいませんでした。

コルク半井:若い世代の人がいないと、技術が継承出来ないですしね。

栁下:校閲という仕事は、校閲者として優秀な人がもちろん必要である一方、校閲部として優秀であることも大切な職種です。チーム内に様々なグラデーションの世代、性別差が必要です。

コルク半井:そういえば以前、原稿によって誰に校閲をお願いするか、ひとつひとつ決めるとおっしゃっていましたね。そのための部署も社内にあるとか。

栁下:そうですね、そういうディレクションの部署もあります。ただ、文字の間違いを見つけるだけでなく、どの校閲者が担当するかで精度を上げる努力をする部署ですね。たとえば、その世代でなければ読めない原稿、というものがあります。昔のアニメーションについての原稿であれば、それをリアルタイムで見ていた、当時子どもだった人がいいのか、そうではなく、放送されていた時に自分の子どもがそのアニメーションを見ていた人が良いのか、読む層が違います。知っているから読めることと、知らないから読めることも異なります。ですから、チームとして色々な読み方が出来るようにすることはとても大切なことなのです。

コルク半井:なるほど、チームメンバーとしてどんな人を揃えておくかですか。

栁下:そうですね。そこで、校閲者を増やす道筋作るために、会社を作ろうと思いました。そして若い世代を育てなければ、数十年後に校閲者という職は空洞化してなくなってしまう。また、出版の中で校閲という文化を維持していくことも重要で、編集者が出版社を説得してきちんと校閲に予算を使う、そんな世の中を維持できていればいいな、そのためには出版社の校閲部、フリーランスの校正者と共に、鴎来堂のような市井の校閲も必要だ、と考えたことが会社を作った理由です。

第2回に続く


聞き手/半井志央(コルク)
イラスト/羽賀翔一(コルク・http://hagashoichi.cork.mu/
写真/稲垣正倫(BIZLAW)



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 校閲と法務、そして本屋のステキな関係


Interviewer

半井 志央 [株式会社コルク 法務担当]

京都大学法学部卒業、ロンドンへの留学経験あり。
国内のメーカー法務を経て、コルクに入社し、法務・編集・経理などを担当。
編集としては、紙と電子書籍の総合書店hontoのフリーマガジンhonto+に携わる。


コルクホームページFacebooktwitter(@shionakarai)

栁下 恭平

Profile

栁下 恭平 [株式会社鴎来堂代表・かもめブックス店主]

書籍校閲専門の会社「鷗来堂」代表、神楽坂の新しい本屋「かもめブックス」店主。
世界を旅した後、28歳で同社を設立、かもめブックス開店は2014年。
校閲のプロフェッショナル

鴎来堂ホームページ http://www.ouraidou.net/
かもめブックスホームページ http://kamomebooks.jp/




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