MENU
BIZLAW BIZLAW
Powerd by LexisNexis®
BIZLAW
BIZLAW Powerd by LexisNexis®

RSS
Google+
Twitter
Facebook
HOME

株式会社LIG(第1回)

GVA法律事務所 弁護士 山本 俊、飛岡 依織

Venture

レクシスネクシス・ジャパン(株)が提供する法令・判例・行政総合ソリューション「Lexis AsONE」で好評連載中のオリジナルコンテンツ「Business Issues」から『弁護士の視点から観るベンチャー業界ユニーク人事制度事例集』をご紹介します。(平成27年5月26日 Lexis AsONE上で公開)



1 はじめに

 本連載は、注目のベンチャー企業が実際に採用するユニークな人事・労務制度について、労働法の観点から解説する連載企画です。第1回と第2回は、株式会社LIGの人事・労務制度を解説します。

 株式会社LIG(以下「LIG」といいます。)は、メディア事業を中心として、ウェブサイト制作、プロモーション・コンテンツ企画制作事業など、総合的なWeb事業を展開する企業です。
 LIGでは、今まさに、約8か月をかけて企業理念や人事評価制度の見直しを行っている最中とのことで、現在試行錯誤を重ねている部分も含め、採用手法や給与体系、そして企業理念を浸透させるための工夫について、2回にわたって解説していきたいと思います。


2 LIGの採用手法

 LIGは、代表取締役の岩上氏が砂浜に肩まで埋められている写真を使ったユニークな採用募集ページで一躍話題となりました。メディア事業を中核に急速に躍進する同企業だけあって、上記のようなユニークな採用広報をはじめとして、採用や人事についても他の企業と比較してその発信力は強く、優秀なエンジニアやデザイナーを多く集めることができるという強みが企業規模拡大の原動力となっています。

<採用基準>
 そんなLIGでは、採用基準として以下の2つの軸を定めています。
 一つはスキルの高さ、もうひとつは、LIGの社風に合うかどうかです。社風に合うかどうかというのは、端的にいえば、LIGの執務スペースにその人がいて違和感があるかどうかを観るとのこと。この2つの軸のうち、特に後者を重視しています。その理由は、岩上氏の言葉を借りれば、「スキルは後付できるが、友達になれるかどうかは先天的なもの。相性は後天的には加工できない」ためです。

<インターン・有期雇用制度>
 また、社員となる者の能力や人格を見て採用するため、新卒の場合はインターンからしか採用せず、第二新卒や中途採用の場合は3日間の体験入社をしてもらうとのことです。そして、はじめの3か月間は契約社員として雇い、会社に合わないと判断した場合には、双方合意のうえ退職手続きを取るという運用を採用しています。



3 労働法上の規制の観点からの採用基準

 採用は、企業が事業活動を支える「人」という財産を獲得する入り口ですので、極めて重要な手続きです。特に、ベンチャー企業にとっては、優秀な人財を確保できなければ事業は前に進まず、問題ある人材を採ってしまった場合には社内環境の悪化・労務紛争などで大きなコストが生じ、事業の足を引っ張りかねません。
 また、法律上、一度雇用した社員をやめさせるのは非常に難しいという点に注意が必要です。おそらく、大半のベンチャー社長が思っているよりもずっと難しいといえるでしょう。事業においては、社長が自由に意思決定することができたとしても、問題ある社員について社長がクビにしてしまえば済むというものではありません。労働基準法その他の労働関係法規は、社員の生活を保護するため、会社からの一方的な意思表示で社員が仕事を失うこととなってしまう「解雇」を強く制限しており、簡単には認められないのです。
 さらに、残業代の支払いや解雇手続などを含む労務管理の適法性は、IPOの際には上場審査の対象となりますので、企業のフェーズに応じて早いうちからきちんと労務管理体制を整えておかなければ、直前期に大慌てで整備する羽目になり、IPO時期の延期や、最悪の場合にはIPO断念ということにもなりかねません。また、バイアウトやVC等からの資金調達の際にはデュー・ディリジェンスの対象となり、未払残業代などの簿外債務があると、バリューを大幅に下げたり、資金調達できなかったりする要因にもなり得ます。

 そこで、採用時に、その企業の社風や方向性・ニーズにマッチした人材かどうかを見極めることが極めて重要となります。社員の能力を引き上げることは、特に新卒の場合には、企業の責任や役割というべき部分もあり、企業内の教育体制を整えることである程度事後的にカバーできますが、方向性の違う社員、社風に合わない社員を採用した場合、それを無理やり合わせるのは至難の業であり、また無理に合わせることにあまり意味があるとはいえません。
 そういった意味で、LIGの採用基準は、労働法の観点からしても、極めて理にかなったものといえます。




1 2 3




ページトップ