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中国ビジネス法務の最新状況と
リスクマネジメント2018

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中国最大級の法律事務所であり、日本への留学経験のある日本語堪能な多数の中国人弁護名を擁する方達法律事務所。
2018年10月23日、同法律事務所が主催したセミナー「中国ビジネス法務の最新動向とリスクマネジメント2018」には、ビジネスに関わる重要な法律が続々と整備される中国の現状を受け、多くの日本企業の法務担当者が詰めかけた。

(制作/レクシスネクシス・ジャパン株式会社 広告出版部)


方達律師事務所 Fangda Partners
1993年設立。上海を本拠に、北京、深圳、広州、香港に拠点を持ち、約600名の律師を擁する中国最大級の律師事務所。中国を中心にビジネス法務分野におけるグローバルなリーガルサービスを総合的に提供し、チェンバースをはじめとする国際機関からも長年にわたり高い評価を得ている。


日本企業が迫られる変化する中国への対応

現在、日本企業の対中投資額は世界で第3位、進出する企業の数は第1位と、日本企業にとって中国との関係は依然として緊密なものとなっている。一方で近年の中国では、ビジネスに関わるさまざまな法律が加速度的に整備され、対中ビジネスを行う日本を含むすべての海外企業が、その対応に苦慮しているという状況がある。

中国の大手法律事務所の一つである方達法律事務所が主催した本セミナー「中国ビジネス法務の最新動向とリスクマネジメント2018」では、中国で新たに制定または改訂される輸出管理法や商業賄賂規制、サイバーセキュリティ法などについて、同法律事務所の3名の弁護士が解説。高い専門性と知見を有するそれぞれの弁護士が、三つのセッションにおいて立法の動向から日本企業が留意すべき点までを詳細に語った、セミナーの様子をレポートする。


第1セッション
輸出管理法(中国語「輸出管制法」)草案
講師/孫 海萍(方達法律事務所 パートナー 中国弁護士)

新たな輸出管理法に見る海外企業の留意点

最初のセッションでは、方達法律事務所の日本業務チームを率いる孫海萍パートナー弁護士が登壇し、2017年の夏に公表された中国の「輸出管理法草案」について解説した。

「草案について中国商務部は、中国での事業活動に多大な影響を与える法律であり、外国企業は注視すべきというコメントを出しました。新たな輸出管理法の制定は、海外企業の中国ビジネスに大きな影響を与える可能性があるのです」

とはいえ、まだ草案段階にある新たな中国輸出管理法に関して、公式な見解や解釈を見つけるのは難しい。

「当所には、現行の輸出管理法の立法にも参加した商務部出身の弁護士が在籍し、新たな輸出管理法の立法動向や当局の動きについても緊密にフォローしています。さらには現役の商務部担当者から非公式に収集した情報も踏まえ、新たな輸出管理法に関する最新の情報を、本日は皆さんと共有したいと考えています」

このセッションのアジェンダをそう説明した孫弁護士は、まず先進国に見られる輸出管理制度の外観や中国における現行の輸出管理法について解説。さらには、新たに制定される中国輸出管理法がそれらと比べてどのような特徴を持つのかについて、中国でビジネスを行う日本企業が注視すべき点を踏まえて解説した。

「新たな輸出管理法の注目点としては、規制対象の拡大、適用範囲の拡大、最終ユーザーおよび最終用途に対する管理の強化が挙げられます。現行法では、大量破壊兵器などに転換される可能性が高い技術や貨物のみが規制対象とされますが、新たな法では、例えば特定の炭素素材や先端素材、電子部品やコンピューターなども該当する可能性のある、通常武器に関する汎用品も規制対象品目に加えられます。また、適用範囲の拡大については、新たにみなし輸出規制や再輸出規制といった制度が導入され、前者では中国国内で活動する外国人や外国法人、その他の外国組織に対し、規制対象の貨物や技術、サービスを提供する場合の適用、後者では中国から輸入した規制対象品目を第三国に輸出する場合の適用が見込まれています」

