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我が国の人材サービス市場を
概括する(前編)

人材サービス総合研究所 所長 (経営コンサルタント) 水川浩之

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レクシスネクシス・ジャパン(株)が提供する法令・判例・行政総合ソリューション「Lexis AsONE」で好評連載中のオリジナルコンテンツ「Business Issues」から『雇用が変わる ~人材派遣とアウトソーシング、外部人材の戦力化~』をご紹介します。



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 この回では、前後編に分けて、我が国の人材サービス市場を以下観点から概括・分析していきます。

【前編】
(1)派遣労働者の動向
(2)派遣先企業の動向
(3)派遣元事業者の動向
【後編】
(4)伸び悩む労働者派遣事業
(5)歪められた派遣就労のイメージ


(1) 派遣労働者の動向

 すでに述べたように1999年の労働者派遣法の抜本的な改正では、適用対象業務が原則自由化され、それまでの原則禁止のポジティブリスト方式から、一部禁止のネガティブリスト方式に改められ、これが人材派遣サービス業界にとって大きな曲がり角となりました。また、2004年の労働者派遣法の改正においても、製造業務の派遣事業の解禁、政令26業務の派遣受入期間制限の撤廃、自由化業務(政令26業務以外の業務)の派遣受入期間制限の1年から3年への延長など、大幅な規制緩和が行われました。

 これらの労働者派遣法改正の変遷は、各種統計データからも読み取ることができます。総務省統計局の「労働力調査」における雇用形態別雇用者数では、2000年に初めて「労働者派遣事業所の派遣社員」として派遣労働者数が取り上げられました。
 厚生労働省の「労働者派遣事業の事業報告」の集計結果は、2000年以降から公表されていますが、これ以上遡ったものは、日本人材派遣協会から1998年以降の同集計結果を公表されているだけです。逆に言うと、1986年に労働者派遣法が施行されてから一定の期間は、社会的に派遣労働者数の推移についてそれほど関心が持たれていなかったとも言えるかも知れません。

 1998年時点でどのぐらいの市場規模があったのかというと、「労働者派遣事業の事業報告」によれば、常用換算の派遣労働者数(8時間換算)で約31万人。ピークの2008年が約198万人ですから、わずか10年ほどの間に6倍以上の市場規模に急成長したことになります。


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 統計局の「労働力調査」でも、2000年の時点で33万人、ピークの2008年で145万人となっており、この調査でも4倍以上の成長があったことが示されています。


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 派遣労働者数の推移としては、「労働者派遣事業の事業報告」と「労働力調査」で、ほぼ同様の動きがあることが分かります。ただし、この2つのデータの間には、最大で約50万人もの差があり、いくつか注意を必要とします。

① 労働者派遣事業の事業報告
(a) 「労働者派遣事業の事業報告」は、労働者派遣事業者に対して、事業年度ごとの運営状況についての報告書を厚生労働大臣に提出することが義務づけられているものです。しかし、事業者によって事業年度の期間が違うこと、事業報告を怠っている事業者もあること、提出した数値の正確性も十分ではないことなどから、誤差が生じます。

(b) 「労働者派遣事業の事業報告」では、労働者派遣事業者ごとの報告になるため、派遣労働者が同一の事業年度に複数の事業者を通じて就労した場合は、重複して報告されることになります。

(c) 「常用換算派遣労働者数」とは、一般労働者派遣事業の常時雇用労働者と常時雇用以外の労働者(常用換算)に、特定労働者派遣事業の常時雇用労働者を合計した人数を言います。常時雇用以外の労働者の常用換算数には、日雇派遣労働者についても含んでいるため、一時的、臨時的に派遣労働をした人もすべて含んだ数値になります。

② 労働力調査
(a) 年度により調査方法,調査月、調査期間などが変わったことがあり、同一条件で時系列の比較ができません。また、東日本大震災の影響により、被災3県(岩手、宮城、福島)についての集計が困難な期間もあり、一部、国勢調査の数値が補完的に用いられています。

(b) 「労働力調査」は、標本抽出方法となっており、全件調査ではありません。ただし、結果の推定値の誤差については、1%前後とされており、かなり精度が高いものと言えます。

 いずれにしても、「労働力調査」は、我が国の基幹統計であり、就業、不就業の状態を明らかにするための基礎資料となっているため、一般的にこれが正式なデータとして用いられています。全雇用者における派遣労働者の比率についても多くの場合、このデータによって算出されます。

 また、厚生労働省の「平成24年派遣労働者実態調査」によれば、派遣労働者が現在行っている派遣業務(複数回答)は、事務用機器操作(19.5%)、物の製造(18.5%)、一般事務(16.7%)の順となっており、性別では、男性が物の製造(30.6%)、ソフトウェア開発(14.8%)、女性が事務用機器操作(28.5%)、一般事務(26.9%)が多く、これら以外の業務は、ほとんどが1~3%以下となっています。


 現在行っている派遣業務別派遣労働者割合          複数回答(単位:%) koyou_04_image06

 複数回答(単位:%)(出典:厚生労働省「平成24年派遣労働者実態調査」)

 なお、派遣労働者の今後の働き方に対する希望は、「派遣労働者として働きたい」(43.1%)、「派遣社員ではなく正社員として働きたい」(43.2%)となっており、自ら望んで派遣労働に就いている人と不本意に派遣労働に就いている人との割合は、ほぼ同程度です。




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水川浩之

Profile

水川浩之人材サービス総合研究所 所長 (経営コンサルタント)

1982年、オンキヨー株式会社に入社。国内、海外の営業、マーケティングに従事、ドイツ現地法人に出向し当時の西ヨーロッパのマーケティング責任者を務める。
1992年、KDDI株式会社に入社。経営企画部門や事業企画部門を歴任する他、日本における事務系BPOの先駆けとしてサービス部門における業務プロセス改革のプロジェクトマネジメントに携わる。
2003年、アデコ株式会社に入社。社長室長、ビジネスプロセス統制部長、広報宣伝部長、社長付企画推進部長などを歴任。在職中、日本人材派遣協会運営支援部会、人材派遣健康保険組合監事、立命館アジア太平洋大学の非常勤講師も兼務。
「労働者派遣法改正」「今後の労働法制」「企業の人事戦略」など講演多数。
経営について稲盛和夫氏を師と仰ぐ。座右の銘は「敬天愛人」。




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