MENU
BIZLAW BIZLAW
Powerd by LexisNexis®
BIZLAW
BIZLAW Powerd by LexisNexis®

RSS
Google+
Twitter
Facebook
HOME

プロボノ活動が転職の契機に

CocoPPa, Inc. Chief Administrative Officer、
Chief Financial Officer、General Counsel 木村 剛史

_NM_9492

『エリート弁護士からインターネットビジネスへ』 interview by CORK 第2回

nakaraisann

出版エージェンシー、コルクの法務担当である半井さんによるインタビュー『エリート弁護士からインターネットビジネスへ』第2回です。エリート弁護士からIT企業への転身を図った木村剛史さんにお伺いします。なぜ転職を決意したのか、転職のきっかけとは…。

関連記事
 『エリート弁護士からインターネットビジネスへ』 第1回 弁護士の経験…




コルク半井 そもそもなぜ転職されたのか、そのきっかけをお伺いしていいですか?問題意識がなければ動機は生まれないと思うのですが、思い立った理由は具体的に何だったのですか?

木村 一人前の弁護士として独り立ちするには、ほかと十分に差別化できていないという危機感です。
 留学当初はアメリカで最先端の金融レギュレーションを経験し、帰国するつもりでした。しかし、アメリカでそのような案件をこなす中で、この分野のプロフェッショナルとなることが果たして弁護士として幸せなことなのか少し疑問に思えてきてしまったのです。東証や金融庁でレギュレーターとして働いていた時に感じていたようなやりがいや正義感を、今後も弁護士として感じ続けることができるのか、疑問に思い始めたのです。

 そして、今後残りの半生をかけて自らプロとなるべき世界はどこだろうと考えたとき、インターネット業界しかないと思えたのです。理由はいくつもあります。ビットコインを知ったときの衝撃にはいまだに背筋がゾクゾクします。インターネットビジネスは、規模拡大も進化のスピードも格段に早く、法的に未整備なことが多いので、今後法律家へのもっと大きな需要が生まれてくるだろうと思いました。変化のスピードが速いので若手法律家が頭角を現す余地が大きいとも思いました。私の尊敬する弁護士の一人が、日本でスタートアップの環境整備に日々奮闘してきた姿を見続けてきたことも大きいです。そしてこの分野に飛び込む以上、まずはアメリカで経験を積むべきだと思いました。

 当時所属していたニューヨークのローファームで、インターネットの関わる案件や勉強会に積極的に参加しました。また、マンハッタンのスタートアップにプロボノ(無償)でリーガルサービスを提供し始めました。そこで知り合った会社の1つが、当時ニューヨークに進出したばかりのユナイテッドの子会社、CocoPPa, Inc.でした。ライセンス契約や投資案件などについてアドバイスしました。相談を受けていた投資案件が実行され、CocoPPa, Inc.が投資先のカリフォルニアに引っ越す時に声をかけてもらいました。
 皮肉にも、弁護士として一人前になる道を探求した結果、むしろ弁護士の本業からは遠のくことになってしまったということです・・・。

コルク半井 プロボノ活動が、結果的に就職活動になったということですね。弁護士さんで同じ様に転職先を見つけられる方は多いのですか?

木村 私は聞いたことが無いですね。珍しいのかもしれません。私も最初から転職ありきで始めたわけではなく、たまたまタイミングがあっただけです。
 相談を受けてアドバイスする中で、この世界でも、自分の意思も伝えられるし、自分の実力も見せられる。雇う側としても、リーガル面の実力を認めてくれたからこそ私に声をかけてくれたのだと思います。

コルク半井 ほかにもプロボノを通して知った会社や、紹介された方など、沢山の方に会われたと思うのですが。

木村 はい。2014年の1月にインターネットにシフトしようと決めてから、CocoPPa, Inc.で働こうと最終的に決意した7月末まで、いろんな人に会った半年でした。

コルク半井 転職の動機として、ほかにはどのようなものがあったのでしょう?

木村 実は転職の動機となった一番大きなものとしては、リーガルサービスの世界でインターネットによるイノベーションを起こしたい、今までにない新しいビジネスを立ち上げたいという思いが強かったということだと思います。CocoPPa, Inc.への転職はその目標に一歩近づくことができると思ったのです。

 このビジネスアイデアは、ある春の日の朝にふと思いつきました。このアイデアが実現すれば、世界の人によりよいリーガルサービスを提供できるようになると。早速身近な日・米の弁護士やスタートアップ専門の教授などに相談したら高い評価をもらえました。時流もあることから、一時は本気ですぐにでも起業すべきではないかとさえ思いました。

 しかし実際にビジネスを始めるとなるといろいろと分からないことだらけです。具体的なイメージを聞こうと、ある投資家の方にアドバイスを求めたところ「そのアイデアだけでは一円の価値もないよ」と一蹴されてしまいました。悔しかったですが、非常にありがたい指摘でした。たしかに今の自分には実現力がない。きちんとしたビジネスに育て上げるには、インターネットビジネスの知識も事業運営や経営の経験もちゃんと自分のものにしておかなければならない。そんな問題意識を持っていたところで、ユナイテッドのCEOとCocoPPa, Inc.のCEOと話したところ、マネジメントとしてCocoPPa,inc.に加わること、そしてそのビジネスにチャレンジすることに快諾してもらえたのです。ビジネスの経験もない私にそんなビッグチャンスをくれるなんて、何て器が大きい人たちだろうと感動しました。これが決定的でした。本当にやりたいなら今決断するしかない。ユナイテッドグループで自分の夢を実現すべくチャレンジすることに決めました。

コルク半井 とても大きな夢をお持ちなのですね。ぜひ応援したいです!ほかに、CocoPPa, Inc.に入られた決め手はありましたか?