さらに最終ユーザーおよび最終用途に対する管理強化については、現行法でも必要な当局への誓約書の提出などに加え、必要に応じて輸出管理当局が実地確認をできる権限も新たに定められるという。

「日本企業においては、規制対象品目の拡大による審査認可等に関する負担増をはじめ、みなし輸出や再輸出に関しては、現地子会社の日本人従業員の活動が制限されるうえ、サプライチェーンの取引にまで中国の輸出管理法を意識した対応が必要になるでしょう。そうしたさまざまな対応について、立法の動向を常にフォローしている我々のような法律事務所なら、お役に立つアドバイスができると思います」

Profile

孫 海萍

北京大学法学学士、東京大学法学修士。日本業務チームのパートナー弁護士。日本の大手法律事務所の中国業務チームや、欧米系の法律事務所および中国大手事務所の日本業務チーム等で15年近く日系企業に対してリーガルサービスを提供してきた豊富な経験を活かし、日系企業に対し、中国投資、企業再編、腐敗防止等のコンプライアンス、紛争解決、独占禁止を中心に、幅広くリーガルサービスを提供している。


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第2セッション
商業賄賂規制、環境保護、税関法関連コンプライアンス
講師/王 暁萌(方達法律事務所 パートナー 中国弁護士)

当局の活発な法執行や強化される罰則に注目

二つ目のセッションでは、同法律事務所の紛争解決チームに所属し、グローバルな企業に各種コンプライアンス関連のリーガルプラクティスを提供する王暁萌弁護士が登壇。冒頭ではまず王弁護士から、2018年に改正された反不正当競争法の外観が示された。

「中国の反不正当競争法は1993年に導入されましたが、従来の法律では規制範囲が他の法律と重複する部分も多く、またインターネットを使った商取引など新たな不公正競争行為への対応もできていなかったため、2018年に改正法が施行されました。改正法では虚偽宣伝行為や商業賄賂行為、オンライン不正行為といった七つの不正競争行為が特定され、特に商業賄賂行為などについては法執行も強化されています。具体的には、罰金の最大額が20万元から300万元にまで引き上げられるなど、違反企業が負う法的責任はより厳しいものになっているのです」

そうした反不正当競争防止法と同様に、現在、中国でビジネスを展開する海外企業から大きな注目を集めているのが環境保護法だ。

「中国の環境保護法では、水質汚染や大気汚染、金属による汚染や化学薬品による汚染など、各領域の問題に対応する細かな規制が定められ、非常に複雑な法体系となっています。いまや中国にとって環境保護は最も重要な問題ですから、この分野では改正や立法も積極的に行われるうえ、海外企業に対しても厳格に法執行がされるケースも増えています」

そう話す王弁護士が一例として挙げたのが、中国北西部の町と契約を結び、水処理を請け負っていたヨーロッパ企業のケースだ。

「このヨーロッパ企業は、ある特定の化学薬品の処理を免除されるという契約を地方政府と締結していました。ところが、中央政府から派遣された検査チームがこの町に入り、国の基準に適合していないということで当局に報告され、最終的には刑事罰を課されるなど厳しい処罰を受けました。海外企業が中国の環境保護法への対応を検討する際には、こうした地方と中央との緊張関係についても理解しておく必要があります。つまり、たとえ相手がシニアなポジションにあっても、一人の政府担当者の言葉を信じて良いわけではないのです」

このセッションではさらに、最近の中国税関の規制動向について、当局による法執行の強化傾向や、国際協力によってより厳しさを増す監督状況などについても紹介された。

「現在、中国当局では130以上の国や地域と連携を図り、近年では特にスクラップ金属などに注目して、密輸に対する監督や摘発、執行措置などを強化しています。中国でビジネスを行う日本企業は、次々に整備・強化されるこうした数々の規制について理解しておくと同時に、どのようなケースが違反になり、どのような罰則が課されたかなど、具体的な法執行のポイントについても注視しておく必要があるのではないでしょうか」

