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グレーゾーンを踏破できる
企業の強さ

インクリメントP株式会社 知的財産法務部長 足羽 教史

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前例なき時代の道標、「未来型コンプライアンス」 第2回

 前例のない先端技術ビジネスで企業が競争力を獲得するためには、リスクからビジネスをストップするのではなく、グレーゾーンを踏破しながら自らのビジネスを更新しようとする意志が不可欠、と足羽氏は語る。先端技術ビジネスにかかわる法的なハードルとはどのようなものか。連載第2回、話を聞いた。



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――先端技術が法務に及ぼす影響はどのようなものでしょうか?

足羽 インターネット導入後、非常に幅広い影響が法律分野にも及んだことは周知の通りです。技術やそれをベースにしたビジネスの展開はますますスピードアップしていますが、法律の改正は相変わらず遅々として進みません。このギャップは広がるばかりです。しかも、日米の著作権法の違いに典型的に見られる通り、米国法のほうが新しい事態に柔軟に対応できる構造になっているため、相対的に見ても、日本の法律と現実のギャップがさらに広がる恐れがあります。ビジネスの現場でも米国主要IT企業に後れを取っているのに、法律もより一層日本企業の足を引っ張り続ける、こんな面白くないシナリオが現実になろうとしています。

――具体的には、どのような影響やギャップがあるのでしょうか。

足羽 インターネットを経由してソーシャルメディアが普及してくると、人目を引くサービスが沢山登場し、さまざまなトラブルが起きると共に既存の法律も見直しを余儀なくされました。例えば、グルーポンのようなフラッシュマーケティングに対する景品表示法、ステルス・マーケティングに対する消費者保護法、クラウド・ファンディングに対する金商法など、幾つも例を列挙することができます。

 そもそも、ソーシャルメディア利用は、すでに企業に広範囲に広がっていて、総務省の調査でも、広告宣伝目的では過半数の企業が利用していると回答しています (※)。ソーシャルメディアによって、新しいビジネスモデルが急増してリスクの所在がわかりにくくなったこともありますが、情報流出やインターネット特有の拡散、すなわち一度流出すると回収が不可能となる恐れもあります。また、「炎上」という、大抵の企業には得体のしれない現象に見舞われることもあります。広告宣伝だけではなく、消費者の製品評価や意見の収集や、採用活動に至るまで、企業の利用は急速に拡大しています。どの企業にとっても、もう他人事とは言えないはずです。

(※)平成24年通信利用動向調査の結果(概要) – 3 企業におけるICT利用の現状 – 企業におけるソーシャルメディアサービスの活用目的・用途(複数回答)(平成24年末)

 ユーザーとの距離が近くなって、企業にもユーザーのさまざまな情報が大量に入るようになり、企業のマーケティングは活性化しています。ユーザーは自分の指向や趣味、購買行動の履歴等を大量に発信してくれるわけですから、マーケティング上の利用価値、経済価値も爆発的に上がっていることになります。

 もちろん従来からユーザーの情報は貴重だったわけですが、インターネットがないころは、そのような情報は取得には高額なコストがかかりました。ただ、昔はライフスタイルが均一で、かなり大雑把な情報でも、十分だった面もあります。

 例えば、自動車で言えば、就職して最初は皆同じようなちょっとスポーティーで安価なモデルを買い、結婚して家族ができるとフォードアセダンの中型モデル、地位が上がってお金に余裕が出て来ると大型高級セダンと決まったパターンでシフトして行ったわけです。大量採用で入社して、年功序列で皆で揃って出世して、最後まで同じ会社で退職を迎える、そういう時代には、ユーザーの購買行動もわかりやすかった。

 ところが、今では、お金に余裕があってBMWに乗っている人が、次に軽自動車に買い替えたりするようなことが平気で起きます。塊だったユーザーはバラバラになって、趣味や嗜好もさまざまです。もう単純な年齢や年収等の情報程度ではたちうちできません。ユーザーを知るには、個人の属性、趣味嗜好、購買行動、交友関係等細密な情報を入手せざるをえなくなりました。

 しかし、一方で、インターネット、特にFacebookのようなソーシャルメディア、AmazonのようなECが普及して、詳細なユーザーの情報が瞬時に入手できるようになりました。しかも、それぞれの行動を通算したり、その人の交友関係、位置情報等から、ユーザーの全体像を詳細に作ったりすることもできます。これも企業の競争ですから、どんどん個人の情報を収集するようドライブがかかっています。

 ただ、こうなってくると当然、個人情報やプライバシー関連の法律が立ちはだかってきます。そして、まさにギリギリの攻防が起きることになります。しかも、不安にかられたユーザーは法律の範囲内の企業の行動でさえ、気持ち悪いと感じて反発するようなことも起きてきます。




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足羽 教史

Profile

足羽 教史 [インクリメントP株式会社 知的財産法務部長]

インクリメント P(株)知的財産法務部部長/ブログ『風観羽』主宰

トヨタ自動車、JX日鉱日石エネルギー(旧三菱石油)を経て現職。海外企画、マーケティング、海外事業等、事業系のキャリアが長い。
尚、ブログでの発言は所属する組織・団体とは関係ない。




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