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労働者派遣法と関連する
規制の変遷

人材サービス総合研究所 所長 (経営コンサルタント) 水川浩之

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レクシスネクシス・ジャパン(株)が提供する法令・判例・行政総合ソリューション「Lexis AsONE」で好評連載中のオリジナルコンテンツ「Business Issues」から『雇用が変わる ~人材派遣とアウトソーシング、外部人材の戦力化~』をご紹介します。(平成28年2月2日 Lexis AsONE上で公開)



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 1985年3月19日に第102回国会に上程された労働者派遣法案は、一部修正があったものの、4月16日に衆議院社会労働委員会に付託、5月17日の衆議院本会議で可決、5月23日に参議院社会労働委員会に付託、6月7日に参議院本会議で可決、7月5日に「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律」(昭和六十年七月五日法律第八十八号)として正式に公布に至りました。

 1978年に行政管理庁から「民営職業紹介事業等の指導監督に関する行政監察結果に基づく勧告」がされてから実に7年の歳月を経て国会での可決に至ったということになります。

 その後、今日に至るまで何度となく改正が繰り返され、その都度、人材サービス市場に変調をもたらしています。

 また、労働者派遣法に関連する規制もしばしば改正され、規制色が強ければ強いほど、労働者派遣事業者のみならず、派遣労働者、派遣先企業が翻弄されてきたことも挙げなければなりません。それは、法律や政令、省令だけでなく、指針となる告示や通達、さらには厚生労働省職業安定局の労働者派遣事業関係業務取扱要領といった行政の裁量に関わるものにも顕著に表われ、複雑さを増していったと言えます。

 この回では、本法となる労働者派遣法もさることながら、実務において大きな影響を及ぼすことが多い関連する規制の変遷も含めてポイントを挙げていきます。

【労働者派遣法に関連する規制の変遷ポイント】

<時系列>
・1985年(昭和60年)労働者派遣法制定
・1986年(昭和61年)労働者派遣法施行
・1986年(昭和61年)労働者派遣事業と請負の区分に関する告示
・1996年(平成8年)改正労働者派遣法施行
・1999年(平成11年)改正労働者派遣法施行
・1999年(平成11年)派遣元事業主が講ずべき措置に関する指針
・1999年(平成11年)派遣先が講ずべき措置に関する指針
・2000年(平成12年)紹介予定派遣の許容
・2004年(平成16年)改正労働者派遣法施行
・2006年(平成18年)偽装請負に関する通達
・2007年(平成19年)改正労働者派遣法施行
・2007年(平成19年)請負ガイドライン
・2008年(平成20年)日雇派遣に関する省令、指針
・2009年(平成21年)派遣元・派遣先指針の改正
・2009年(平成21年)一般労働者派遣事業の許可基準の見直し
・2009年(平成21年)労働者派遣事業と請負の区分に関する疑義応答集
・2010年(平成22年)政令26業務に関する指導監督指示
・2012年(平成24年)改正労働者派遣法施行
・2012年(平成24年)請負に関する告示
・2013年(平成25年)労働者派遣事業と請負の区分に関する疑義応答集(第2集)
・2015年(平成27年)改正労働者派遣法施行
・2015年(平成27年)労働者の職務に応じた待遇の確保等のための施策の推進に関する法律(同一労働同一賃金推進法)成立
・2015年(平成27年)労働契約申込みみなし制度開始


1985年(昭和60年)労働者派遣法制定

 労働者派遣法の目的が、「労働力の需給の適正な調整を図るため労働者派遣事業の適正な 運営の確保に関する措置を講ずるとともに、派遣労働者の就業に関する条件の整備等を図り、もつて派遣労働者の雇用の安定その他福祉の増進に資すること」とされ、法律の構成は、労働者派遣事業に対する事業規制と派遣労働者の雇用の安定が基本となります。

 労働者派遣の意義が、「自己の雇用する労働者を、当該雇用関係の下に、かつ、他人の指揮命令を受けて、当該他人のために労働に従事させることをいい、当該他人に対し当該労働者を当該他人に雇用させることを約してするものを含まないものとする」と定められました。ここで正式に、労働者派遣における派遣元、派遣先及び派遣労働者の三者間の関係構造が、次のように明文化されたのです。

①派遣元と派遣労働者との間に雇用関係がある
②派遣元と派遣先との間に労働者派遣契約が締結され、この契約に基づき、派遣元が派遣先に労働者を派遣する
③派遣先は派遣元から委託された指揮命令の権限に基づき、派遣労働者を指揮命令する

