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CocoPPa, Inc. Chief Administrative Officer、
Chief Financial Officer、General Counsel 木村 剛史

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『エリート弁護士からインターネットビジネスへ』interview by CORK 第3回

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出版エージェンシー、コルクの法務担当である半井さんによるインタビュー『エリート弁護士からインターネットビジネスへ』もいよいよ最終回です。エリート弁護士からIT企業への転身を図った木村剛史さんが語る、法律の全世界への普及とは?

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コルク半井 木村さんは、日米の弁護士事務所などで10年のキャリアを積まれたわけで、そこで得られた自信が自分の背中を押した面もあったと思うのですが。

木村 そうですね。そのキャリアがあるからこそ、仮にビジネスに挑戦した結果がダメでも、日本で弁護士として再度仕事することになっても、失敗の経験をバネにして、いままでとは違う何かを生み出せるはずだ。それなら勇気を出して今このビジネスに挑戦してみようと前向きに思えました。

コルク半井 すべての方が木村さんと同じような経験が出来るわけではないとは思いますし、木村さんも意図されていなかった面もあると思うのですが、若手弁護士がそんなキャリアをつくりたい場合、どうしたらいいのでしょう?

木村 日本では、法律事務所に入って数年間は経験を積むことがキャリアを発展させていく上で有効だと考えています。
 東証や金融庁や今の会社では、即戦力となる弁護士が求められていると感じてきたからです。法律の知識・経験も重要ですが、思考方法、問題解決方法をトレーニングしてきた弁護士が求められていますね。いきなり企業に入って法務担当になるよりも、法律事務所で、きちんとした指導を受けながら、これらの経験を積むことはとても有効な方法だと思います。

コルク半井 では同じように既に弁護士として仕事をしている方で、ビジネスをやってみたい、ほかのことをやってみたい、けれどもなかなか踏み出せないという方から相談を受けたら、お伺いしたようなステップを踏んだ方がよいとアドバイスしますか?

木村 そうとも言えないです。いきなり飛びこんでも良いと思います。一番重要なのはタイミングで、その次に重要なのは、タイミングをとらえるための十分な準備を事前にしておくことです。私の大先輩弁護士からは、「プロとして、次に来るチャンスに対応できるだけの実力を日ごろから磨き続けろ。実力がなければ逃す。実力があれば乗っていける」と言われ続けてきました。
 言われたことをやるだけでなく、自分にしかできないと思うことを生み出そうという高い意識を持って仕事をやり続けていれば、次につながります。その時々で自分にできる最大限のことを日々やり続けることが一番重要だと思います。

 私が弁護士になったときは弁護士人数が急激に増え始めた時代でした。10年20年も長い経験を積んだ諸先輩が主な法律分野の第一線で既に活躍されている。外部の評価が重要な弁護士にとって、諸先輩方が築かれてきた壁を乗り越えることは決して簡単ではありません。そんな世代の我々は、先輩方と同じ道を進む中でそれでも自分が突出するか、あるいは今までとは少し違った分野、例えば二つ以上の分野の狭間で台頭していくか、考える必要があります。

 私は東証への出向を始めた頃から、どうやって自分を差別化していくかを常に考えてきました。最初は金融分野で高みを目指していたのですが、色々な思いから、変化が激しいインターネット分野を主軸に据えてみようと決めました。そしてそのためにはまず、アメリカ西海岸で経験を積まなければならない。そう考えたのがきっかけで、転職につながっていきました。

コルク半井 弁護士資格を取るだけでは、法務業界のなかで突出していけない時代なんですね。木村さんが最終的に目指されているものはどのようなものでしょうか?

木村 一言で言えば、法律の保護の全世界的な普及です。つまり、「世界の全ての人がリーズナブルにグローバルなリーガルサービスを受けられるプラットフォームを作ること」です。
 ビジネスはインターネットを通じて一瞬でグローバルになります。そのスピードは益々加速している。しかしこの変化に弁護士業界はついていけていない。

 その問題意識もあって、弁護士業界にインターネットによる革新を起こしたいと考えているんです。インターネットを使って、やや時代遅れになってしまっている法律業界にテコ入れして、もっともっとクライアントのためになるサービスを作りたいと考えています。

