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『憲法』

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(戸松秀典 著/弘文堂 2015年5月)

Editor’s Book Guide 第7回

「BIZLAW」を運営するレクシスネクシス・ジャパンには、リーガル専門誌「Business Law Journal」、法令・判例・行政基準データベース「ASONE」、『企業法務のセオリー』等の実用的法律書籍、そして「BIZLAW」の4つの編集部があります。Editor’s Book Guideでは、各編集部エディターが選んだおすすめの一冊をご紹介します。



 「60年余にわたって形成された日本国憲法のもとでの法秩序」。はしがきに込められたこの言葉の意味をどう理解するかが、本書をひもとく一つの鍵ではないだろうか。

 本書は、逆引き的な憲法の概説書と思える。なぜなら、憲法の条文を起点として学説をちりばめつつ展開されるタイプの概説書とは趣を異にし、長きにわたり憲法訴訟の研究に力を入れてきた著者でなければ到達できない、選りすぐられた裁判例を添えながら憲法を分析するという、そもそも起点の置き所が違うからである。

 例えば、自己決定権の部分。自己決定権がどんなものかについての解説は必要最小限。学説についても同様。しかし、「最高裁判所は「自己決定権」という言葉を用いることなく、控訴審判決の結論を認める判断を下し」ており、「自己決定権を認知しない判例傾向」がある。このような分析が地裁判決も含めて丁寧に展開されている。私たちが生活する現実の世の中でどういう判断が行われているのかという実情が率直に述べられているのである。

 上記は本書の中の一例にすぎないが、本書は、実社会の中で憲法だけが問題になる事件など存在しないように、憲法のもとで機能する実定法の適用にも着目している。そのため、実務家にとっては、巻末の事項索引や判例索引をたよりに逆引きすると、訴訟が起きた際に論点を探すうえで活用しやすい書籍といえるのではないだろうか。そして、まえがきにある法秩序という文字列が語る意味も、書中にちりばめられた実定法の適用という部分に多分に関係しているように感じる。

 最後に、書籍の形態的な部分について2点ほど触れたい。第1点は、本書は目次が丁寧に作られているため論点索引のように使うことができること。第2点は、脚注が本文中に挿入されているところにも興味がわく。頁末や文章末ではないのである。脚注も大事な部分であり、本文と同時に読めるように配置されている。そして、その配置的にも面白い脚注自体にも、余すところなく著者の力が込められた一冊ではないだろうか。

(文:BLJ/BIZLAW編集部 木村寛明 / 写真:古田悠太)

 

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