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労働者派遣法と関連する
規制の変遷

人材サービス総合研究所 所長 (経営コンサルタント) 水川浩之


1999年(平成11年)派遣元事業主が講ずべき措置に関する指針

 労働者派遣法を適切かつ有効に実施するために出された指針(告示第137号)であり、以下について規定しています。最新は、2012年(平成27年)に改正(告示第474号)されています。

1.労働者派遣契約の締結に当たっての就業条件の確認
2.派遣労働者の雇用の安定を図るために必要な措置
3.適切な苦情の処理
4.労働・社会保険の適用の促進
5.派遣先との連絡体制の確立
6.派遣労働者に対する就業条件の明示
7.労働者を新たに派遣労働者とするに当たっての不利益取扱いの禁止
8.派遣労働者の福祉の増進
9.関係法令の関係者への周知
10.個人情報の収集、保管及び使用
11.派遣労働者を特定することを目的とする好意に対する協力の禁止等
12.紹介予定派遣
13.情報の公開


1999年(平成11年)派遣先が講ずべき措置に関する指針

 派遣元事業主が講ずべき措置に関する指針と同時に出された派遣先企業に対する指針(告示第138号)であり、以下について規定しています。最新は、2012年(平成24年)に改正(告示第475号)されています。

1.労働者派遣契約の締結に当たっての就業条件の確認
2.労働者派遣契約に定める就業条件の確保
3.派遣労働者を特定することを目的とする行為の禁止
4.性別による差別の禁止
5.労働者派遣契約の定めに違反する事実を知った場合の是正措置等
6.派遣労働者の雇用の安定を図るために必要な措置
7.適切な苦情の処理
8.労働・社会保険の適用の促進
9.適正な派遣就業の確保
10.関係法令の関係者への周知
11.派遣元事業主との労働時間等に係る連絡体制の確立
12.派遣労働者に対する説明会等の実施
13.派遣先責任者の適切な選任及び適切な業務の遂行
14.労働者派遣の役務の提供を受ける期間の制限の適切な運用
15.労働者派遣の役務の提供を受けようとする期間に係る意見聴取の適切かつ確実な実施
16.雇用調整により解雇した労働者が就いていたポストへの派遣労働者の受け入れ
17.安全衛生に係る措置
18.紹介予定派遣


2000年(平成12年)紹介予定派遣の許容

 労働者派遣事業と職業紹介事業を兼業する際の許可要件で、職業紹介をする手段として労働者派遣を行ってはならない、と厳しく禁止されていた「紹介予定派遣」が許容されました。ただし、この時点では、派遣先企業による派遣労働者の事前面接など、派遣労働者を特定する行為は認められていません。「紹介予定派遣」の許容により、派遣先企業での直接雇用による採用を前提とした人材派遣が可能となりましたが、その後2004年の労働者派遣法改正により、法律上の制度として明確化されました。


2004年(平成16年)改正労働者派遣法施行

 厳しい雇用失業情勢や働き方の多様化などに対応するため、派遣受入期間制限の延長、派遣労働者への直接雇用の申込み義務、派遣対象業務の拡大、紹介予定派遣の見直しなどを柱として、以下のように大幅に規制が緩和されました。特に製造業務派遣の解禁は大きな意味を持つものとなりました。また、この改正では、企業の経営戦略としてアウトソーシングが多く採り入れられるようになっていたことも考慮されています。

(1) 政令26業務の派遣受入期間制限を撤廃
(2) 派遣先労働者の過半数代表者の意見聴取を前提に自由化業務の派遣受入期間制限の上限を原則1年から最長3年へ延長
(3) 製造業務の派遣受入期間制限を最長1年として解禁
(4) 派遣先の派遣労働者への雇用契約申込義務を創設
(5) 紹介予定派遣の定義明確化、事前面接解禁
(6) 医療関係業務の紹介予定派遣解禁


2006年(平成18年)偽装請負に関する通達

 発注者と受注者の間の請負契約でありながら、発注者が直接、受注者の請負労働者に指揮命令することは、労働者派遣事業に該当し、事業主責任が曖昧になるとされ、いわゆる偽装請負の防止と解消を図るための監督指導強化を目的として、都道府県労働局長宛に「偽装請負に対する当面の取組について」が通達されました。2004年の労働者派遣法改正による製造派遣の解禁に伴い、労働災害が多発したことによるものと言えます。


2007年(平成19年)改正労働者派遣法施行

 製造業務の派遣受入期間制限が原則1年から最長3年に延長されるとともに、派遣労働者の衛生や労働保険等への配慮を規定されました。

 また、病院、診療所などにおける医療関係業務の派遣について産前産後、育児、介護休業中に限り一部解禁、弁理士、公認会計士の派遣が一部容認されました。


2007年(平成19年)請負ガイドライン

 製造業の請負事業について、「製造業の請負事業の雇用管理改善・適正化促進の取組ならびにガイドライン」が示されました。

 請負労働者について、労働条件、処遇その他雇用管理が必ずしも十分でない、技術・技能が蓄積されない、労働関係法令が徹底されていないといったことを改善するために発せられたもので、就業条件等の改善のための措置、職業能力開発などについて規定されました。


