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業界全体で
パラタイムシフトの時

弁護士法人パートナーズ法律事務所代表弁護士 原 和良

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弁護士もセカンドオピニオンの時代 第3回

 第2回は、弁護士業界は依頼者との間の溝を埋める努力がまだまだ足りない、というお話がありました。第3回は、弁護士業界に求められるパラダイムシフト、「セカンドオピニオン」を広める運動について大事な考え方をお聴きしました。



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「セカンドオピニオン歓迎」の
風土づくり

――依頼者が「セカンドオピニオン」を求める時に、不安要素は色々あるということですが、弁護士の側で雰囲気づくりなどをしているのでしょうか。

 業界全体で「セカンドオピニオン歓迎」の風土をつくり、率先して意識転換していくことが必要です。狭い囲い込みは業界の発展につながりません。依頼者は、「セカンドオピニオン歓迎」の弁護士は誠実だと感じて歓迎するでしょう。

 ベンラボなどで先行してキャンペーンをしながら、最終的には弁護士会のコンセンサスにしていきたいです。「弁護士業界は、依頼者がセカンドオピニオンを要求することに大歓迎」と伝えることで、弁護士の至らない点を業界全体で改善していく。まさに、パラダイムシフトが大事だろうと思っています。


――医療業界は、患者を「患者様」と呼ぶようになるなど大きく変化しました。弁護士業界も変化が必要なのですね。

 そうですね。対等の人格・対等の人間として依頼者と向き合い、一緒に問題を解決していくことです。弁護士会として、依頼者が全国どこの弁護士にアクセスしても、最も合う解決方針を提供できる体制ができたら、弁護士全体に対する社会・市民の信頼度は増すでしょう。

 依頼者である市民には、過去の失敗体験・トラウマのある方が多くいらっしゃいます。弁護士に頼んでも何も解決しなかった、高い金銭をとられた、という経験から弁護士を評価したり、本来必要な時に弁護士へのアクセスをためらったりします。

 こうした状況が続くと、市民は権利救済の道が閉ざされ、弁護士は必要な仕事を提供して生業を立てていく機会が減ることになる。潜在的なニーズを掘り起こすという観点からも、そうした体制づくりは意味があると思いますね。

 イメージとしては、事務所の入口に「セカンドオピニオン歓迎」「セカンドオピニオン運動を推進する事務所」などのステッカーを貼ったり、打合せ室にパンフレットを置いたりします。あまり固く考えずに、日々の業務の中で運動が広がっていく、運動に賛同する弁護士や事務所が増えていくことで、業界が大きく変わるのではないかと期待しています。


「セカンドオピニオン能力」が
弁護士スキルとなる

――医療と法律、それぞれの「セカンドオピニオン」の違いは何ですか。

 医師と弁護士では、自然科学と社会科学の違いもありますが、「セカンドオピニオン」の意味合いが違います。医療の場合、この病気にはこの薬・この治療というように、ある意味数学的にピタッと出てくるセオリー的な治療法も多いと思います。

 それに対して法的な紛争の場合、事実が違えば結論が違ってきます。依頼者から事実についてどれだけ情報提供してもらうかによって、法的な対応方針は変わってきます。その辺りの難しさがあります。また、法的な紛争の場合は必ず相手方がいるので、その相手方がどういう方で、どういう証拠を持っているかによって、結論が変わってきます。それから一審の判決で勝ったものが、控訴審でひっくり返されることもあります。そういう意味では、必ずしも「セカンドオピニオン=真理」という保証は、全くないわけです。

 そうした不確実性や限界を踏まえた上で、依頼者にきちんと説明しながら適切にアドバイスすることが、「セカンドオピニオン運動」を広げる上で大事です。


――「セカンドオピニオン」の課題と今後の展望について、どうお考えですか。

 おそらく総論としては皆さん賛成されますが、実際に個別のケースでどういう「セカンドオピニオン」をするかというところは、課題が多いです。今後「セカンドオピニオン能力」というものが、大事な弁護士スキルになってくると思っています。

 「セカンドオピニオン」はそれだけを取り上げるのではなく、依頼者の権利宣言運動の一つの要素だと考えています。弁護士のインフォームドコンセント(注1)も含めて、全体的な「依頼者への良質なリーガルサービスの提供」の一環として、これから研究を深めていきたいです。

 私の経験上、10人中9人は、弁護士を変更する必要のないケースという印象があります。弁護士の多忙による説明不足や依頼者の理解度の不足、ちょっとしたコミュニケーションの行き違いから、弁護士不信になったケースが大半です。こうしたケースは、依頼者の誤解を解き、担当弁護士の対応に適切なアドバイスをする。こうした制度が確立したら、多くのケースでは、弁護士への不信感は解消していくと思っています。

 残りの10%は、弁護士を変更した方が良いケースです。弁護士会なり業界全体として、民事の冤罪を生まない、弁護士による過誤を未然に防ぐという意味で、依頼者に適切なアドバイスをして、場合によっては解任をしてもらって最悪の事態を防ぐ。そのように救済する必要があります。


勇気を出して、発想転換を

――最後に、読者へのメッセージをお願いします。

 「セカンドオピニオン」は他の弁護士の担当事件・業務を横取りしたり、他の弁護士の業務を妨害して自分の利益にしたりすることとは無縁であるし、無縁なものにしなければなりません。

 「セカンドオピニオン」を提唱することは、短期的には、余計な仕事が増えて経済効率が悪く見えるかもしれません。でも、パラダイムシフトとして弁護士が取り組まないと、結局は弁護士の評価・信用を低下させ、市民から失望されることになります。やはり勇気を出して発想転換し、我々のサービスを市民に広く提供するという観点から、セカンドオピニオンに取り組む必要があります。

 顧問弁護士がいても、その弁護士の不得意分野だったり、意見が一致しない場合に、「他の弁護士ならどう考えるだろう」と思って意見を聞くことは、依頼者にとって実はプラス面が多いと思っています。

 「セカンドオピニオンと依頼者の権利を確立する運動」を、ぜひ市民の皆さんに応援していただけると、我々としても大変ありがたいですね。


 文/冨岡由佳子
 取材・撮影/木村寛明(BIZLAW)




※注
(注1)インフォームドコンセント
手術等の際、医師が病状や治療方針を分かりやすく説明し、患者の同意を得ること。




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 弁護士もセカンドオピニオンの時代

原 和良

Profile

原 和良 [弁護士法人パートナーズ法律事務所代表弁護士]

1963年佐賀県生まれ。早稲田大学法学部卒業。1995年弁護士登録(東京弁護士会)。2007年パートナーズ法律事務所設立、2012年弁護士法人パートナーズ法律事務所設立。現在、弁護士法人パートナーズ法律事務所代表弁護士、一般社団法人弁護士業務研究所(ベンラボ)代表理事、東京中小企業家同友会理事等を務める。
労働事件(労働者側)、公害事件、痴漢冤罪事件等を手がける。現在は、中小企業の法律・経営問題、海外進出の援助、若手弁護士の指導・育成等にも力を注ぐ。
主な著書に、『弁護士研修ノート』(レクシスネクシス)他多数。




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