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ISO14001:2015に求められる
ニーズと期待

2015年度 ソフィア・エコロジー・ロー・セミナー 

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2015年度ソフィア・エコロジー・ロー・セミナー レポート 第6回

 2015年9月28日から11月16日にかけて、全6回にわたり「CSRと環境法を考える連続セミナー(ソフィア・エコロジー・ロー・セミナー(Sophia Ecology Law Seminar, SELS))」が上智大学法科大学院で開催されました。これは上智大学法科大学院が提唱している環境法政策プログラム(Sophia Environmental Law and Policy Program, SELAPP)の一環であり、弁護士、行政職員、企業法務職員などの法律実務家、環境法の遵守に関心を持つ企業人、そして、大学院生・学部学生といった幅広い受講者層を想定しています。
 本セミナーのスローガンは、「より佳き環境法の実現に向けて」。このレポートでは、11月16日に行われたセミナーの様子をご紹介します。



 2015年11月16日、「CSRと環境法を考える連続セミナー」の最終回が開催された。講師は、株式会社パセデア代表取締役の黒柳要次氏。テーマは、「ISO14001改訂の狙いと環境法~EMSはどこへ向かうか」である。

 2015年9月15日、ISO14001:2015が発行された。1996年に最初のISO14001が発行されて以来の改訂である。今回の改訂の背景としては、他のマネジメントシステム規格との整合化、及び環境・技術の変化への対応があげられる。前者は、共通要素(付属書SL)を、今後制定・改訂されるすべてのマネジメントシステム規格に原則として適用することが義務付けられる点に表れる。このため、規格の構造、要求事項の追加や強化を含む、大幅改定となった。それでは、従来と比べ大きく改正されたポイントは何か。以下の2点に要約できる。

 第1には、企業経営と環境経営の一体化である。自然災害等の環境が組織に与える影響を含む、企業外部及び内部の課題や、利害関係者のニーズ及び期待を考慮した経営と環境マネジメントシステムとの一体化の下で、意図した成果を要求する。環境マネジメントシステムの適用範囲として、環境パフォーマンスの向上、順守義務を満たすこと、環境目標の達成があげられる。それらの達成のため、トップマネジメントの役割の明確化、環境保護の視点拡大、パフォーマンスの重視、環境コミュニケーション計画の策定、ライフサイクルの視点の強化、プロセスの確立・実施・維持が、事業プロセスの統合の過程で要求されるようになった。

 第2には、順法性維持の強化である。ISO14001:2015における順守義務に関連する箇条が、従来の3倍に当たる15箇条に増加した。順守義務が拡大し、法的要求事項だけでなく、組織が順守することを選択した環境上の要求事項についても、法令と同じ扱いとして、順守する義務が生じた。注目すべき点は、組織は順守義務に利害関係者のニーズ、期待が追加されることを求められている点、さらに順守義務に関連する人材育成の点の2点である。以下に詳述する。

 組織は、①環境マネジメントシステムに関連する利害関係者②それらの利害関係者の、関連するニーズ及び期待③それらのニーズ及び期待のうち、組織の順守義務となるもの、の事項を決定しなくてはならない。利害関係者とは、「ある決定事項もしくは活動に影響を与えうるか、その影響を受けうるか、またはその影響を受けると認識している、個人または組織」であり、例えば、顧客や投資家及び従業員である。関連するニーズ及び期待とは、例えば関連する業界規範及び業界標準も含む。実務的な流れとしては、まず初めに利害関係者を決定し、次に彼らのニーズ及び期待を決定し、最後に順守義務となるもの、いわば、法律ではないが、組織が自らやらなくてはならない義務を決定することが求められる。

 つまり、従来のISO14001:2004とは異なり、ISO14001:2015では、順守義務に利害関係者のニーズ、期待が追加されることが求められているのだ。順守義務として決定される例として、景品表示法や、関連する組織または業界の標準等があげられる。

 順守義務に関連する人材育成に関して、ISO14001では力量の順守義務に対する範囲が明確化された。組織は、組織の環境パフォーマンスに影響を与える業務、及び順守義務を満たす組織の能力に影響を与える業務を組織の管理下で行う人に必要な力量を決定しなければならない。環境パフォーマンスに影響を与える業務とは何か。付属書によると、環境影響または順守義務の決定・評価と、順守評価の実施である。また、組織は、組織の管理下で働く人々が、組織の順守義務を満たさないことを含む、環境マネジメント要求事項に適合しないことの意味に関して認識を持つことを確実にしなければならない。さらに、順守義務を満たしていることを評価するためのプロセスの確立のため、順守状況に関する知識及び理解を維持する旨が追加された。


文・上智大学法学部 妹尾知紘
制作・BIZLAW編集部


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