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廃棄物処理法違反の
実態と対策とは

2015年度 ソフィア・エコロジー・ロー・セミナー 

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2015年度ソフィア・エコロジー・ロー・セミナー レポート 第4回

 2015年9月28日から11月16日にかけて、全6回にわたり「CSRと環境法を考える連続セミナー(ソフィア・エコロジー・ロー・セミナー(Sophia Ecology Law Seminar, SELS))」が上智大学法科大学院で開催されます。これは上智大学法科大学院が提唱している環境法政策プログラム(Sophia Environmental Law and Policy Program, SELAPP)の一環であり、弁護士、行政職員、企業法務職員などの法律実務家、環境法の遵守に関心を持つ企業人、そして、大学院生・学部学生といった幅広い受講者層を想定しています。
 本セミナーのスローガンは、「より佳き環境法の実現に向けて」。このレポートでは、10月26日に行われたセミナーの様子をご紹介します。



 10月26日(月)、「CSRと環境法を考える連続セミナー」の第4回が開催された。今回は、実務の視点からの講義。「環境法務の課題:環境法を守れるか」というテーマの下、行政書士エース環境法事務所代表の尾上雅典氏が登壇し、専門分野である廃棄物処理法の事例に則した講義が行われた。

 まず、一般的な話として、企業を規制する環境法令の過去から現在の変遷と特徴について説明。尾上氏は、昭和40年代の公害がひどい時代の行政実務家を第1世代、昭和50年代の方々を第2世代、その下の第3世代、そして今の行政実務家を第4世代と整理された。

 臨機応変な対応が求められた第1世代の時代から、現在は法律に準拠した対応が必要になってきていると述べる。運用すべき環境法令の特徴としては、①公害防止措置の強制、②行政による監視、③取引や製造活動に関する記録の保存と情報公開、④広範な「健康目的」から、個別の化学物質規制になったこと、の4点が挙げられた。

 次は、廃棄物処理法の場合の話である。他の法令と異なり、廃棄物処理法の最も大きな特徴となっているのが上記③である。また、業許可や施設設置許可の権限を、都道府県や市町村が握っていることも特徴である。廃棄物処理法の規制趣旨は、「公衆衛生の維持」「生活環境の保全」「取引の規制」の3点があるが、実務的には取引の規制の比率が最も大きくなっており、許可業者などへの委託、委託契約書の作成保存、マニフェストの運用と保存を主な内容としている。

 また、注意しなければならないことは、廃棄物処理法に関する刑事事件として検挙される事件の総数に対して、起訴割合が61.1パーセントと高く、起訴されると確実に刑罰に処せられることである。事件の内容は、不法投棄がやはり多いが、委任基準義務違反も毎年数社で起きている。

 廃棄物処理法違反のリスクとして、企業の場合は倒産までに追い込まれることはほぼないものの、事件報道により社会的信用が毀損した例は非常に多く、また、撤去費用の負担が減益要因となることがある。廃棄物管理責任者の場合は、違反の程度や悪質性とは無関係に、発覚したら訴追されうる結果となる。たとえばD建設は、工場から排出したスラグの一部を、再利用するために製品として有償で取引をしたことが、廃棄物処理法に違反すると判断された。工場としては適法行為を行っているつもりであったが、法を事実上すり抜けていたことが問題となった事件であった。

 また、S特殊製鋼は、適法に契約をしていたが、契約していた処理業者が当該対象物に対する埋め立て許可を持っていなかった。千葉県の廃油精製工場では、同じく排出業者は適法な行為をしていたが、処理業者の判断で不適当な処理がなされ、爆発が起きた。そこで、それぞれの企業の管理者や支店長が書類送検された。結果発生の原因となった契約に、委託基準処理違反が認められたため、両事例ともその点で責任が問われた。措置命令の対象にならないためには、委託基準を把握して、適法に委託をするしかない。

 最後に、「規制改革実施計画」が紹介された。経団連からは、「企業グループ内での産廃処理が一定の場合については自らの処理として扱う」こととする要望が環境省になされ、環境省は前向きな姿勢を見せている。来年開催される中央審議会での審議が注目される。


 文・上智大学法学部法律学科 溝邉 千鶴穂
 制作・BIZLAW編集部


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