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法律家が
Brexitの渦の中で見るもの

多田 慎(弁護士)、 高橋 由美子(英国ソリシター)

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© iStockphoto.com/fotojog

第1回 あの日を振り返る

Business Law Journal2016年7月号62頁に「英国がEUから離脱した場合の実務への影響」を執筆した多田慎弁護士と高橋由美子英国ソリシターに、今後の手続や法律上の問題点についてタイムリーな情報を発信していただきます。(Business Law Journal編集部)

第1回は、国民投票結果が判明した6月24日の現地の様子について、高橋ソリシターがレポートします(画像は多田弁護士提供)。



「離脱でたー!」2016年6月24日の明け方、英国の欧州連合(EU)離脱に関する国民投票の結果が発表されるや否や、日本の友人からLINEのメッセージが入る。EU離脱(Brexit)が「でてしまった」瞬間、私にとって忘れもしない長い1日が始まった。世界を震撼させたあの瞬間から約1か月がたった今、改めて「あの日」を振り返ってみたい。


開票速報 ――深夜の拮抗

国民投票(Referendum)の開票結果を伝えるBBCニュースの特別番組は、投票終了と同時の6月23日午後10時から始まっていた。総合司会は、現在77歳のベテランBBCジャーナリスト、デヴィッド・ディンブルビー(David Dimbleby)。抜群のユーモアのセンスとウィットに富んだ話術で出演者や視聴者を決して不愉快にさせず、かつ公正で鋭い分析力を瞬間的に発揮する、その報道ジャーナリストとしての実力と安定感から英国内のファンも多い。


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BBCより):開票スケジュールを見つめるディンブルビー氏。長時間にわたって開票結果を報じていた彼自身、驚きの結果を予期していなかったのかもしれない。


午後11時ころから、各選挙区が残留か離脱かを伝える開票結果が続々とあがってきていた。結果が出る度に中継現場にカメラがつながるというパターンは、日本の選挙番組と同じだ。唯一違うのは、現場からの中継が、まず、Counting Officer と呼ばれる集計官による正式な宣誓書の読み上げから始まるという点であろうか。

具体的には、集計官が最初に「2015年欧州連合国民投票法(European Union Referendum Act 2015)に基づき6月23日に実施された国民投票の○○投票地区の集計官として、地域集計官(Regional Counting Officer )より与えられた権限のもと、私が認定した選挙結果をここに通告する」と宣誓し、次に、全投票数(total number of ballot papers counted)、「残留」数(total number of votes cast in favour of REMAIN、「離脱」数(total number of votes cast in favour of LEAVE)、「拒否された投票用紙」の数(total number of ballot papers rejected)を順々に読み上げていく。そして、勝利した離脱派(または残留派)の人たちの拍手喝采、小躍り、肩車へと続く。集計官の宣誓の場面は、まさに、テレビの前の視聴者や現場に駆けつけた応援者が固唾を呑む瞬間である。


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英国選挙管理委員会の投票ガイドより):実際の投票に使われていた投票用紙。“記念投票”で「leave」欄に「x」を記入したことを後悔する有権者も多いという(”Bregret” =Britain + regret, ”Regrexit”=Regret + exitという造語が生まれた)。


同番組が始まってから2時間ほどは離脱と残留がかなり拮抗していた。離脱派の急先鋒である英国独立党(UKIP)のナイジェル・ファラージュ(Nigel Farage)党首(当時)は敗北を認める会見も行っていた。しかし、日付が変わったころから嫌な空気が漂い始めた。後にファラージュ氏も息を吹き返すことになる。英国北東部サンダーランドで離脱派が勝利したとの速報と時を同じくして、ポンド急落というニュースが入った。サンダーランドといえば、日産自動車をはじめとする日系企業が拠点を置き、大学があることから若者も多く、英国の中規模都市の典型とされる街である。そのサンダーランドで離脱という結果が出てしまい(しかも離脱61%、残留39%という大差であった)、これが英国全体の投票結果を象徴するかもしれないことに誰もが薄々気づき始めていた。ちょうどそのころ、前述のディンブルビーは「(選挙結果は)ロンドン対地方という構造ができていますね」と分析、解説している。こうなったらロンドンに圧倒的「残留」勝利を出してもらうしかない。がんばれロンドン。


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(多田弁護士提供):サンダーランドの開票結果を受け(開票済み合計で離脱が残留を逆転)、ポンドの下落(対米ドル)を伝えるBBCの映像。円・ポンド相場は開票後一時期1ポンド160円であったが、このタイミングで1ポンド147円を割り込む急落となった。



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