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労働者派遣法と関連する
規制の変遷

人材サービス総合研究所 所長 (経営コンサルタント) 水川浩之


2012年(平成24年)改正労働者派遣法施行

 法律の名称が「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律」から「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」へ変更されました。法律の名称に「派遣労働者の保護」が明記され、派遣労働者の保護・雇用の安定が目的規定されたのです。1985年の労働者派遣法制定以来、一貫して規制緩和を繰り返してきたものが、この改正により、初めて規制強化の方向に転換されました。具体的な改正内容は以下のとおりです。

(1) 日雇派遣の原則禁止
(2) グループ企業内派遣の8割規制
(3) 離職後1年以内の人を元の勤務先に派遣することの禁止
(4) マージン率などの情報提供派遣料金の明示
(5) 待遇に関する事項などの説明
(6) 派遣先の都合で派遣契約を解除するときに講ずべき措置
(7) 派遣先の都合で派遣契約を解除するときに講ずべき措置
(8) 有期雇用派遣労働者の無期雇用への転換推進措置
(9) 派遣労働者が無期雇用労働者か否かを派遣先への通知事項に追加
(10) 均衡待遇の確保
(11) 労働契約申込みみなし制度(2015年10月1日施行)

 なお、日雇派遣の原則禁止に伴い、適正な雇用管理の要否を区別するために、従前の「受付・案内、駐車場管理」を、「受付・案内」と「駐車場管理」に、また「建築物清掃」に含まれていた「水道、廃棄物等設備運転」を切り分け、政令による適用対象業務が、26業務が28業務に変更されました。以下、政令区分に沿って28業務を列記します。


政令第4条第1項(日雇派遣が可能な業務)
1号 ソフトウェア開発
2号 機械設計
3号 事務用機器操作
4号 通訳、翻訳、速記
5号 秘書
6号 ファイリング
7号 調査
8号 財務処理
9号 取引文書作成
10号 デモンストレーション
11号 添乗
12号 受付・案内
13号 研究開発
14号 事業の実施体制の企画、立案
15号 書籍等の制作・編集
16号 広告デザイン
17号 OAインストラクション
18号 セールスエンジニアの営業、金融商品の営業

政令第5条(日雇派遣が不可能な業務)
1号 放送機器等操作
2号 放送番組等演出
3号 建築物清掃
4号 建築設備運転、点検、整備
5号 駐車場管理等
6号 インテリアコーディネーター
7号 アナウンサー
8号 テレマーケティング
9号 放送番組等の大道具・小道具
10号 水道施設等の設備運転等


2012年(平成24年)請負に関する告示

 「労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準を定める告示」(告示37号)が改正されました(告示518号)。内容については、「労働者派遣・請負を適正に行うためのガイド」にまとめられています(リンク先は平成26年版のものです)。


2013年(平成25年)労働者派遣事業と請負の区分に関する疑義応答集(第2集)

 2009年に通達された「労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準(37号告示)に関する疑義応答集」が主に製造業務を中心としたものであったことに対して、製造業務以外の業務も対象としたものとして、「労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準(37号告示)に関する疑義応答集(第2集)」が通達されました。


2015年(平成27年)改正労働者派遣法施行

 「派遣就業が臨時的・一時的なものであることを原則とする」との労働者派遣の位置付けの考え方が明確化されるとともに、派遣事業の健全化、派遣労働者の雇用安定とキャリアアップ、より分かりやすい派遣期間規制への見直し、派遣労働者の均衡待遇の強化などを柱に従来の労働者派遣法の考え方が根幹から変わる大改正となりました。その主な点は次のとおりです。