 労働者派遣法の制定時には、専門的知識などを必要とする業務、特別の雇用管理を要する業務など、以下の13業務が適用対象業務として定められ(ポジティブリスト方式)、解禁されました。これは日本的雇用慣行の維持を目的とし、常用代替のおそれの少ない業務、つまり、派遣先企業の社員の雇用を代替しないように、派遣労働者の業務を一部の職種、あるいは一定の期間に制限することが意図されています。

1号 ソフトウェア開発
2号 事務用機器操作
3号 通訳・翻訳・速記
4号 秘書
5号 ファイリング
6号 調査
7号 財務処理
8号 取引文書作成
9号 デモンストレーション
10号 添乗
11号 建設物清掃
12号 建築設備運転・点検・整備
13号 案内・受付・駐車場管理等


1986年(昭和61年)労働者派遣法施行

 7月1日に施行され、その直後に、制定時点で定められた「政令で定める適用対象業務」の13業務に以下の3業務が追加され16業務となりました。

14号 機械設計
15号 放送機器等操作
16号 放送番組等の制作


1986年(昭和61年)労働者派遣事業と請負の区分に関する告示

 労働者派遣事業に該当するか否かの判断を的確に行うために、労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分を明らかにすることを目的として「労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準」(告示37号)が示されました。この告示は、請負に関する法令としての性格を持ち、2012年の改正を経た後も重要な位置付けとして効力を持っています。


1996年(平成8年)改正労働者派遣法施行

 無許可事業主からの派遣受入などに対する派遣先への勧告、公表が制度化されるとともに、政令で定める適用対象業務が16業務から26業務へ拡大されました。

1号 ソフトウェア開発・保守
2号 機械・設備設計
3号 放送機器等操作
4号 放送番組等演出
5号 電子計算機等の事務用機器操作
6号 通訳、翻訳、速記
7号 秘書
8号 文書・磁気テープ等のファイリング
9号 市場等調査・調査結果整理・分析
10号 財務処理
11号 契約書等取引文書作成
12号 機械の性能・操作方法等に関するデモンストレーション
13号 添乗
14号 建築物清掃
15号 建築設備運転、点検、整備
16号 案内、受付、駐車場管理等
17号 化学に関する知識・応用技術を用いての研究開発
18号 事業の実施体制の企画・立案
19号 書籍等の制作・編集
20号 商品・広告等デザイン
21号 インテリアコーディネーター
22号 アナウンサー
23号 OAインストラクション
24号 テレマーケティング営業
25号 セールスエンジニア営業
26号 放送番組等における大・小道具


1999年(平成11年)改正労働者派遣法施行

 適用対象業務が原則自由化されました。それまでの原則禁止から一部禁止へと、いわゆるポジティブリスト方式からネガティブリスト方式に抜本的に改正されました。ただし、以下は適用対象業務から除外されました。

・港湾運輸業務
・建設業務
・警備業務
・医療関係の業務
・物の製造業務
・派遣先において団体交渉または労働基準法に規定する協定の締結などのための労使協議の際に、使用者側の直接当事者として行う業務
・弁護士、外国法事務弁護士、司法書士、土地家屋調査士、公認会計士、税理士、弁理士、社会保険労務士、行政書士の業務

 また、派遣受入期間制限が、既存の26業務については3年、新たな対象業務(自由化業務)については1年とされるとともに、労働者派遣制度を臨時的、一時的な労働力の需給調整に関する対策として位置付けられました。

 なお、抵触日の事前通知、派遣停止の通知などによる派遣受入期間制限を担保する制度や自由化業務についての雇入れ努力義務、違法な場合の雇入れ勧告などについても創設されました。





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水川浩之

Profile

水川浩之人材サービス総合研究所 所長 (経営コンサルタント)

1982年、オンキヨー株式会社に入社。国内、海外の営業、マーケティングに従事、ドイツ現地法人に出向し当時の西ヨーロッパのマーケティング責任者を務める。
1992年、KDDI株式会社に入社。経営企画部門や事業企画部門を歴任する他、日本における事務系BPOの先駆けとしてサービス部門における業務プロセス改革のプロジェクトマネジメントに携わる。
2003年、アデコ株式会社に入社。社長室長、ビジネスプロセス統制部長、広報宣伝部長、社長付企画推進部長などを歴任。在職中、日本人材派遣協会運営支援部会、人材派遣健康保険組合監事、立命館アジア太平洋大学の非常勤講師も兼務。
「労働者派遣法改正」「今後の労働法制」「企業の人事戦略」など講演多数。
経営について稲盛和夫氏を師と仰ぐ。座右の銘は「敬天愛人」。




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