Profile

王 暁萌

北京航空航天大学法学学士、ロンドン大学法学修士、ノースウェスタン大学法学修士。紛争解決チームのパートナー弁護士。各種類型の商事紛争解決および情報保護規制や商業賄賂、環境関連紛争、税関関連問題腐敗・詐欺防止等のコンプライアンス問題ならびにそれに関連する紛争処理等を専門としている。特に、企業のコンプライアンス業務に関しては、海外腐敗行為防止法(FCPA)や中国の商業賄賂規制違反に関する中国企業の内部調査や、税関、税務局、環境管理局、中国証券監督管理委員会を含む中国政府機関による調査等に多く関与してきており、豊富な経験を有している。



第3セッション
サイバーセキュリティ法に関連する具体的な制度の構築
講師/金 日華(方達法律事務所 中国弁護士)

個人情報や重要データを企業はいかに守るべきか

そして最後のセッションでは、孫弁護士とともに同法律事務所の日本業務チームに所属する金日華弁護士が、中国のサイバーセキュリティ法への対応について解説を行った。

「サイバーセキュリティ法は国家安全法を上位法とする特別法であり、いわば国の安全をどう守るかについて規制する法律として、2017年の6月に施行されました。同法の実施ガイドラインはまだ制定中ですが、方達法律事務所は立法活動に参加している中国でも唯一の法律事務所として、常に最新の動向をフォローしています。同法の基本法については、インターネット情報内容管理制度、サイバーセキュリティ等級保護制度、個人情報・重要データ保護制度、ネットワーク製品・サービス管理制度、サイバーセキュリティ事件管理制度といった六つの規制分野から構成されています」

金弁護士はまず、そうした六つの規制分野をそれぞれ詳細に解説。特に、日本企業からの注目度が高い個人情報保護の領域については、「2018年5月に個人情報安全規範という国家基準が公表され、個人情報を収集する際や社内で保管する際のルール、さらには個人情報を第三者に提供する際のルールが詳細に決められています。この基準は法律ではないものの、政府部門による執行活動において適用されるケースも多く見られます」といった、海外企業にとって有益な指摘を行った。

続いて金弁護士は、国家インターネット情報弁公室を中心としたサイバーセキュリティ法に関する管理監督体制や、近年の中国で多発する同法関連の行政処罰事例などを紹介。

「行政処罰の主な事例としては、インターネットで公表されている内容自体が違法なケースや、サイバー攻撃を受けた際などに安全等級制度の導入に不備が発見されるケース、さらには個人情報を転売するなどして直接的に侵害したケースが挙げられます。中国では有名なニュース配信や動画配信のアプリやウェブサイトなど、多岐にわたる処罰事例が見られますが、例えば会員に送付したメールとアプリの画面で、中国大陸と香港、マカオ、台湾、チベットを国家として表示したことで処罰を受けたマリオットホテルのケースでは、中国主権の侵害や広告規制違反といった違反理由から、地方のインターネット弁公室や当局の公安部門、広告規制を担当する市場勧告管理部門など、企業はさまざまな政府部門への対応に迫られることになっています。こうしたケースが散見されることも、同じ違法行為について複数の部門が管轄権を持つ、中国サイバーセキュリティ法の特徴です」

さらには、現状のサイバーセキュリティ法への対応状況について、数百社の中国企業を対象にした独自アンケートの結果や、日本企業が社内でコンプライアンス体制を構築するための具体的なステップなども金弁護士が紹介。中国ビジネス法の最新動向が網羅された、日本企業にとって重要かつ有意義なセミナーは、この日に登壇した各弁護士と参加者との活発な質疑応答で締めくくられた。


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Profile

金 日華

復旦大学大学院法学学士、一橋大学大学院国際企業戦略研究科 経営法修士。日本の大手法律事務所の中国業務チームおよび中国の大手法律事務所の日本業務チームで約10年間業務し、2017年に方達法律事務所に入所。M&A、外商投資業務を専門としており、特に日中間および中韓間のM&A、企業再編、撤退、解散清算、コンプライアンス、紛争解決および一般コーポーレート業務の分野で、豊富な経験を有している。




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