(1)派遣事業の健全化
 届出制だった特定労働者派遣事業と許可制だった一般労働者派遣事業の区別が廃止され、すべての労働者派遣事業が許可制となりました。

(2)派遣労働者の雇用安定とキャリアアップ
 派遣労働者の正社員化を含むキャリアアップ、雇用継続を推進するため、労働者派遣事業者へ、①派遣労働者に対する計画的な教育訓練、希望者へのキャリア・コンサルティングの実施、 ②派遣期間終了時の派遣労働者の雇用安定措置が義務づけられました。
 さらに雇用安定措置では、派遣労働者の雇用を継続するための措置として、①派遣先企業への直接雇用の依頼、②新たな派遣先企業の提供、③労働者派遣事業者での無期雇用、④その他安定した雇用の継続を図るために必要な措置を講じることが、労働者派遣事業者へ義務(1年以上3年未満は努力義務、3年経過時は義務)づけられました。

(3)より分かりやすい派遣期間規制への見直し
 派遣受入期間制限が、業務単位から、事業所単位と個人単位に制度の掛け替えがされました。事業所単位の期間制限では、派遣先企業の同一の事業所における派遣労働者の受け入れの上限が3年とされ、それを超えて受け入れるためには、過半数労働組合などからの意見聴取が必要となり、意見があった場合には対応方針などの説明が義務づけられました。
 個人単位の期間制限では、派遣労働者の派遣先企業の同一の組織単位での就労の上限が3年とされました。
 政令26業務に該当するかどうか、付随業務、付随的業務などの解釈によって派遣期間の取扱いが大きく変わる制度を廃止し、分かりやすい制度としたものです。


2015年(平成27年)同一労働同一賃金推進法成立

 雇用形態が多様化する中で、雇用形態により労働者の待遇や雇用の安定性について格差が存在し、それらの状況を是正することを目的に制定されました。

 労働者の職務に応じた待遇の確保などのための施策として、①労働者が、その雇用形態にかかわらずその従事する職務に応じた待遇を受けることができるようにすること、②労働者がその意欲及び能力に応じて自らの希望する雇用形態により就労する機会が与えられるようにすること、③労働者が主体的に職業生活設計を行い、自らの選択に応じ充実した職業生活を営むことができるようにすることを基本理念に置いています。

 また、国の責務などの明確化、労働者の職務、待遇の雇用形態による相違の実態、雇用形態の転換の状況などに関する調査研究などについて定めることが規定されています。

 なお、正式な法律名は、「労働者の職務に応じた待遇の確保等のための施策の推進に関する法律」であり、今後、派遣労働者に限らず、いわゆる非正規労働者に関する法制度に大きな影響を与えるものになるとみられます。


2015年(平成27年)労働契約申込みみなし制度開始

 2012年に改正された労働者派遣法に伴い、3年間の猶予期間を経た後、労働契約申込みみなし制度が開始された。違法派遣の是正のため、派遣先企業へ制裁を課すものです。その詳細は続く第4回以降で後述していきます。

 次回は、「我が国の人材サービス市場を概括する」と題して、「派遣労働者の動向」「派遣先企業の動向」「派遣元事業者の動向」「伸び悩む労働者派遣事業」「歪められた派遣就労のイメージ」の5つの項目から国内の人材サービス市場を分析していきます。

(第4回につづく)


 編集/八島心平(BIZLAW)



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  雇用が変わる ~人材派遣とアウトソーシング、外部人材の戦力化~




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水川浩之

Profile

水川浩之人材サービス総合研究所 所長 (経営コンサルタント)

1982年、オンキヨー株式会社に入社。国内、海外の営業、マーケティングに従事、ドイツ現地法人に出向し当時の西ヨーロッパのマーケティング責任者を務める。
1992年、KDDI株式会社に入社。経営企画部門や事業企画部門を歴任する他、日本における事務系BPOの先駆けとしてサービス部門における業務プロセス改革のプロジェクトマネジメントに携わる。
2003年、アデコ株式会社に入社。社長室長、ビジネスプロセス統制部長、広報宣伝部長、社長付企画推進部長などを歴任。在職中、日本人材派遣協会運営支援部会、人材派遣健康保険組合監事、立命館アジア太平洋大学の非常勤講師も兼務。
「労働者派遣法改正」「今後の労働法制」「企業の人事戦略」など講演多数。
経営について稲盛和夫氏を師と仰ぐ。座右の銘は「敬天愛人」。




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