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ツールとしての弁護士資格

シティライツ法律事務所

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クリエイティブと法 第3回

弁護士資格の合格者数が増えたことにより、大手法律事務所や、企業内弁護士への就職が、より狭き門になっている弁護士が多いとの話も聞く。実際のところ、今の弁護士業界は本当に「苦しい」のか。今の弁護士に求められる資質は何なのか。シティライツ法律事務所の水野祐弁護士と平林健吾弁護士に話を聞いた。(取材日:2014年8月25日)



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弁護士の平均年収は
年々下がっている

――弁護士の収入は厳しい時代になったと言われていますが、実感としてどうですか?

水野 「昔はそんなによかったんですか?」という感じです(笑)。そもそも良い時代を経験していないから、厳しいという実感もないですね。僕の感覚としては、まだまだ他の職業よりも仕事もあるし、収入もいいし、やりがいもあると感じています。現時点では、ということで今後はわからないですけどね。ただ、昔のように、弁護士資格さえとれば、苦労せず、仕事が入ってくるという状態ではなくなったのは確かです。実際に年収も下がっているという話を聞きますし、弁護士資格を取ったことのみに甘んじている人には、どんどん厳しくなっていくでしょうね。


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http://www.nichibenren.or.jp/library/ja/updates/data/110606_syotokubunpu.pdf
自由と正義2011年 6号 臨時増刊号

望むなら、
エキサイティングな時代が
やってくる!

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――今後の弁護士業界をどう見ていますか?

水野 繰り返しますが、「弁護士になること」を目的として弁護士になった人には厳しい時代になると思います。弁護士志望者を見ていると、その大半が弁護士になることが自己目的化していますが、おかしいですよね。弁護士は一資格に過ぎないわけで、弁護士になって何をしたいのか、という一番大事な目的が忘れられています。今までは受け身で待っていても、従来の法曹制度や弁護士資格がなんとかしてくれていました。でも今は違います。弁護士資格さえとれば何とかなる時代ではなくなりました。能動的なアクションを起こせる人でないと生き残れません。弁護士になることが目的ではなく、自分なりの目的を達成する手段として弁護士資格の取得を選んだ人は、これからの弁護士業界でも十分やっていけるのではないでしょうか。むしろ、そういう弁護士にとってはますますエキサイティングな時代になるような気がしています。

――水野弁護士の場合はまさに弁護士を手段と捉えていますよね。

水野 僕は最初から弁護士になりたかったわけではありません。クリエイターの手助けがしたいという思いが出発点で、そのために弁護士資格というツールとリーガルマインドという能力が必要だと思いました。社会を良くしたいとか、弱者救済という気持ちも正直に言ってゼロではないですが、そういうものは内に秘めておくものではないかと(笑)。そもそもぼくは「人のために何かする」ということを信じていないというか、「自分のために何かをする」ことこそ究極的には他人のためになるのではないかと考えているので。だから、Arts and Lawや他のボランティア活動も、「クリエイターのために」というキャッチコピーは使いますけど、僕の気持ちとしては僕が好きだからやっている、ただそれだけです(笑)。

 クリエイターが活動しやすいための仕組み、今の言葉で言うと「アーキテクチャ」というものを作る。その目的を達成するために弁護士という手段があったに過ぎません。極端な話、「クリエイティブの下支えをする」という目的が達成できるのであれば、別に弁護士にこだわる必要はないし、10年後には弁護士をやっていない可能性も十分あると思っています。

1.英語、2.ネットリテラシー
3.ビジネスへの速度

――今後の弁護士に求められる資質は何だと思いますか?

水野 ネットリテラシーと英語ですかね。特にウェブサービスに関わっていくなら、自分がユーザーとして新しいネットサービスに触れていないとダメです。例えばSNSの利用規約を作るにしても、自分でSNSを使ったことがないというのではお話になりません。でもそれじゃあ、どうやってもちゃんとした規約は作れないと思います。新しいウェブサービスが登場したら、とりあえずユーザー登録してみて、背景のアーキテクチャを含めてそのサービスを理解する。ウェブ系の案件を手掛ける弁護士であれば最低限このぐらいのことをしないとダメだと思います。

 ウェブ系に関わらず、これからの弁護士は自分が領域とする先進技術やトピックについて自ら能動的に貪欲に知識や技術を吸収していく必要があります。法律だけ知っていればいい時代ではもはやないですね。

平林 これからは業務スピードがますます求められる時代になると思います。IT企業のインハウスで仕事をしていると、ビジネス展開が早くて、従来の弁護士先生の感覚で業務を進めていたらとてもついていけません。ベンチャー企業やスタートアップ企業と同じぐらいのスピード感で業務を遂行できる弁護士は重宝されるでしょう。

水野 まさにそのとおりですね。IT企業だけでなく、それ以外の業界でもビジネスの速度が速くなってきています。その速度に弁護士が対応できるかどうか。この点では、ビジネスの速度が速い業界が身近である自分達の世代は、先輩弁護士に比べて優位に立っています。実際、うちの事務所は迅速な対応を多くのクライアントから評価していただいているはずです。

 平林さんのような、インハウスでも働いている弁護士から直接企業のニーズについても聞けることで、僕もこういうことに気づけました。

弁護士資格を
使いこなすために

――最後に、弁護士を目指す若者や若手弁護士に何かアドバイスをお願いします。

水野 ぼくも若手なので何か言うのはおこがましいのですが(笑)、自分がやりたいこと、好きなことに素直になって、「なぜ自分は弁護士になるのか」をとことんつきつめてから法曹を目指すべきだと思います。弁護士になることが自己目的になっている人は、弁護士の多忙さや比較的な簡単に得られる「やりがい」にすぐに飲まれてしまい、他に目がいかなくなってしまう。

 実際、平林さんは世界中のウェブサービスを可能な限り試していますし、ぼく自身も音楽、映画、舞台など、メジャーなものからマニアックなものまで少しでも暇があれば触れ続けています。自分がやりたいことさえ定まっていれば、弁護士資格を自分なりの武器として使いこなせるはずです。

 そういったことへの熱意や内面化は、司法試験を合格するためには回り道だったりしますが、最終的には法曹として正しい道だったと今なら自信を持って言うことができます(笑)。また、資格を取ってからだと、忙しさなどからどうしてもそういう時間を持てなくなりがちです。


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――平林弁護士はどうでしょうか?

平林 受け身で仕事を待っているのではなく、自分から積極的に働きかけることが大事。やりたいことがあれば、そこに向かって動いていれば、自ずとチャンスはやってくると思いますよ。

水野 そうそう。「今の弁護士業界は苦しい」と散々言われるけど、それはデマだと思いますよ。弁護士であることが目的化している人にはたしかに苦しいのかもしれないでしょうけれど、好きなことさえはっきりしていたら、ナイキのキャッチコピーじゃないけど「ただ、やるだけ」ですから。迷いようがないです。そうやってがむしゃらにやっていたら、いつのまにかブルーオーシャンにいた、みたいな形が理想ですかね(笑)。


文/笠原崇寛
写真/柏崎佑介
編集/稲垣正倫(BIZLAW)



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Profile

シティライツ法律事務所

水野祐弁護士が代表を務め、平林健吾弁護士がパートナーとして所属。Perfumeの3D映像などで有名なクリエイティブカンパニー「ライゾマティックス」や、コンテンポラリーアートの旗手「Chim↑Pom」などをクライアントに抱える。クリエイティブ系をサポートする異色の法律事務所(http://citylights-lawoffice.tumblr.com/




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