 例えば、今日本のスタートアップがアプリをローンチしたら、瞬く間にグローバル企業です。北米、南米、アジア、アフリカ、中東、ヨーロッパ。世界中の人がお客さんになります。このどこかの国でクレームや法律問題が起こったときに、日本の弁護士に相談しても、日本の法律の管轄外なのでわかりませんといわれてしまいます。法律家はその国の法律しか扱えないのでグローバルにはなれません。仮にアメリカの弁護士資格を持っている人はいたとしても、では中国では?アフリカでは?となるとお手上げなんですね。いわゆる「国際弁護士」とは、日本に加えて、せいぜいニューヨーク州かカリフォルニア州の弁護士資格を持っているに過ぎません。それに、世界各国に事務所やネットワークのあるグローバルローファームは敷居が高く、費用も高いので、中小企業やスタートアップでは簡単に支払えません。つまり、このようなビジネスニーズを弁護士業界は満たせていないのです。そんな状況を打破すべく、インターネットを介したリーガルサービスをつくりたいのです。

コルク半井 コルクもインターネットや「インターネット的」なつながりが、これからさらに重要になると考えて力を入れています。コルクが運営している作家さんや漫画家さんのオフィシャルサイトから作品や情報を発信することによって、世界中のファンの人にダイレクトに届けたいと思っていますし、またそのサイトが世界中のファンが集まってコミュニケーションが生まれる場になればと考えています。
 また、各国の法律は現地の弁護士さんに聞かなければわからないように、各国の出版事情などはやはり現地の出版社やエージェントに聞かなければわかりません。そういった点で、似ていることが多いように思います。

木村 弁護士は国境によってどうしても制限を受けてしまいがちです。でもビジネスでは、インターネットによって、ひとつの取引、一通の契約、ひとつのアプリが世界中の国々に関係します。それらを法的に分析する時に、どの国のどの法律を見ればいいのかわからない、国をまたぐとどうしようもない、目をつぶるしかないという状況を作ってはいけないのではないか。なんとかしたいと思っています。
 法律家として自らグローバルなリーガルサービスの普及を目指すにはどうしても限界があります。私はそれを、一法律家としてではなく、ビジネスモデルを通じて具体的な形で世界に提案し、実現させたいと思いました。

 ビジネスの過酷さ・冷酷さは今まで法律家として嫌というほど見てきました。きちんとしたビジネスを形作れるようになるには十分な知識と経験が必要です。私は、CocoPPa, Inc.でマネジメントとして働くことで、その知識と経験を積み、自分のアイデアを実現させていこうと思いました。もちろん、アイデア自体もっと検証して精緻化しなければなりません。場合によっては一度スクラップすることもあるでしょう。変化がとてつもなく早いこの時代、将来どうなるかはまったく予測できません。ただ1つ言えることは、その目標に向かって確実に意味のある一歩を踏み出したということです。

 結果がどうあれ、自分が法律家として生きてきた以上、グローバルな法サービスが世界の人に簡単に提供できるような仕組みを作るべく尽力することが、今の自分の使命だと信じています。その信念に従い、日々必死に努力を続けていきます。


聞き手/半井志央(コルク)
イラスト/羽賀翔一(コルク・http://hagashoichi.cork.mu/
写真/稲垣正倫(BIZLAW)




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 エリート弁護士からインターネットビジネスへ


Interviewer

半井 志央 [株式会社コルク 法務担当]

京都大学法学部卒業、ロンドンへの留学経験あり。国内のメーカー法務を経て、コルクに入社し、法務・編集・経理などを担当。編集としては、紙と電子書籍の総合書店hontoのフリーマガジンhonto+に携わる。

コルクホームページFacebooktwitter(@shionakarai)

木村 剛史

Profile

木村 剛史 [CocoPPa, Inc. Chief Administrative Officer、
Chief Financial Officer、General Counsel]

ユナイテッド株式会社シニアディレクター。
日本・米国ニューヨーク州弁護士。東大法卒、バージニア大学ロースクール(LL.M.)卒、ハーバードビジネススクール(EE/HPLP)修了。西村あさひ法律事務所勤務、東京証券取引所自主規制法人(現日本証券取引所自主規制法人)出向、金融庁検査局勤務、Debevoise & Plimpton LLP (ニューヨークオフィス)出向を経て現職。
主要アプリ 「CocoPPa ホーム」 http://bit.ly/1y3dnNd




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