木村 身近で仕事をすることになるCocoPPa, Inc.のCEOが魅力的な人でした。外資系金融などに勤務後、アメリカでMBAを取り、ユナイテッドに入社して、米国法人を立ち上げてきた人です。
 とっても優秀ですし、一緒に仕事したら面白いだろうと思いました。話しやすいし、向こうも自分を尊敬してくれているのも分かりました。ほかの立上げメンバーの話も聞いて、一緒に働くのは面白そうだと。


_NM_9512

コルク半井 一緒に働くメンバーはとても重要ですよね。ところで1つ気になっていたんですが、木村さんは、CocoPPaの可愛いキラキラした壁紙やアイコンに、興味はあるのですか?

木村 最初は興味を持てなかったですよ、正直(笑)。でも、当時から、アプリのダウンロード数はすごいと感じていましたし、今までの成功を武器にアメリカに打って出ようとする姿勢を純粋に応援したくなりました。また、当時まだ開発中であったランチャーアプリは、世界のネットユーザーにネットへの入り口を提供する大きなプロジェクトであり、そこに大きなやりがいを感じました。CocoPPa, Inc.で働き始めてからは、その日の気分に応じて、CocoPPaホームで毎日のように私もAndroidのホーム画面を変えています。今ではもう手放せません。

コルク半井 一度自分好みにアイコンを並べ替えたらその後でテーマを変えてもそれがずっと続きますので、とても便利ですよね。
 弁護士として活躍してきた経験やスキルはどこに役立っていますか?持ってるといいよ、と読者に伝えられるスキルはありますか?

木村 最も重要なのは、叩き込まれたプロフェッショナル意識です。法律家もアスリートと同じプロフェッショナルです。自分の力で自分にしか出せない結果を出し続けることへの追求です。また、関連しますが、ロジカルに物事を考える訓練をリーガルの世界できちんとやっていたことも役に立っていると思います。いわゆる四大法律事務所、その中でも一番厳しいと言われていた大先輩弁護士の指導の下で、どんなに厳しい環境でも、言い訳せず、逃げ出さず、へこたれずに、必ずプロとして一流の成果を出さなければいけない、と教えられ続けてきました。

 そこで鍛えられた後に東証に行ったのですが、法律の知識があれば通用する世界ではありませんでした。でも筋道を立てて自分の頭で考え結果を出し続けようとしたことで、経験が無かった分野でも対応できたんですね。次の金融庁でも同じです。プロ意識を持って自分の頭で考えぬき、クオリティのある結果を出し続けようとしたことが成果に繋がったと思います。
 今の会社の法務でも、M&Aと知財のバックグラウンド、紛争や交渉の対応力、契約のドラフティング能力があることがとても役に立っています。

コルク半井 今回の転職は、ハッピーな決断だったのでしょうか。

木村 もちろんです!たしかに、法律事務所でさらに経験を積んで一人前の弁護士となり、多くのクライアントの成功をサポートしていくことはとてもやりがいのある仕事です。

 それゆえ、この決断をするにあたっては、本当に悩みました。弁護士として、人として、残りの人生でいったい何をしたいのか、毎日毎晩真剣に考え抜きました。同じく弁護士をしている両親の背中を見て育ったことも影響しました。両親からは、幼い頃から、弁護士は法律を武器にして権力と戦うものだと教えられてきました。でも法律を勉強してみたら企業法務が面白かったので大手法律事務所に入り、そこでの仕事に集中してきました。しかし、今を弁護士キャリアの折り返し地点として考えた時、自分がやるべきことはこのままのキャリアの延長線上に見つけられないかもしれないと思えたのです。残りの人生では、法律家としてもっと違ったものを目指していかないといけないと思ったのです。

第3回に続く


聞き手/半井志央(コルク)
イラスト/羽賀翔一(コルク・http://hagashoichi.cork.mu/
写真/稲垣正倫(BIZLAW)




この連載記事を読む
 エリート弁護士からインターネットビジネスへ


Interviewer

半井 志央 [株式会社コルク 法務担当]

京都大学法学部卒業、ロンドンへの留学経験あり。国内のメーカー法務を経て、コルクに入社し、法務・編集・経理などを担当。編集としては、紙と電子書籍の総合書店hontoのフリーマガジンhonto+に携わる。

コルクホームページFacebooktwitter(@shionakarai)

木村 剛史

Profile

木村 剛史 [CocoPPa, Inc. Chief Administrative Officer、
Chief Financial Officer、General Counsel]

ユナイテッド株式会社シニアディレクター。
日本・米国ニューヨーク州弁護士。東大法卒、バージニア大学ロースクール(LL.M.)卒、ハーバードビジネススクール(EE/HPLP)修了。西村あさひ法律事務所勤務、東京証券取引所自主規制法人(現日本証券取引所自主規制法人)出向、金融庁検査局勤務、Debevoise & Plimpton LLP (ニューヨークオフィス)出向を経て現職。
主要アプリ 「CocoPPa ホーム」 http://bit.ly/1y3dnNd




ページトップ