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企業とCSR・環境法を取り巻く
4つの課題

2015年度 ソフィア・エコロジー・ロー・セミナー 

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2015年度ソフィア・エコロジー・ロー・セミナー レポート 第5回

 2015年9月28日から11月16日にかけて、全6回にわたり「CSRと環境法を考える連続セミナー(ソフィア・エコロジー・ロー・セミナー(Sophia Ecology Law Seminar, SELS))」が上智大学法科大学院で開催されました。これは上智大学法科大学院が提唱している環境法政策プログラム(Sophia Environmental Law and Policy Program, SELAPP)の一環であり、弁護士、行政職員、企業法務職員などの法律実務家、環境法の遵守に関心を持つ企業人、そして、大学院生・学部学生といった幅広い受講者層を想定しています。
 本セミナーのスローガンは、「より佳き環境法の実現に向けて」。第5回は、11月9日に行われたセミナーの様子を2つのレポートでご紹介します。




法学部生から見たソフィア・エコロジー・ロー・セミナー その1

 11月9日、「CSRと環境法を考える連続セミナー」の第5回が開催された。講師は、真和総合法律事務所パートナー弁護士の高橋大祐氏が務めた。テーマは『弁護士から見た「企業とCSR・環境法」』。今回の内容は、以下の4点に要約できる。

 1つ目は、新規事業における環境法コンプライアンス及びステークホルダーとの合意形成である。例えば洋上風力発電施設の設置の際、一般海域の管理権者について具体的なルールがなく、法の空白域が生じている。このような法制度の不確実性が存在する状況では、事業者は法的リスクを回避するためにCSRに配慮した対応を実施することが有用である。洋上風力発電の設置にあたっては環境影響評価の手法が確立しておらず、ステークホルダーの環境影響に関する懸念・不安が生じやすくもある。それらに対応するには、法律の要求事項を越えた積極的な情報共有・コミュニケーションが必要である。合意形成学の理論(Joint Fact Finding; Mutual Gains Approach)の適用が望ましい。

 2つ目は、環境汚染事故発生時における危機管理対応である。例えば内部告発により工場排水が規制値を上回る化学物質を含有していることが判明した場合、法令違反による制裁を受けるばかりでなく、売上減少・取引停止・企業ブランドの低下・株価下落など、さまざまなレピュテーションリスクが存在する。企業価値の毀損を防ぐための危機管理対応としては、ステークホルダーからの信頼をいかにつなぎとめるかに重点を置いた危機管理対応が必要である。

 3つ目は、サプライチェーンにおける環境汚染リスクに対する対応である。製造メーカーの部品調達先である海外二次サプライヤーが環境汚染問題を起こした場合、製造メーカーはNGO・メディアから批判を受けたり、取引先から取引を停止されたりすることが懸念される。欧米では、従来は企業の自主的な取組みであったCSR調達が、2011年ビジネスと人権国連指導原則採択を通じてCSR概念にパラダイムシフトが生じたことにより、法的義務ないしそれに準じる義務に引き上げられるというルール化が急速に進みつつある。サプライチェーンにおける環境汚染リスクに対処するには、サプライヤー契約などにおいてCSR条項を導入し、環境・労働・人権に対する悪影響を把握・評価してサプライヤーを管理することが有用である。

 最後は、新興国での開発プロジェクトにおける環境破壊・腐敗・人権侵害への対応である。例えば海外のJVの相手方など第三者を介した贈賄があった場合、海外贈賄規制により処罰される危険性があり、特に環境規制を免れるための贈賄行為はリスクが高く、「人権侵害の加担」として国際的な批判を受ける危険性もあり、慎重な適正評価手続きを実施する必要がある。JV契約にもCSR条項を導入するなど、JVパートナー企業に対しても影響力を行使し、環境破壊等を防止することが求められる。

 以上の通り企業のCSR・環境法の関わりが変化しており、企業のコンプライアンス対応において実務・研究・教育のさらなる発展が期待される。


 文・上智大学法学部 瀧澤孝平




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