2008年(平成20年)日雇派遣に関する省令、指針

 日雇派遣指針「緊急違法派遣一掃プラン」が制定、実施されました。労働者派遣法等の法令違反が少なからずみられること、派遣労働者の雇用が不安定であることなどの問題があることから、違法派遣を一掃するための取り組みとして労働者派遣制度の周知啓発や的確な指導監督による違法派遣・偽装請負の一掃が図られました。

 内容としては、日雇派遣労働者の雇用の安定を図るために必要な措置、労働者派遣契約に定める就業条件の確保、労働・社会保険の適用の促進、日雇派遣労働者に対する就業条件等の明示などが挙げられています。

 なお、日雇派遣とは、日々又は30日以内の期間を定めて派遣元事業主に雇用される労働者の派遣をすることを言います。


2009年(平成21年)派遣元・派遣先指針の改正

 2008年のリーマンショック以降の雇い止めや中途解除の多発から、派遣元・派遣先指針の一部が改正されました。「派遣元・派遣先指針」とは、前出の以下の2つの告示のことを言います。

・派遣元事業主が講ずべき措置に関する指針
・派遣先が講ずべき措置に関する指針

 派遣元・派遣先指針の一部改正については、中途解除に伴う派遣労働者の解雇、雇止め等に適切に対処することを目的として以下が定められました。

(1) 派遣契約の中途解除に当たって、派遣元事業主は、まず休業等により雇用を維持するとともに、休業手当の支払い等の責任を果たすこと
(2) 派遣先は、派遣先の責に帰すべき事由により派遣契約を中途解除する場合は、休業等により生じた派遣元事業主の損害を賠償しなければならないこと
(3) 派遣契約の締結時に、派遣契約に(2)の事項を定めること


2009年(平成21年)一般労働者派遣事業の許可基準の見直し

 一般労働者派遣事業の許可基準(労働者派遣法第7条第1項第4号の要件)が見直されました。派遣元事業主による派遣労働者の適正な雇用管理や、その前提となる的確、安定的な事業運営の確保を図ることを目的としています。

(1) 財産的基礎に係る要件(資産要件)
 (a) 基準資産額に係る要件(基準資産額=資産額-負債額)
  「1,000万円×事業所数」から「2,000万円×事業所数」に見直し
 (b) 現金・預金の額に係る要件
  「800万円×事業所数」から「1,500万円×事業所数」に改めたこと

(2) 派遣元責任者に係る要件
 (a) 派遣元責任者の雇用管理に係る要件
  次の2つの要件を削除し、「雇用管理経験が3年以上の者」のみとしたこと
  ・「雇用管理経験+職業経験」の期間が5年以上の者(ただし、雇用管理経験が1年以上ある者に限る)
  ・「雇用管理経験+派遣労働者としての業務経験」の期間が3年以上の者(ただし、雇用管理経験1年以上ある者に限る)
 (b) 派遣元責任者講習の受講に係る要件
  許可申請受理日前「5年以内の受講」から「3年以内の受講」に改めたこと


2009年(平成21年)労働者派遣事業と請負の区分に関する疑義応答集

 「労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準」(告示37号)を厳格に運用することを目的として、「労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準(37号告示)に関する疑義応答集」が通達されました。当時、特に製造現場における管理体制が問題視されていたことから通達されたものですが、その解釈を巡り現場では大きな混乱が生じました。


2010年(平成22年)政令26業務に関する指導監督指示

 「専門26業務派遣適正化プラン」が策定、実施されました。「派遣可能期間の制限を免れることを目的として、契約上は専門26業務と称しつつ、実態的には専門26業務の解釈を歪曲したり、拡大したりして、専門性がない専門26業務以外の業務を行っている事案」について指導監督を強化するという通達です。

 特に事務用機器操作(政令第4条5号業務)、ファイリング(政令第4条8号業務)と一般事務の区別が混同されやすいとされ、その考え方が示されました。また、これらの業務に該当した場合でも、その付随的業務が、1日または1週間当たりの就業時間数で1割を超えているケース、まったく無関係の業務を少しでも行っているケースは、政令26業務には該当しないとされ、派遣受入期間制限の適用を受けることになりました。





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水川浩之

Profile

水川浩之人材サービス総合研究所 所長 (経営コンサルタント)

1982年、オンキヨー株式会社に入社。国内、海外の営業、マーケティングに従事、ドイツ現地法人に出向し当時の西ヨーロッパのマーケティング責任者を務める。
1992年、KDDI株式会社に入社。経営企画部門や事業企画部門を歴任する他、日本における事務系BPOの先駆けとしてサービス部門における業務プロセス改革のプロジェクトマネジメントに携わる。
2003年、アデコ株式会社に入社。社長室長、ビジネスプロセス統制部長、広報宣伝部長、社長付企画推進部長などを歴任。在職中、日本人材派遣協会運営支援部会、人材派遣健康保険組合監事、立命館アジア太平洋大学の非常勤講師も兼務。
「労働者派遣法改正」「今後の労働法制」「企業の人事戦略」など講演多数。
経営について稲盛和夫氏を師と仰ぐ。座右の銘は「敬天愛人」。




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