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組織人としての「自立」

株式会社ジュリスティックス
リーガルプレースメント事業部長/リーガル専門ヘッドハンター 野村 慧

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Decade of the In-house lawyer 第3回

 法曹人口の増加に比例し、急激に増加しているインハウスローヤー。野村氏は、これからのインハウスローヤーに求められる資質を「専門力」「傾聴力」「起業家のように将来を構想するマインド」と分析する。では、インハウスローヤーを目指そうとする若手は何に注力するべきなのか。法曹業界に特化したヘッドハンターを志した野村氏の背景とキャリア戦略を通して、若手へのメッセージを聞いた。最終回、第3回は「組織人としての「自立」」。



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プロはプロのアドバイスを求める

――そもそも、なぜリーガル分野でのヘッドハンターを自分の仕事として選ばれたのでしょう?

野村 前職ではじめてリーガル分野のキャリアコンサルタントに配属され、そこから同分野の責任者となった際に感じたことです。

 プロはプロのアドバイスを求めるのだ、と。

 その当時、クライアントでもあった企業の法務部長は30~50代の方が多く、組織を実際に統括されている立場の方が多くいらっしゃいました。
 彼らは私どもから、単純に人材情報の提供を受けようとするだけではなく、キャリアコンサルタントとして分析された知見の提供を望んでいました。
 また同様に、企業を志そうとする応募者の方もまた、単なる求人情報ではない、キャリア戦略の提供を望んでいました。
 「今後10年で法務部を成長させるにはどんな人材が必要か」「現時点のキャリアからどこまで行けるのか、そのための効率的なキャリアパスは」などといった高次の質問を受け続けながら、リーガル分野のコンサルタントは、まさに「専門的ニッチ戦略」がとれるマーケットであることに気づいたのです。
 リーガル分野での人材サービスは、他業種の人材サービスと比して参入障壁が依然高く、マーケット自体が特殊なブルーオーシャンです。この分野でプロとして在り続ければ、10年後、リーガル業界の人材動向を適格に把握するトップコンサルタントになれるかもしれない。そう目標を定めて、サービスの提供を行っています。
 現在では有名な法律事務所のパートナークラスの採用戦略に関わることも増加し、企業の組織作り、ビジョンの策定にも関与するケースも増えています。

――そうした企業から誘われることもあるのでは?

野村 たしかに、コンサルティングを行う中で、企業の方から「ウチの会社に来ないか」とお声をいただくこともあります。まあ、ジョークでおっしゃられたと思いますが、ありがたいことです(笑)。
 私たちの採用支援の特徴としては、クライアントのプロジェクトとして採用支援をすることが多い点です。プロジェクトに関与させていただくことは、面白いです。上場企業の役員、法務部長、人事部長の皆様と、組織のビジョンを共有し、企画、説明会の内容のアドバイス、タイアップセミナーの実施、候補者の要件定義、選考を半年間かけて取り組むケースもありました。複数名の弁護士の採用が決まった日に、法務課が法務部に昇格し管理部門全体の組織変更が、取締役会で承認された事例も経験させていただきました。
 また、法律事務所の御支援では、海外展開、支店展開等をどのように進めていくかというビジョンを代表パートナーと共有し、人材を1年以上にわたって、10名以上ご提案する計画になった事例も経験させていただきました。

 特に最近のリーガルに特化した人材サービスで興味深いのは法務マーケットが中国、アジアやASEANにも拡大している点です。最近では私どものサービスを通して中国律師が日本企業に入るケースもあり、人材の流動性・チャンスの国際的広がりを実感しているところです。
 クライアント様との綿密な連携を図ることを継続するように心がけており、現在では、ジュリナビを経由しての書類選考通過率は9割に至りました。またほとんどの内定者に受諾していただいております。

――その連携の秘訣は何ですか?

野村 リレーションを取らせていただく方々が、キーマンであることです。
 私どもがクライアント様の採用活動にコンサルタントとして参加する場合には、人事部長・法務部長・執行役員の皆様に同席していただくことが多いです。
 そこで、ビジョン、組織体制作り、求める人物像やスキルなど、徹底的な情報収集を行います。法律事務所の場合も同様で、代表者と携帯電話でダイレクトに相談内容を深めるケースもあります。
 例えば、公募で、一度ある法律事務所で書類がお断りされたのですが、もう一度アプライしたいと希望された弁護士の方がいました。書類審査時、その採用はAというパートナー弁護士が担当していましたが、私どもは同じ事務所に所属するBパートナーとリレーションがありました。そこでBパートナーにヒアリングを行い、その事務所が希望している人物像やスキルを把握し、再度ご推薦させていただきました。結果、その方は見事に書類、面接を通過され、内定を獲得されました。

「あの人だから与えよう」
と思われるために

――一度断られた人材案件を、別ルートで成約させた、というわけですね。クライアントと密なリレーションを構築する力は、先ほどの「質の高いコミュニケーション」にも共通する要素だと思います。
 最後に、インハウスローヤーや企業法務部を目指す若手が持つべきマインド、スタンスをお聞かせください。

野村 年間数百名の方を担当させていただいておりますと、成功されている方に共通していることが分かります。それは、組織にいながらも自立しようとされていることですね。組織にいながら、組織に頼られる存在を目指す。組織として、「あの人がいなければ回らない」と思われるよう、組織人としての自立を目指すことを心がけている方が多いように感じます。インハウスローヤーとして情報収集するのも、クライアントと密なリレーションを築くのも、「あの人だから(情報を)教えよう、話そう」と思ってもらうことがスタートです。「あの人がいないとだめ」と思ってもらえるほど自分をブランディングすることが、組織人としての自立だと日々学ばせていただいております。
 組織の中で自立するためには、最初は無償であったとしても、周囲の方々に貢献、奉仕することが大事だと思います。周囲の貢献は、必ず新しい紹介、情報となって巡ってきますから。

 まだまだ、私も浅学非才の身ですので、クライアント様のために、精進していきたいと思っています。ありがとうございました。


写真/柏崎佑介
取材・編集/八島心平(BIZLAW)



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野村 慧

Profile

野村 慧 [株式会社ジュリスティックス
リーガルプレースメント事業部長/リーガル専門ヘッドハンター]

弁護士及び法務人材の転職支援における、業界有数のヘッドハンター。
株式会社ジュリスティックス リーガルプレースメント事業部長。
求職者側では、執行役員~法務スタッフ・弁護士(パートナー~アソシエイト)・司法修習生等の転職支援を成功させてきた経験を持つ。クライアント側では、数百の企業・法律事務所のリクルーティング活動を支援してきた実績を有する。法律事務所では、大手法律事務所から一般民事系法律事務所まで、企業としては、上場企業を中心に業界を問わず担当。 複数の日本を代表する大手企業より、独占でコンサルティング業務を受注している。
これまで、大手金融機関の法務人材採用に関するアドバイザーや東証1部上場企業の法務課から法務部昇格のプロジェクトに関与するなど、活動は多岐にわたる。主な著作に『インハウスローヤーへの道』コラム、『弁護士・法務人材 就職・転職のすべて』(ともにレクシスネクシス・ジャパン)。




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