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味の素株式会社に見る
「守り」と「攻め」の環境活動

2015年度ソフィア・エコロジー・ロー・セミナー 

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2015年度ソフィア・エコロジー・ロー・セミナー レポート 第3回

 2015年9月28日から11月16日にかけて、全6回にわたり「CSRと環境法を考える連続セミナー(ソフィア・エコロジー・ロー・セミナー(Sophia Ecology Law Seminar, SELS))」が上智大学法科大学院で開催されます。これは上智大学法科大学院が提唱している環境法政策プログラム(Sophia Environmental Law and Policy Program, SELAPP)の一環であり、弁護士、行政職員、企業法務職員などの法律実務家、環境法の遵守に関心を持つ企業人、そして、大学院生・学部学生といった幅広い受講者層を想定しています。
 本セミナーのスローガンは、「より佳き環境法の実現に向けて」。このレポートでは、10月19日に行われたセミナーの様子をご紹介します。



 10月19日(月)、「CSRと環境法を考える連続セミナー」の第3回が、多くの参加者を集めて開催された。講師は、味の素株式会社 生産戦略部の細田彰氏。テーマは、「EMSと環境法対応の現状報告:味の素の取り組み」である。

 味の素株式会社(以下、味の素)は、調味料、加工食品、冷凍食品のほか、添加物であるアミノ酸や化成品、医薬品なども扱うグローバル企業であり、その環境への取り組みは以前から注目されている。「自分たちのやっていることが素晴らしいとは思っていない。むしろ、もっとこんなことができるのでは、というご意見を待っている」。そう細田氏は話し始めた。

 会社概要・環境活動の概要・環境法遵守への取り組み・環境活動の課題の4点が講演の柱である。

 味の素は創業以来、「おいしく栄養を摂ることを通じて世界各地の健康な社会に貢献する」という理念を掲げ、社員で共有してきた。味の素の事業に不可欠な食品の原料は、自然の恵みである。自然を守ることが会社自体のSustainabilityにつながる、という考えのもと、「すべての事業サイクルの中で環境に配慮するのは当たり前である」との認識だ。味の素の環境活動は、環境負荷を小さくしようとする「守り」と、効率を高め価値を大きくしようとする「攻め」双方で成り立つ。それぞれの活動において、ISO14001をベースに、PDCAを回す。

 具体的な環境活動としては、規制値を大幅に下回る環境負荷低減計画、「ほんだし」の原料であるカツオの生態調査、バイオサイクル・バイオマスエネルギー、家畜飼料用リジンによる温室効果ガス抑制、一般消費者向けに商品に付けられる「味なエコ」マークなどが挙げられた(2014-2016環境中期計画に盛り込まれた活動の一部)。

 さらに、生産工場を持つ味の素にとって重要なのは、多岐にわたる環境法の遵守である。工場では、環境・品質・安全を品質管理部門が一体で管理することで、サンプリングや分析の精度を担保している。環境法は改正が多いため、国内では、法改正は本社が、条例改正は自治体と情報交換をしつつ各事業所がそれぞれ把握している。それが管理に反映できているかを確認するのは内部監査の役割だ。海外現地法に関しては、現地法人が把握・監査している。また、「環境に影響を及ぼすおそれのある事項」においての自主環境アセスメント(年200件以上)や、環境監査という社内の公的な監査なども法遵守に貢献している。今までのところ行政処分を受けたことはなく、グループのほぼ全法人がISO14001認証を取得している。

 一方で、環境活動における課題も当然存在する。まず、環境法に精通した社員の不足や、言語やモラルの違いからくる海外現地法人の管理の難しさといった人・組織の課題がある。これは他企業でも課題として挙げられやすい。加えて、創業百年を超える会社ならではであるが、工場の設備履歴が不明といった問題もある。また、ウェブ投票で明らかになったように、味の素の環境活動に対する一般消費者の認知度の低さも挙げられる。統合報告書(非財務系ESG報告)対応のため、各事業所のレポート集計時間を短縮する必要もある。

 質疑応答では、自社で監査を行うことへの疑問などが出される一方で、他企業で同業務を担当する社員の方から、味の素の取り組みに対して共感の声が上がった。

第4回につづく


 文・上智大学法学部地球環境法学科 齊藤成実
 制作・BIZLAW編集部


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